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TOPマッチレポート「シーズン中盤戦までを振り返る」【後編】

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TOPマッチレポート特別企画
TOPスペシャリスト座談会「レギュラーシーズン中盤戦までの熱い戦いを振り返る」【後編】


■出席者(五十音順) 稲垣 純一 ((財)日本ラグビーフットボール協会事業委員長)
永田 洋光 (ラグビーライター)
村上 晃一 (ラグビージャーナリスト)
南 隆雄 ((財)日本ラグビーフットボール協会トップリーグ部門長)
■進行/構成 出村 謙知 (フォトレポーター)

泣いても笑っても残り2節となったトップリーグ。
ベスト4はこのままのかたちで落ち着くのか。ワイルドカードから日本選手権へ勝ち進むのは?
TOPプレビュー/マッチレポートでもお馴染みのTOPスペシャリストたちが中盤戦までの戦いを熱くかつ冷静に振り返る特別企画が今季も実現。後編では、残留争いが熾烈さを増してきた下位チームの動向、中盤戦までのベストフィフティーンなどにも話は及んだ。

──昨季、ヘスケス(カーン=WTB)の爆発もあって、センセーショナルな存在となった福岡サニックスブルース(第10節現在11位)ですが、今季はどうも結果が出ていません。

永田 藤井(雄一郎)監督が言っていたんですが、ブラッド・ソーン(LO)が入ったことで、セットプレーでもそこそこ戦えるようになって、逆にサニックス本来の姿を見失った面もあるのかもしれないですね。

──2勝のうち最初の勝ち星を挙げたトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦(第6節、27-20で勝利)も、あえてソーンをメンバーから外して、昨シーズンまでのサニックスのメンバーに戻したら、うまくいった。

永田 ジャパンのFWを大きくするのかどうかという、そういう議論と重なってしまう気もするんですけど、逆に言うと、それだけブラッド・ソーンに存在感があるということなんでしょうね。

稲垣 トップリーグのレベルだと、同じスタイルを2年続けても通用しないというのも、今季、サニックスが苦戦している要因のひとつかもしれません。他のチームがしっかり研究して、サニックス対策をやってきているわけですからね。
 いま、ちょうど苦しいところだと思うんですよね。過渡期と言ってもいいかもしれない。昨シーズンはみんなビックリしたけど、今季はだいたいやることがわかってきて対応されている。ヘスケス(カーン=WTB)のインパクトもなくなってきています。でも、ここを乗り切らないと次のステップへは行けないのも確かでしょう。

世界一のLOソーン(写真)の加入によるセットプレーの安定が成績につながらなかったサニックス
世界一のLOソーン(写真)の加入によるセットプレーの安定が成績につながらなかったサニックス
photo by Kenji Demura (RJP)

──そして、同じ九州勢ですが、サニックス以上に苦しんでいるのが、コカ・コーラウエストです。ようやく、第10節で初白星(対NTTドコモレッドハリケーンズ、23-11)は挙げましたが……。

南  ホント、苦しいシーズンになってしまっていますが、どうしちゃったんですかね。

永田 ケガ人が多いですよね。その影響はあるんだと思います。

──ケガ人もそうですけど、これは向井(昭吾)監督が言っていたんですが、山口(智史=NO8)やオーモンド(ウェイン=LO/FL)といった、ここぞという場面で頼りになる仕事人がいなくなったのも大きい。流れが悪くなった時に止められずに、ズルズル行く傾向があるのかなという感じがしています。

稲垣 序盤戦でも東芝には前半リードして折り返したり、いい戦いをしていた試合もあったんですけどね。ちょっと、無理に展開ラグビーをしようとし過ぎているところもあるのかな。チームとして理想のラグビーはしっかり持っているんだけど、現実とのギャップがあって、結果的に流れを悪くしているように思えますが……。

 
第10節でようやく今季初白星を挙げたコカ・コーラウエストは自動降格を避けることができるか(写真はCTBベイトマン)
第10節でようやく今季初白星を挙げたコカ・コーラウエストは自動降格を避けることができるか(写真はCTBベイトマン)
photo by Kenji Demura (RJP)

永田 ショットの3点って、凄く大きいんですよね。

稲垣 でも、ようやくNTTドコモに勝ちましたし、粘り強い向井監督のチームですから、最後に立て直してくる気もします。
 いずれにしても、サニックスやコカ・コーラウエストが中々勝ててないというのは、トップリーグの各チームの実力が拮抗して、レベルが上がっている証拠でもあるでしょう。

──最後に昇格組の2チームに関してです。かなり、健闘も目立っています。

永田 NTTドコモはやっぱり箕内(拓郎=FL/NO8)が凄い。

──ビッグネームでいうなら、序盤戦ケガで出てなかったり、いまもフルでプレーする試合は少ないんですが、ここという時のムリアイナ(ミルズ=FB)も凄いですよね。

稲垣 確かに、そのふたりがしっかりしているのは大きい。あと、キャプテンの平瀬(健志=WTB)がしっかりチームを締めている感じもします。

永田 パナソニックから4トライを取った時に箕内が言ってたんですけど、強豪から1ポイント取れたということが、凄く自信につながるって。チームが若いだけに、上昇する力みたいなものを感じます。

稲垣 得点力はありますよね。ヤマハから40点以上取ったり。ハミッシュ・ガード(SO)のキック力も大きい。ただ、それだけに外国人の使い方が難しいというのもあるわけですけど。FWで使うのか。BKで2枚使うのか。

永田 伊藤宏明(SO)とハミッシュ・ガードの使い分けをどうするのか。伊藤を入れてボールをどんどん動かしていくのもありだけど、ディフェンス力やゲームコントロールを考えるなら、ハミッシュ・ガードがファーストチョイスになる。

──2年ぶりの再昇格となったHonda HEATはどうでしょう。

永田 NEC戦の立ち上がり、ほとんどゲームが切れなかった時間帯にボールを継続してトライを取り切っていたので、力はあるなと感じたんですけど……。

稲垣 コカ・コーラウエストには圧勝(第8節、41-17で勝利)でしたもんね。

南  ガードナー(ジョー=FB)がうまく機能すると面白いと思っているのですが。

永田 SHの梁(永勲)もいいですしね。

稲垣 CTBの森川(海斗)の評価も高い。

一戦一戦逞しさを増すNTTドコモにとって精神的支柱とも言えるNO8箕内の存在は大きい
一戦一戦逞しさを増すNTTドコモにとって精神的支柱とも言えるNO8箕内の存在は大きい
photo by Kenji Demura (RJP)

──体はそんなに大きくないけど、シャープに前に出て良くディフェンスしていますよね。

稲垣 Hondaのように、一度落ちて再び上がってきたチームがしっかり定着してほしいなというふうには思いますが、それにしても降格争いは本当に熾烈だなあ。

永田 いま考えると、開幕節でNTTドコモとHondaが引き分けたというのも、降格争いが厳しいものになる予兆だったのかもしれないですよね。

──さて、話題を恒例のベストフィフティーンに移行していきたいんですが、その前に今季のひとつの特徴として新人の活躍が目立っているというのがあると思うのですが、みなさんはどう受け止めていますか?

稲垣 確かに新人の活躍は目立ちます。先ほども名前が挙がりましたが、NECグリーンロケッツの田村(優=SO)、村田(毅=LO)、パナソニック ワイルドナイツのツイ(ヘンドリック=NO8)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスの鶴田(諒=SH)、チームの成績は上がらないけど、トヨタ自動車の吉田(光治郎=FL)。リーチ(マイケル=東芝FL)なんかは新人の域を越えていますよね。

村上 新人賞は外国人でも大丈夫なんですか?

稲垣 リーチやツイは日本の大学を出ていますし、新人賞の対象にはなります。

村上 神戸製鋼でちょっとしか出ていないけど、前川(鐘平=FL)も出場した試合でのインパクトは凄い。同じく神戸製鋼の中濱(寛造=WTB)も結構出てますしね。

稲垣 2008年のU20世界大会でウェールズに行ったのが、いまの新人たちの世代なんですよね。村田はあの世界大会で薫田(真広)監督(=当時。4月からは日本代表アシスタントコーチに就任予定)がもの凄く信頼していて、全試合使った。

永田 確かに、エイジグレードで代表を作っていくことが、凄く意義のあることなんだなというのが、今年の新人を見ているとよくわかる。彼ら自身、同世代で凄い奴がいるというのがわかるし、なおかつそういう若い選手たちがチームになって世界に出て行ってもなかなか勝てないというのを経験したのが、その後にプラスになっているのかもしれない。

──ウェールズ大会では、リーチがキャプテンでした。

稲垣 薫田監督はリーチと村田だけは迷いなく全試合使い続けたように見えました。
もっと、こういう世代を継続的に強化していかないといけない。まあ、新しい代表首脳陣の仕事なんでしょうが(笑)。

村上 どうせなら、7年後をにらんで、もうそういうジャパンを作っていっちゃってほしいですよね。

永田 確かに、今シーズンの新人たちを見てると、可能性を感じます。

開幕節でNTTドコモと引き分け、第8節ではコカ・コーラウエストには圧勝したHonda(写真はSH梁)
開幕節でNTTドコモと引き分け、第8節ではコカ・コーラウエストには圧勝したHonda(写真はSH梁)
photo by Kenji Demura (RJP)

 
W杯でも活躍した東芝FLリーチ(写真)をはじめ、新人の台頭が目立つのも今季の特徴
W杯でも活躍した東芝FLリーチ(写真)をはじめ、新人の台頭が目立つのも今季の特徴
photo by Kenji Demura (RJP)

村上 新人の活躍でトップリーグ自体、もの凄く活性化している感じがします。

──その一方で、ビッグネームの外国人選手もどんどん新加入しています。

稲垣 単純にファンへの訴求という面でも彼らの存在は大きいですし、その一方で一緒にプレーしている日本人選手へのいい影響はあると思います。ノヌー(マア=リコーCTB)がこうやってる、ムリアイナ(ミルズ=NTTドコモFB)がこうやってる、ジョージ・スミス(サントリーFL)がこうやっているというのを実際に一緒にプレーしながら学べるわけですからね。今シーズン、佐々木隆道(サントリーFL)が凄く成長している理由は、ジョージ・スミスにずっと朝から晩までくっついて、いいところを学ぼうとしているのが大きい。自分のプレーを見てもらっている直接的な影響から、生活態度を見習うみたいな間接的なことまで。そういう経験をいまのトップリーグの選手たちができているというのは凄い財産になっているはずです。

──ということで、あるいはニューフェイスたちの名前もたくさん挙がってくるかもしれないベストフィフティーンに関してポジションごとに見ていきたいと思います。まず第1列から。

稲垣 PRの1番が久保(知大=東芝)、平島(久照=神戸製鋼)に、NTTコムの山口(泰生)。HOが青木(佑輔=サントリー)、堀江(翔太=パナソニック)。PRの3番が畠山(健介=サントリー)、山下(裕史=神戸製鋼)。この辺で迷ったんですが、チームの順位からいって(笑)、久保-青木-畠山かな、と。山口は斉藤(展士)とともに、NTTコムのスクラムをしっかり支えているのが、とても印象的です。久保に関しては、ずっと出続けている点も評価しています。

村上 平島、青木、畠山で。

永田 パナソニックの木川(隼吾)がスクラムだけじゃない部分での良さがあって、凄くいい。3番ではNECの新人の田中光は、NTTコムとやった時にも山口と対等に組めていたので、将来性も買って選びました。

──僕は神戸製鋼のいい試合を立て続けに見ていることもあって、PRは平島-山下の神戸製鋼コンビにしました。山下がケガから復帰してきた後のスクラムはかなり強力だったので。
LOに関してはどうでしょう。アイザック・ロス(NTTコム)が凄いと個人的には思っています。

稲垣 ひとりはヒーナン(ダニエル=パナソニック)で決まりで、もうひとりに関しては、NECの躍進を支えている浅野(良太)と東芝の大野(均)で迷ったんですが、ここは今季の勢いを買って浅野で。

永田 単純に凄いLOとなると、ヒーナン、アイザック・ロスという感じなんですが、それだと5番、5番なので、4番的なタイプということで考えるなら大野。

村上 僕も大野、ロスかな。

すでにベスト15の常連と化している感もある畠山(サントリーPR)
すでにベスト15の常連と化している感もある畠山(サントリーPR)
photo by Kenji Demura (RJP)

 
同僚のナドロとともに"満票"でのベスト15入り。躍進NECを牽引する若き指令塔SO/CTB田村
同僚のナドロとともに"満票"でのベスト15入り。躍進NECを牽引する若き指令塔SO/CTB田村
photo by Kenji Demura (RJP)

──このポジションも難しいですが、FW第3列はどうでしょう。僕は、単純に凄い人ということで選んで、ニリ・ラトゥ(NEC)、ジョージ・スミス(サントリー)、箕内(拓郎=NTTドコモ)。

永田 ニリ・ラトゥ、リーチ(東芝)、ハスケル(ジェームス=リコー)。

村上 僕は東芝の両FL(スティーブン・ベイツ、リーチ)とNO8が箕内。

永田 今シーズンの箕内は確かに凄い。

稲垣 FLのうちひとりは成長ぶりからいって佐々木隆道(サントリー)。もうひとりがジョージ・スミス、リーチ、ラトゥ、ベイツで迷ったんですが、インパクトの強さでいくとラトゥかな、と。NO8は箕内、トゥイアリイ(モセ=ヤマハ発動機)、ハスケルの中から、試合を決めるプレーの多さという観点からトゥイアリイを。

永田 確かに、佐々木隆道はいいですよね。ジョージ・スミスとかいるので、隠れがちだけど。ハスケルは時々レフリングに悩んでいるのかなというところが見受けられる。

南 フラストレーションを感じている気がしますよね。なんか発散し切ってないような。

──ジャッカルとか普通に凄い。

稲垣 ハスケルやジョージ・スミスは凄いのが当たり前なんでね。その点、技術的にはまだ劣る面もあるんですが、ツイ(パナソニック)も面白い。

──では、SHに。僕はどんどん進化している感じがする日和佐(篤=サントリー)です。

村上 僕も日和佐。あと、新人で言うと、鶴田(NTTコム)も十分やれている。

南  まわりがしっかり見えてる感じがします。

稲垣 SHに関しては、日和佐、田中(史朗=パナソニック)が抜きん出ていて、他の選手たちと光が違ってきた感じがするんですよね。ワールドカップでも2人への評価がもの凄く高かった。世界にいないSHというかたちで。もう、この2人に関しては甲乙つけ難いので、チームの順位で(笑)、日和佐。

永田 2人のうちでも、特に今シーズンの田中は面白い。SOに同じように前を見ながら勝負するタイプのデラーニ(マイク=パナソニック)が入って、今までよりももっと前を見て工夫してプレーしているのが感じられて、そこのところが凄くいい。あと、敢闘賞として櫻井(朋広=NEC)を推しておきます。SHの捌きが良くなるだけで、これだけチームって変わるんだというお手本だと思います。

──デラーニの名前も出たところでSOに行きましょう。個人的に、このポジションはどうしても日本人にしたかったというのもあって、リコーの河野(好光)。重光(泰昌=近鉄)、大田尾(竜彦=ヤマハ発動機)と迷ったんですが、ノヌーが入って、うまくノヌーの存在を使ってプレーしているのが光っているので。キックも安定していますし。

永田 全く同じ理由で、やはり河野。ノヌーとタマティ・エリソンがCTBにいるので、ラインブレイクが凄く多い。そういう隙をうまく突くというところがよくできている。

村上 河野もいいんですが、僕は重光を推しておこうかな。今シーズン、近鉄がいいのは重光のプレーが安定しているのが大きい。昨季まではあまり使ってもらえてなかったので。

南  今季の近鉄はハーフ団が安定していますもんね。SHの金(哲元)も無茶なプレーがなくなって、高いレベルのプレーを維持できている。

稲垣 実績から言うと、ヒル(デイビッド=東芝)、そしてワールドカップでも世界的レベルであることを証明してみせたピシ(トゥシ=サントリー)の2人のうちいずれかが順当かなと思うんですが、やはり、みなさんと一緒で日本人SO待望論ということを考えて、重光。河野とも迷ったんですが、チームを勢いづけている点を買いました。

村上 ヒルのディフェンスは凄い。ヒルがいるとほとんど抜かれませんもんね。

稲垣 なにげにトライも多いですしね。

永田 ヒルやピシなんかは、凄いプレーを見るのが当たり前になっているところはありますよね。

──フィリピン代表のウイング(クレイグ=NTTコム)も、アタックもディフェンスもレベルが高い。

村上 君島(良夫=NTTコム)の出番がなくなっちゃいましたもんね。ウイングが何でもできるから。

──さて、凄い大物も入ってきたCTBですが。

南  僕はマレ・サウ(ヤマハ発動機)が今シーズンはとても良いと思うんですよね。

村上 マレ・サウがいたら、サインプレーいらないですもんね。ひとりでヒョイヒョイって抜いて行く。

──必ずゲインする感じですよね。困った時も、ボールを渡せば何とかしてくれる。そういう選手がいるのは大きい。

稲垣 ひとりはマレ・サウで決まり。で、もうひとりですが、あえて、フーリー(ジャック=パナソニック)、ノヌーは選ばない(笑)。推したいのは新人の田村(NEC)。あと、ニコラス(ライアン=サントリー)も、ゴールキックが上手になったし、サントリーの核になっている。小野晃征(福岡サニックス)もいいんですけど、今シーズンはチームの調子が良くないので。

永田 田村はCTBの方がいいですね。それも、セカンド・ファイブ・エイス的な役割を担うと凄くいい。第2SOというか。

村上 僕も田村かな。ジェイピー・ネル(NTTコム)もいいですよね。

──WTBも人材は豊富ですが、今季は規格外の選手がまた新たに加わりました。

 
今季最大のインパクト。WTBナドロがシーズントライ記録を更新するかにも注目だ
今季最大のインパクト。WTBナドロがシーズントライ記録を更新するかにも注目だ
photo by Kenji Demura (RJP)

稲垣 ひとりはナドロで決まりでしょう(笑)。もう18トライですからね(第11節現在)。シーズン当初に比べ、しっかりチームにフィットしてきている感じがありますよね。彼がボールを持つだけでスタンドが沸く。
 あともうひとりは、迷ったんですが、年末のトヨタ自動車戦も見て、「小野澤(宏時=サントリー)ここにあり」という感じだったので。小野澤に。33歳にして、反骨心が芽生えてきているようなところもありますし。成田(秀悦=サントリー)の活躍が刺激になっている面もあるでしょうし、やっぱり小野澤だな、と。

──確かに、トヨタ自動車戦の小野澤は素晴らしかった。あと、徐(吉嶺=ヤマハ発動機)の思い切りの良さというか、トライを取る能力にも惹かれます。

永田 シーズンを通しての印象で言うと、ナドロと徐。ナドロは昨シーズンのヘスケス(カーン=福岡サニックス)のようなインパクトを感じます。

村上 1シーズンで終わったりして(笑)。でも、やはり11番はナドロかな。あと、14番で考えると北川智規(パナソニック)。開幕戦で小野澤をさすがのチェンジ・オブ・ペースで置き去りにしたのは凄かった。ずっとトライを取っているのは偉いですよ。

永田 コンスタントにトライを取っているし、フィールディングやディフェンスもソツなくこなせる印象がありますね。

──最後にFBを。

南  正面(健司=神戸製鋼)がいい動きをしていると思います。

村上 正面がいい時は神戸製鋼が良くて、正面がダメだったら神戸製鋼もダメみたいな選手ですよね。勝敗の鍵を握るキーマンになっている。あと、今シーズンは栗原(徹=NTTコム)もいいんじゃないですか。田邉(淳=パナソニック)も安定してるし。

永田 今まで名前が挙がった選手はみんないいんですが、本当に凄いなと思うのが、大ベテランの松田勉(東芝)。ナドロと1対1になって、真正面から止めたの、まだ松田だけなんですよね。NECのスタッフもあのプレーには感動していた。FBがやらなきゃいけないタックルの見本ですよ。あれは。

稲垣 確かにあのタックルは凄かった。

永田 80分プレーするのは無理ですけどね。あえて松田にします。

稲垣 あと、五郎丸(歩=ヤマハ発動機)も得点王になっているし、プレーも安定している。でも、栗原かな。2003年のワールドカップ以降でいまが一番いいんじゃないでしょうか。

村上 FBって、一番後ろからゲームがつくれるというかコントロールできる人がいると、凄くチームが安定していいですよね。

──そういう観点から、僕は近鉄の高(忠伸)にしました。

村上 安定してますもんね。

稲垣 松田、栗原、高。みんなベテランが頑張っているというところでいいんじゃないでしょうか。まあ、ムリアイナ(ミルズ=NTTドコモ)も凄いんですけど(笑)。彼がいるうちに、FBのお手本のようなプレーを日本の若い選手たちも見習ってほしいですよね。

──では、最後に終盤戦の見どころを、それぞれ語っていただけますでしょうか。

村上 トップ4争いでは、NECがこのまま逃げ切るのか、神戸製鋼が逆転して4位に滑り込むのか。崖っぷちの神戸製鋼がどこまで頑張るのか興味津々です。

永田 勝ち点ではNECが6ポイント上回っているし(11節時点)、対戦相手も、神戸製鋼はヤマハ発動機、サントリーと続くのでかなり厳しいんですが、何か波乱が起こるような気がする。特に、最終節でサントリーを破るようなことがあると面白い。実力接近の象徴的な試合になるでしょうね。
 あとは誰が新人王になるか。これは相当な難問で、ファンのみなさんにもゲームを見ながら頭を悩ませてもらいたいですね。

南  1年目のニューフェイスもトップリーグの激しさやゲームレベルにも対応できて、更なるリーグの活性化に向けてステップアップしていってほしいですよね。
そして、規格外のサイズでグランドを疾走するナドロがトライ記録をどこまで伸ばすかにも期待が膨らみます。

稲垣 プレーオフ、ワイルドカード、入替戦、自動降格がどうなるのか。最後までエキサイティングな順位争いが繰り広げられそうで、どの試合も目が離せない。
 個人としては、ナドロがどこまで爆発するかという一方で、日本ラグビーに慣れてきた大物外国人選手も更なる活躍を見せてくれる終盤戦は話題満載ですので、皆さん、ぜひスタジアムへ!




2012年1月27日

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