トップリーグ2012-2013特集 TOPプレビュー & TOPレビュー

こちらでは次節の各試合の見どころ、そして試合結果のサマリーと全体のレビューを、トップリーグ観戦をより楽しく、より興味深いものにしていただけるよう、毎週掲載していきます。

リーグ戦 第11節(12/15 - 12/16)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
12/15(土) 12:00 九州電力キューデンヴォルテクス 35-76 パナソニック ワイルドナイツ 近鉄花園
12/15(土) 13:00 サントリーサンゴリアス 38-7 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 秩父宮
12/15(土) 13:00 NTTドコモレッドハリケーンズ 14-44 リコーブラックラムズ 皇子山
12/15(土) 14:00 近鉄ライナーズ 44-39 キヤノンイーグルス 近鉄花園
12/16(日) 13:00 NECグリーンロケッツ 35-49 ヤマハ発動機ジュビロ 長良川
12/16(日) 13:00 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 27-29 東芝ブレイブルーパス ホームズ
12/16(日) 13:00 福岡サニックスブルース 25-35 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 沖縄陸

レビュー

調子を上げるパナソニック、東芝が4強へ1歩前進
神戸製鋼は初黒星ながら、4年ぶりプレーオフ決定

 
 

東芝に力負けも、神戸製鋼は終了間際の劇的なWTB今村のトライで勝ち点1を挙げて4強入りが確定
photo by Kenji Demura (RJP)

神戸製鋼を圧倒した東芝はNO8豊田主将をはじめとするFW陣がパワー全開になってきた印象
photo by Kenji Demura (RJP)

 前節のサントリーサンゴリアス(勝ち点53=1位)に続いて、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(勝ち点46=2位)がプレーオフ進出を決めた。
 歓喜の爆発は全くなかったとはいえ、それは劇的な幕切れではあった。
 すでに、勝利はなくなっていたロスタイム。自陣からしつこく「最後のアタック」をし続けた神戸製鋼は、3度目のPKからWTB今村雄太が右ライン際を激走。最後は必死に追いすがる東芝SH藤井淳のタックルを振り切って、東芝インゴールに飛び込んだ。
 後半37分に東芝にスクラムからペナルティトライを奪われて20-29に引き離されていた神戸製鋼は、この値千金のトライで点差を7点差以内に詰めて(CTB山本大介のゴールが決まり、最終スコアは東芝29-27神戸製鋼)、貴重なボーナスポイントを獲得。
 この勝ち点1によって、5位ヤマハ発動機との勝ち点差を11に伸ばした神戸製鋼は、残り2節を前に4年ぶりとなるプレーオフ進出を決めた。

 もちろん、今季初の神戸製鋼でのホームゲームで今季初黒星を喫したということもあって、「負けて悔しい思いしかない」(FL橋本大輝主将)のは確かだろう。それでも、最後のトライを決めた今村が「ペナルティトライの後の円陣で『1トライ取って勝ち点1を取るぞ』と確認していたので、最後は走り切ってやろうという思いだった」と振り返った通り、最後の最後に最高のアタックを見せて、プレーオフを勝ち取った事実はチームの成長の証しとも言えた。
「ネバーギブアップの精神で1ポイント取ってプレーオフを決めた選手たちを誇りに思う」(苑田右二ヘッドコーチ)
 残り2節をパナソニック ワイルドナイツ、サントリーサンゴリアスという強豪と戦った上でプレーオフを迎える神戸製鋼としては「今後につながる試合になった」(橋本主将)ことは間違いないだろう。

 一方、負ければプレーオフ進出に黄色信号が灯る状況だった東芝は、点差以上に内容的にはFWで圧倒しての快勝だった。
 開始2分にFWが近場をタテに突破した後、左サイドをFB立川剛士がラインブレークしてインゴールに入り、内側についていたWTB宇薄岳央にパスを通す余裕のトライであっさり先制。10分にも相手ゴール前のスクラムを支配して、FLマイケル・リーチが抜け出して2トライ目。
 その後もセットプレー、ブレイクダウン共に完全に支配したが、前述の後半37分のペナルティトライ(=4トライ目)でようやく勝負を決められたことが如実に物語っているように、ゲームを支配しながらもなかなかスコアに結びつけられない点は今後に向けての課題だろう。

 ヤマハ発動機ジュビロに3点差勝利、サントリーサンゴリアスに1点差負け、そして神戸製鋼にも2点差での勝利。
 サントリー戦も含め、ウインドウマンス明けの3試合はいずれもがもっと点差を離して勝っていて、おかしくない内容だった。
「キックオフでのキャッチミスだったり、キック自体のミスだったり、一発のタックルミスだったり、自分たちでリズムを崩している」(和田賢一監督)
 それでも、昨季、FW戦で圧倒された神戸製鋼に対して完勝したことに象徴されているように、FWの力強さは現在トップリーグNO1であると断言してもいいだろう。
「FW8人のスクラムへのこだわりはトップリーグの中で一番」(PR浅原拓真)
「1年前にやられているFWの強い神戸製鋼を圧倒できたのは自信になる」(LO大野均)
 シーズン終盤戦に向けて強力東芝FWが完全に仕上がってきているのは間違いない。

ヤマハ発動機、トヨタ自動車、近鉄に4強の可能性。キヤノンの残留も確定

 神戸製鋼の4強入りが決まったことで、残り2枠となったプレーオフスポット。
 東芝と3位争いを繰り広げているパナソニック ワイルドナイツは、今季初となる関西の試合(15日、大阪・近鉄花園ラグビー場)で九州電力キューデンヴォルテクスから計11トライを奪う猛攻ぶりで76得点。勝ち点5を加えて、しっかり3位をキープした。
「前2試合に続いて、自分たちが準備してきたものが出せた」(中嶋則文監督)と、リーグ再開後のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦から続く好調を維持したまま、次節はプレーオフに向けて重要な意味を持つ神戸製鋼戦を迎えることになる。

 前節終了時点で5-7位につけていた、4強入りの可能性を残す3チームもそれぞれ勝ち点5を獲得し、プレーオフ戦線に踏みとどまった。
 5位のヤマハ発動機ジュビロ(勝ち点35)は16日に岐阜メモリアルセンター長良川競技場で昨季の4強チームであるNECグリーンロケッツと対戦。前半だけで4トライを奪う先制パンチが効いて、後半NECに追い上げられたものの、49-35で勝利。3、4位グループとの勝ち点差5を維持した。
 次節はホームで清宮克幸監督の出身チームでもある、王者サントリーとの大一番となる。
 6位トヨタ自動車ヴェルブリッツ(勝ち点=33)は福岡サニックスブルースとの競り合いを制して35-25(16日、沖縄県総合運動公園陸上競技場)。トヨタ自動車と3、4位との勝ち点差は7。

 一方、初昇格のキヤノンイーグルスに5トライを奪われながらも、7トライをものにして44-39(15日、大阪・近鉄花園ラグビー場)で逃げ切ったのは7位近鉄ライナーズ(勝ち点=31)。
「ホーム最終戦のマストウィンゲームで結果が出たのは良かったけど、内的要因、外的要因によってゲームコントロールを失ってしまった」と、FB高忠伸主将は反省しきりだったが、とにもかくにも3、4位との勝ち点差9はキープして、残り2節での奇跡の逆転4強入りの可能性は維持した。
 善戦したキヤノン(勝ち点19 =11位)は、翌日、福岡サニックス(勝ち点6=13位)が敗れたことで、初昇格にして早くもトップリーグ残留を決めた。

 尚、15日に滋賀・皇子山総合運動公園陸上競技場でNTTドコモレッドハリケーンズに44-14で快勝したリコーブラックラムズ(勝ち点28=8位)、そして同日に東京・秩父宮ラグビー場でサントリー(勝ち点53=1位)に48-14で敗れたNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(勝ち点23=9位)のプレーオフ進出の可能性はなくなった。

(text by Kenji Demura)

 

リーグ再開後、いいかたちでの快勝が続くパナソニック(九州電力戦のMOMはFL西原)
photo by Kenji Demura (RJP)

キヤノンとのトライの取り合いを制した近鉄はプレーオフへ望みをつないだ(写真中央はCTB大西)
photo by Kenji Demura (RJP)

 

近鉄からも勝ち点2を奪ったキヤノンの残留決定(写真は後半11分にトライを決めたSOブルース)
photo by Kenji Demura (RJP)

パナソニックから5トライを挙げて勝ち点1を獲得した九電も残留確定に1歩近づいたかっこう
photo by Kenji Demura (RJP)

 

速報サマリー

[12月16日]神戸製鋼がFW戦で東芝に完敗も、プレーオフ進出決める

16日、第11節残り3試合が行われ、注目の神戸製鋼コベルコスティーラーズ-東芝ブレイブルーパス戦(兵庫・ホームズスタジアム神戸)は29-27で東芝が勝利。東芝が勝ち点5を確保して4位をキープする一方、今季初黒星を喫した神戸製鋼もロスタイムに飛び出したWTB今村雄太のトライでボーナスポイントを獲得して、4年ぶりとなるプレーオフ進出を決めた。

東芝としては自慢のFW戦で圧倒しての勝利だっただけに、「全員から自分たちのスタンディングラグビ―をやって勝つという強い意志が感じられた」と、NO8豊田真人主将も納得の表情。
一方、神戸製鋼FL橋本大輝主将は「負けて悔しいのひと言。でも、最後にトライを取れたのは今後につながるし、FWの部分も修正していける」と、プレーオフ進出を決めたことで、リベンジの機会がまだあることを噛みしめていた。

岐阜メモリアルセンター長良川競技場では前半だけで4トライを奪うなど、優位に試合を進めたヤマハ発動機ジュビロが終盤追い上げたNECグリーンロケッツを49-35で退け、勝ち点5を加えて、5位をキープ。

沖縄県総合運動公園陸上競技場ではトヨタ自動車ヴェルブリッツが福岡サニックスブルースに35-25で勝利。こちらも勝ち点5を獲得したことで、プレーオフ進出へ望みをつないだ。

第11節を終わって、サントリー、神戸製鋼のプレーオフ出場が確定。残り2枠を3位パナソニック ワイルドナイツ(勝ち点40)、4位東芝(勝ち点40)、5位ヤマハ発動機(勝ち点35)、6位トヨタ自動車(勝ち点33)、7位近鉄ライナーズ(勝ち点31)が争う格好となっている。

(text by Kenji Demura)

後半37分にスクラムから試合を決めるペナルティトライを奪い喜ぶ東芝FW
photo by Kenji Demura (RJP)

ロスタイムに飛び出したWTB今村のトライでボーナスポイントを獲得した神戸製鋼のプレーオフ進出が決定
photo by Kenji Demura (RJP)

 

[12月15日]サントリー、パナソニック、近鉄、リコーが快勝

15日、第11節4試合が行われ、上位陣が順当勝ちして、それぞれ勝ち点を伸ばした。

東京・秩父宮ラグビー場では首位のサントリーサンゴリアスがNTTコミュニケーションズシャイニングアークスから5トライを奪って38-7で快勝。勝ち点を53として、2位以上を確定させた。

大阪・近鉄花園ラグビー場の第1試合では3位のパナソニック ワイルドナイツが九州電力キューデンヴォルテクス相手に前半だけで7トライを奪う猛攻ぶり。後半は「九州電力の気迫に押された」(パナソニック中嶋則文監督)恰好となって4トライを許したものの、最終的には76-35でパナソニックが大勝した(パナソニックの勝ち点は40に)。

また、共に攻撃力が持ち味のチーム同士の対戦となった第2試合は常に先攻した近鉄ライナーズが計7トライを奪い、粘るキヤノンイーグルスを振り切って44-39で勝利。「ホーム最終戦のマストウィンゲームで結果が出たのは良かった」(FB高忠伸主将)と、レギュラーシーズン最後の花園でトップ4入りへ望みをつなぐ貴重な勝ち点5を獲得した(近鉄の勝ち点は31に)。

滋賀・皇子山総合運動公園陸上競技場ではリコーブラックラムズが6トライを奪ってNTTドコモレッドハリケーンズに44-14で快勝。NTTドコモは入替戦に回ることが決まった。

(text by Kenji Demura)

ゲームキャプテンWTB三宅の先制トライを皮切りに計11トライを奪ってパナソニックが大勝
photo by Kenji Demura (RJP)

前半23分のFB高主将のトライなどでリードした近鉄が後半のキヤノンの猛追を振り切った
photo by Kenji Demura (RJP)

 

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