トップリーグ2012-2013特集 TOPプレビュー & TOPレビュー

こちらでは次節の各試合の見どころ、そして試合結果のサマリーと全体のレビューを、トップリーグ観戦をより楽しく、より興味深いものにしていただけるよう、毎週掲載していきます。

特別編「ワイルドカードトーナメント 2回戦」(1/26)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
1/26(土) 12:00 ヤマハ発動機ジュビロ 70-12 近鉄ライナーズ 近鉄花園
1/26(土) 14:00 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 41-23 NECグリーンロケッツ 近鉄花園

レビュー

トヨタ自動車、ヤマハ発動機が会心の内容で日本選手権出場決める
近鉄、NECは最後に自分たちの力を出し切れず、シーズン終了

 26日、大阪・近鉄花園ラグビー場でワイルドカードトーナメント2回戦2試合が行われ、ヤマハ発動機ジュビロが近鉄ライナーズに70-12、トヨタ自動車ヴェルブリッツがNECグリーンロケッツに41-23でそれぞれ快勝。 
 ヤマハ発動機とトヨタ自動車は日本選手権出場を決めた。

 第1試合は立ち上がりからセットプレーでも接点でも優位に立ったヤマハ発動機が主導権を握り続けた。
 開始3分にFB五郎丸のPGで先制。11分には相手ボールのラインアウトをターンオーバーしてフェイズを重ねて敵陣22m内に攻め込み、ラックサイドをSH池町信哉がスリ抜けて初トライ。
 以降、「ようやく力を出してくれた」(FB五郎丸)というFW陣が前に出たことで余裕を持ってプレーするようになったBK陣が次々にラインブレークを重ねるヤマハ発動機の良さばかりが目立つ展開に。
 15分にCTBマレ・サウ、21分にWTB徐吉嶺、37分にCTBシアレ・ピウタウがトライを重ねて、前半だけで4トライ。
 前半ロスタイムに近鉄に1トライを返されたものの、ハーフタイム時点でほぼ勝利を手中に収める圧倒ぶりだった。

 リーグ戦での対戦時には(近鉄35-28ヤマハ発動機=12月8日、静岡・ヤマハスタジアム)、自分たちのミスから逆転負けを喫したヤマハ発動機だったが、「前回できなかったことをできるようにして臨んだ。一番良くなったのはスクラム」と清宮克幸監督が胸を張ったとおり、この日は終始セットでプレッシャーをかけたことで、ミスとは無縁の安定したパフォーマンスを続けた。
 リーグ戦最終節から3週間ぶりの実戦ということで試合勘のなさへの懸念もあったが、「フィットネスでもコンタクトでも試合以上に厳しい練習を積んだ」(LO笠原雄太主将)こともプラスとなったのか、試合間隔が空いたことの悪影響は微塵も感じさせなかった。
 ハーフタイム以降も強力なセットプレーをベースにヤマハ発動機が主導権を握り続ける展開は変わらず、後半も6トライを重ねる圧倒ぶり。
「日本選手権へ余力を残して勝てたのは大きい」(清宮監督)と、1週間後に控える日本選手権1回戦への自信さえうかがわせながら、ヤマハ発動機がトップリーグベスト4チームへの挑戦権を手に入れた。

 一方、昨季同様、ワイルドカードでヤマハ発動機に敗れてシーズンを終えるかたちとなった近鉄の前田隆介監督は「一番大事なゲームで一番悪いゲームをしてしまった」と落胆しきった表情で語り、FB高忠伸主将も「自分たちの力が出し切れなかった。無力さを感じる」と、語るのがやっとだった。

 

計10トライを奪って70-12で近鉄に大勝したヤマハ発動機が日本選手権出場を決めた
photo by Kenji Demura (RJP)

FWの激しさで近鉄を圧倒したヤマハ発動機は日本選手権で"4強討ち"を果たせるか(ボールを持つのはNO8フォラウ)
photo by Kenji Demura (RJP)

昨季同様、ヤマハ発動機に敗れてシーズン終了となった近鉄。試合後の花園にはやるせない空気が広がった
photo by Kenji Demura (RJP)

 

日本選手権1回戦は2月2日に
トップリーグ勢同士の激突は大阪・近鉄花園で

 第2試合も第1試合同様、リーグ戦時には大接戦(トヨタ自動車27-26NEC=9月8日、東京・秩父宮ラグビー場)を繰り広げたチーム同士の再戦となったが、予想よりも早く試合の流れは決まった。
 決めたのは前半13分に左足を痛めた先発SO文字隆也に替わって途中出場したトヨタ自動車SOスティーブン・ブレット。
 ブレット自身も左足のケガのため「練習をしてなくて、ぶっつけ本番だった」(廣瀬佳司監督)ことなど、微塵も感じさせないクレバーなプレーでトヨタ自動車のアタックをコンダクト。
 いきなり15分に「『キック』という声に反応して」、相手インゴールに絶妙なゴロパントを転がし、CTBスティーブン・イェーツのトライにつなげ、29分には逆にイェーツのキックチャージからブレット自身がパスをもらいNECゴールを駆け抜けた。
「いい流れをつくってくれた」(廣瀬監督)という途中出場の指令塔のゲームメイクによって主導権を握ったトヨタ自動車の勢いは後半に入ると加速。

 2分に敵陣深くのラインアウトからモールを押し切ってPR長尾純一がトライ。
 15分にブレットのPGで確実に加点した後、26分にもラインアウトを起点にイェーツ、ブレット、NO8菊谷崇が前に出て、最後はLO谷口智昭がパワフルにNECのDFをタテに切り裂いて4トライ目。
 28分にはWTBのポジションで先発していた和田耕二がスキルフルなプレーで外についていたLO杉本晃一のトライを生み出し、31分には和田自らが左ライン際を独走してトライラインを越えてダメ押し。
 最後の5分間でNECが2トライを返したものの、「フィジカルにダイレクトなプレーをして、ボールをスペースに運ぶことができた」と廣瀬監督も合格点を与える内容でトヨタ自動車が日本選手権で再び頂点を目指す権利を手に入れた。

 昨季のベスト4チームがリーグ戦8位に沈み、日本選手権出場も逃してシーズンを終えることになったNECにとっては、「スローガン通り『NO LIMIT !』の戦いになってきている確信を持ちながら、このメンバーで次の試合をできないのが一番残念」と、試合後FL浅野主将が唇をかんだように、チーム力上昇の手応えを感じながら無念のシーズン終了となってしまった。

 ワイルドカードトーナメントを勝ち上がったトヨタ自動車とヤマハ発動機が、4強組のパナソニック ワイルドナイツと神戸製鋼コベルコスティーラーズにチャレンジする日本ラグビーフットボール選手権大会1回戦2試合は2月2日、大阪・近鉄花園ラグビー場で行われる。

(text by Kenji Demura)

 

常に自分たちのペースで試合を進めたトヨタ自動車が41-23でNECに快勝。2年ぶりとなる日本選手権出場へ
photo by Kenji Demura (RJP)

指令塔ブレットも完全復調のトヨタ自動車はトップギアに入った状態で日本選手権に臨む
photo by Kenji Demura (RJP)

トヨタ自動車のプレッシャーに思うようなプレーができず、今季はミラクルNECならず
photo by Kenji Demura (RJP)

 

 

 

 

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