トップリーグ2012-2013特集 TOPプレビュー & TOPレビュー

こちらでは次節の各試合の見どころ、そして試合結果のサマリーと全体のレビューを、トップリーグ観戦をより楽しく、より興味深いものにしていただけるよう、毎週掲載していきます。

リーグ戦 第12節(12/22 - 12/23)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
12/22(土) 12:00 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 13-10 近鉄ライナーズ 秩父宮
12/22(土) 14:00 NECグリーンロケッツ 34-0 キヤノンイーグルス 秩父宮
12/23(日) 12:00 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 52-7 リコーブラックラムズ ホームズ
12/23(日) 12:00 福岡サニックスブルース 13-42 NTTドコモレッドハリケーンズ 鴨池
12/23(日) 13:00 ヤマハ発動機ジュビロ 29-35 サントリーサンゴリアス ヤマハ
12/23(日) 14:00 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 24-25 パナソニック ワイルドナイツ ホームズ
12/23(日) 14:00 九州電力キューデンヴォルテクス 5-101 東芝ブレイブルーパス 鴨池

レビュー

プレーオフ、ワイルドカード、入替戦
全てのグループの顔ぶれが確定

 
 

SH田中の好リードもあって神戸製鋼に1点差勝ちのパナソニックの4強入りが確定
photo by Kenji Demura (RJP)

開始6分にWTB濱島のトライなどでパナソニックを追い詰めた神戸製鋼だが、1点及ばず
photo by Kenji Demura (RJP)

 プレーオフに進む4チーム(レギュラーシーズン1-4位)、ワイルドカードで戦う6チーム(5-10位)、入替戦行きの2チーム(13-14位)、そして、そのいずれでもない2チーム(11-12位)。
 年明けの最終節を待たずに、上記"各グループ"の顔ぶれが全て確定した。
 まずは、前節(第11節)時点での、各チームの勝ち点を整理しておこう。

 1位=サントリーサンゴリアス(勝ち点53)、2位=神戸製鋼コベルコスティーラーズ(同46)、3位=パナソニック ワイルドナイツ(同40)、4位=東芝ブレイブルーパス(同40)、5位=ヤマハ発動機ジュビロ(同35)、6位=トヨタ自動車ヴェルブリッツ(同33)、7位=近鉄ライナーズ(同31)、8位=リコーブラックラムズ(同28)、9位=NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(同23)、10位=NECグリーンロケッツ(同22)、11位=キヤノンイーグルス(同19)、12位=九州電力キューデンヴォルテクス(同14)、13位=福岡サニックスブルース(同6)、14位=NTTドコモレッドハリケーンズ(同2)

 サントリーと神戸製鋼がすでに4強入りを確定済みで、3、4位につけるパナソニックと東芝が勝ち点40で並び、5位のヤマハ発動機は勝ち点35。
 ヤマハ発動機が最終節までプレーオフ進出の可能性を維持するためには、勝ち点5を取って勝てば文句なし。そうでない場合は、東芝、パナソニックの結果次第という状況だった。
 3チームの試合とも、23日に行われたが、キックオフ時間は静岡・ヤマハスタジアムにサントリーを迎えたヤマハ発動機の試合が13時キックオフだったのに対して、神戸製鋼-パナソニック(兵庫ホームズスタジアム神戸)、九州電力-東芝(鹿児島県立鴨池陸上競技場)はいずれも14時試合開始。

 1時間先行していたヤマハ発動機は、王者相手に今季の集大成に相応しい激闘を繰り広げた。
 前半終了間際のWTB中園真司のトライ(FB五郎丸歩ゴール)でハーフタイム時点では10-10。後半、サントリーに3連続トライを許して、いったんは点差を17にまで広げられたものの、終盤、脅威の粘りを見せて3トライを返して王者を追い詰めたものの、あと一歩届かず29-35で試合終了。
 ヤマハ発動機が、4トライと7点差以内での敗戦それぞれに対するボーナスポイントによる勝ち点2を加えるにとどまったため、東芝、パナソニックが共に勝てば、そのまま4強が決まる状況となった。

対照的な内容で4強を決めた東芝とパナソニック

 その3、4位のチームは、実に対照的な戦いぶりで、プレーオフ進出を決めた。
 鹿児島で九州電力と戦っていた東芝は、ヤマハ発動機の敗戦が確定した時点で、すでに勝ち点5の獲得を揺るぎないものとしていた。
 開始1分のFB立川剛士の先制トライを皮切りに、前半だけで6トライを奪う猛攻ぶり。最終的にはトップリーグ史上初となる100点ゲーム(101-5)で九州電力を退け、トップ4チームによるプレーオフのシステムになってからは"皆勤"でもある7年連続のプレーオフ出場を決めた。

 リーグ記録タイとなる96点差で圧勝した東芝に対して、パナソニックは最小点差による辛勝で何とか4強入りを確定させた。
 ウインドウマンス明けの3戦は「軽いプレーもないし、特に修正すべき課題もない」(中嶋則文監督)と、完璧な内容で勝ち点を伸ばしてきたパナソニックだが、この日はハンドリングエラーなどミスが目立った。
「トライを取り急いだ面があったかもしれない」
 豪州から帰国して再びパナソニックの一員としてプレーしたHO堀江翔太が語ったとおり、前半いいかたちで攻めながら、あと一歩のところでミスが出て仕留め切れず、後半、神戸製鋼に3トライを重ねられた。
 トライ数では3-4で下回ったものの、7試合ぶりに復帰したSO森田恭平が3本のプレースキックを外したのにも助けられて、25-24で何とか逃げ切り、こちらは6年連続となるプレーオフを確定させた。

 ヤマハ発動機同様、プレーオフ進出の可能性を残していたトヨタ自動車(第11節終了時点で3、4位グループとの勝ち点差7)は、23日のホームズスタジアム第1試合に登場。
「選手たちはDFもアタックも自分たちがやりたいラグビーをしっかりやってくれた」と、廣瀬佳司監督も合格点を与える完璧とも言える内容で8トライを奪ってリコーに圧勝したが、東芝、パナソニック共に勝利を収めたために、2年ぶりの4強入りはなくなった。

 一方、前節終了時点で3、4位との勝ち点が9と、徳俵いっぱいとはいえ辛うじて初のプレーオフ出場の可能性を残していた近鉄ライナーズは22日に東京・秩父宮ラグビー場の第1試合でNTTコムと戦ったが、「いままでの中でも1、2を争う寒さ」(FB高忠伸主将)という冷たい雨が降りしきる悪条件に実力を発揮できない不運も影響して、10-13で惜敗。この時点で、ワイルドカードトーナメントへ回ることが決まった。

 22日の秩父宮の第2試合は、ワイルドカード出場枠である10位を争うNECグリーンロケッツとキヤノンイーグルスとの対戦となったが、NECが本来のDF力を十分に発揮するかたちでキヤノンを零封。アタック面でも、5トライ中4トライをBKが奪うなど、SOに森田洋介、CTBに田村優を入れる布陣が機能して、今季一番と言っていい内容で快勝を収めて、10位以内を確定させた。

 また、13位対14位の対戦となった福岡サニックスブルース-NTTドコモレッドハリケーンズ戦は、ひとりで22得点を叩き出したSOハミッシュ・ガードの活躍もあって、NTTドコモが42-13で快勝。今季初勝利を挙げて、福岡サニックスと入れ替わって順位を13位とした。
 尚、福岡サニックスが敗れたことで九州電力のトップリーグ残留も確定。入替戦にはNTTドコモと福岡サニックスが回る。

(text by Kenji Demura)

 

完全復活のWTB遠藤のハットトリックなど8トライを重ねたトヨタ自動車が快勝
photo by Kenji Demura (RJP)

厳しい条件の中、守り切ったNTTコムが近鉄を破りワイルドカードT出場確定
photo by Kenji Demura (RJP)

 

前半5分のWTB窪田のトライを皮切りに5トライを奪ってNECが快勝。ワイルドカードTへ
photo by Kenji Demura (RJP)

キヤノンは最後までNECのDFを崩せず完封負け。初昇格にしてワイルドカードT進出はならず
photo by Kenji Demura (RJP)

 

速報サマリー

[12月23日]東芝、パナソニックのプレーオフ進出決定。4強が出揃う

プレーオフに進出する4チームが出揃った。
23日、12節5試合が行われ、前節終了時点に勝ち点40で並んでいた3位パナソニック ワイルドナイツと4位東芝ブレイブルーパスが共に勝ち星を挙げる一方、勝ち点35で5位につけていたヤマハ発動機ジュビロがサントリーサンゴリアスに敗れた。
この結果、すでにプレーオフ進出を決めていたサントリー、神戸製鋼コベルコスティーラーズに続いて東芝、パナソニックの4位以内も確定。東芝は4強によるプレーオフトーナメントが始まった06-07年シーズンから7年連続、パナソニックは6年連続でのプレーオフ出場となる。

兵庫・ホームズスタジアム神戸(第2試合)で神戸製鋼と対戦したパナソニックは、前半、自分たちのリズムで攻める時間帯が多かったものの、「ハンドリングエラーなどミスでスコアまでいけなかった」(中嶋則文監督)ことが響いて、終盤、神戸製鋼に追い上げられ、25-24での薄氷を踏む思いでの勝利。
神戸製鋼は前節で東芝に完敗したFW陣が奮起。セットでプレッシャーをかけ、モールからトライを奪うなど「全体的には凄く良かった」(LO伊藤鐘史ゲームキャプテン)という内容での1点差負けだけに、プレーオフに向けて自信をつかんだ。

一方、静岡・ヤマハスタジアム(磐田)では、地元ヤマハ発動機が王者サントリー相手に奮闘したものの、あと一歩及ばず29-35で惜敗。
また、鹿児島県立鴨池陸上競技場では、東芝が九州電力キューデンヴォルテクスから15トライを奪う猛攻ぶりを見せてトップリーグ史上初となる100点ゲーム(101-5)で圧勝。

兵庫・ホームズスタジアム神戸の第1試合ではトヨタ自動車ヴェルブリッツがリコーブラックラムズに対して8トライを奪って52-7で快勝したものの、パナソニック、東芝が共に勝ったため、ヤマハ発動機とトヨタ自動車のプレーオフ進出の可能性は消滅。両チームはワイルドカードトーナメントへの出場が決まった。

尚、共に入替戦に回ることになる福岡サニックスブルースとNTTドコモレッドハリケーンズの一戦は、42-13でNTTドコモが今季初白星を挙げ、福岡サニックスに替わって13位に浮上。福岡サニックスが敗れたことで、九州電力のトップリーグ残留も決まった。

(text by Kenji Demura)

前半、FLバツベイのトライなどで主導権を握ったパナソニックだが、最後は1点差での辛勝
photo by Kenji Demura (RJP)

後半38分のCTBアンダーソンのトライで1点差に追い詰めた神戸にとっては今後につながる試合に
photo by Kenji Demura (RJP)

 

[12月22日]NEC、NTTコムが快勝し、ワイルドカードT出場を決める

東京・秩父宮ラグビー場で第12節2試合が行われ、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスとNECグリーンロケッツが勝利。共に10位以内を確定させて、ワイルドカードトーナメントへの出場権を獲得した。

冷たい横殴りの雨が降りしきる厳しい条件の中で行われた第1試合は、後半20分に近鉄ライナーズがLO松岡勇のトライでいったんは逆転したものの、後半28分にNTTコムはミスなくフェイズを重ねた後、SO君島良夫が自らのグラバーキックを押さえて再逆転。
厳しい条件の中、「DFが前半節の好調だった頃に戻った」(林雅人監督)というNTTコムが守り勝つかっこうとなった。
一方、敗れた近鉄のプレーオフ進出の可能性は消滅した。

第2試合でも、光ったのはNECのDF力。前節でヤマハ発動機に計6トライを奪われたチームとは思えない完璧な守りでキヤノンイーグルスを零封。攻めても、SOに森田洋介、インサイドCTBに田村優を入れるBK布陣が機能。開始5分に田村のキックパスをWTB窪田幸一郎がキャッチして奪った先制トライを皮切りに計5トライを重ねて、34-0で快勝した。
「いいパフォーマンスでワイルドカードを決められたのは、狙えるのが日本選手権で優勝だけとなったチームとしては自信になる」と、FL浅野良太主将もシーズン終盤戦に向けて、自信をつかんだ様子。
初昇格ながらワイルドカードを狙っていたキヤノンの野望はついえた(すでに残留は確定済み)。

この結果、近鉄、リコー、NTTコム、NECの4チームのワイルドカードトーナメント出場が確定した。

(text by Kenji Demura)

後半28分のSO君島のトライで近鉄を退けたNTTコムのワイルドカードT行きが確定
photo by Kenji Demura (RJP)

球さばきだけではなくDFでも貢献度の大きかったNECのSH櫻井がMOMに
photo by Kenji Demura (RJP)

 

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