セミファイナル前哨戦? 因縁の神戸製鋼-パナソニック
ヤマハ発動機は4強入りを賭けて、サントリーに挑戦
神戸製鋼戦ではHO堀江、SH田中(写真)も再びパナソニックの一員としてプレー |
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東芝に完敗した神戸製鋼FWのパナソニック戦での復活は(写真はLO安井) |
レギュラーシーズンも残り2節となったトップリーグ。
前節までにサントリーサンゴリアス(勝ち点53=1位)と神戸製鋼コベルコスティーラーズ(同46=2位)のプレーオフ進出が確定。
残り2枠に入り込む可能性を残しているのはパナソニック ワイルドナイツ(同40=3位)、東芝ブレイブルーパス(同40=4位)、ヤマハ発動機ジュビロ(同35=5位)、トヨタ自動車ヴェルブリッツ(同33=6位)、近鉄ライナーズ(同31=7位)の5チーム。
年内最後となる今節も全国各地で4強入り争いに直接影響する好カードが数多く組まれている。
5チーム中、最もプレーオフスポットに近づいているパナソニックは敵地で神戸製鋼と対戦する(22日、兵庫・ホームズスタジアム神戸)。
「11月の宮崎合宿でしっかり話し合って、コミュニケーションが良くなった。15人全員でしっかり動けるようになった」(中嶋則文監督)というパナソニックは、ウインドウマンス明けの3試合で計181得点を挙げる猛攻ぶりを見せて3連勝。勢いに乗っている。
神戸製鋼戦では、ここ2試合は出場していなかったHO堀江翔太、SH田中史朗のスーパーラグビー組も復帰する予定。
CTBソニービル・ウィリアムズ以外は目立ったケガ人もなく、万全な状態でかつての宿敵とも言える、神戸製鋼戦に臨むことになりそうだ。
「神戸はDFがいい。まずはストラクチャーをしっかり実行した上で、自分たちの強みであるアンストラクチャーの部分の精度を上げていきたい」と、中嶋監督は抱負を語る。
ちなみに、SBウィリアムズに関しては、「リハビリも当初の予定より早く進んでいて、プレーオフには間に合いそう」とのこと。
一方、迎え撃つ神戸製鋼は前節の東芝戦で今季初黒星(27-29)を喫したものの、ロスタイムに飛び出したCTB今村雄太のトライで貴重な勝ち点1(=7点差以内での敗戦)を挙げて、プレーオフ進出を決めた。
「負けて悔しい思いしかない」(FL橋本大輝主将)
自信を持っていたはずのFW戦で完敗しただけに、4年ぶりの4強入り確定にも選手たちには笑顔は見られなかったが、最後のワンプレーで自陣から攻め続けてトライを取り切ったのは力がある証拠でもあるだろう。
第10節の福岡サニックスブルース戦でCTBクレイグ・ウィング、前節の東芝戦で同ジャック・フーリーとBKの中心選手が負傷。2人ともパナソニック戦には間に合わないが、東芝戦の後半は2人なしでスコア的には上回っており、苑田右二ヘッドコーチは「タフさはチームに浸透してきている」と自信を見せる。
両チームは4週間後のプレーオフセミファイナルでも対戦する可能性も十分あり、前哨戦としても注目される。
ワイルドカード、入替戦を巡る熱い戦いも
3位パナソニックと勝ち点差なしで4位につける東芝は鹿児島で九州電力キューデンヴォルテクス(勝ち点14=12位)と対戦する(23日、鹿児島県立鴨池陸上競技場)。
前述のとおり、神戸製鋼戦では「全員から自分たちのスタンディングラグビーをやって勝つという強い意志が感じられた」と、NO.8豊田真人主将も納得の強い東芝を印象づける戦いぶり。
ただし、内容的には圧倒しながらスコア的には2点差での辛勝。対する九州電力は前節、パナソニック相手に5トライを奪ったように数少ないチャンスをものにする力はあるだけに、侮れない。
「(パナソニック戦で)ハーフタイムの後、精神的に立て直せて、チャレンジして1ポイント取れたのは今後につながる。ひとつひとつのタックル、ブレイクダウンでの再獲得など、自分たちのスタンダードを保って戦いたい」(平田輝志監督)という九州電力は東芝相手に金星を奪って、自力で残留を勝ち取りたいところだ。
3、4位グループに勝ち点5差の5位ヤマハ発動機は今季の集大成となる大一番、ホームでの首位サントリー戦を迎える(23日、静岡・ヤマハスタジアム=磐田)。
清宮克幸監督、長谷川慎FWコーチと、サントリーを知り尽くす指導陣がどんなゲームプランで王者に挑むのか。熱いバトルが繰り広げられることは間違いなさそうだ。
チャンレンジャーであるヤマハ発動機としては、前半だけで4トライを重ねた前節のNECグリーンロケッツ戦のように、先制して主導権を握りたいところだ。
ウインドウマンス明けの東芝戦では、昨季の日本選手権で15-56で敗れた相手を3点差にまで追い詰めているだけに、「ここ数年の東芝とヤマハの力関係がひっくり返る時が来た」(清宮監督)というチームの成長ぶりを王者相手に証明するまたとない機会となる。
3、4位グループとの勝ち点差が7、そして9と、プレーオフ進出の可能性がかなり厳しい状況となっているトヨタ自動車と近鉄は、それぞれリコーブラックラムズ(勝ち点28=8位)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(勝ち点23=9位)と対戦する(NTTコム-近鉄=22日に東京・秩父宮ラグビー場、トヨタ自動車-リコー=23日にホームズスタジアム神戸)。
トヨタ自動車はウインドウマンス明けのパナソニック戦で17-40と完敗した後、キヤノンイーグルス(34-26)、福岡サニックスブルース相手に(35-25)競り勝って、4強戦線に踏みとどまっている。
まずは「ミスが多いところを修正していく」(廣瀬佳司監督)ことができるかがポイントになる。
一方の近鉄は、12月に入ってからはリコー(19-17)、ヤマハ発動機(35-28)、キヤノン(44-39)相手に際どい試合を続けながら3連勝。
ここ2試合、SO重光泰昌、FB高忠伸主将がマン・オブ・ザ・マッチに選ばれている通り、「化石みたい」と高主将が自嘲するベテランBK陣も好調なだけに、得意のボールを大きく動かすラグビーで4強入りへの可能性を残したいところ。
また、22日の東京・秩父宮ではNEC(勝ち点22=10位)-キヤノン(勝ち点19=11位)というワイルドカード争いに大きな影響を与える一戦、23日の鹿児島・鴨池では入替戦の行方を占いそうな福岡サニックス-NTTドコモレッドハリケーンズの一戦も予定されている。
(text by Kenji Demura)
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