日本代表組完全復帰に、注目のニューフェイス対決も
"府中ダービー"を筆頭に4強を巡る熱戦が続々
ウインドウマンス前の第8節でTL通算100トライを記録したサントリーWTB小野澤も東芝戦では先発復帰 |
|
日本代表主将でもある東芝WTB廣瀬は前週に続き先発出場。小野澤との直接対決も注目される |
|
東芝は前節のヤマハ発動機戦で勝利の立役者となったCTB増田を大一番で再び先発起用する |
前節、1ヵ月間のウインドウマンスを経て再開されたトップリーグも残すは4節のみ。
もちろん、これからの終盤戦はプレーオフ、あるいはワイルドカードトーナメント進出を目指す各チームにとって、負けられない試合が続くことになる。
今節一番の注目カードを挙げるなら、やはり"府中ダービー"のサントリーサンゴリアス-東芝ブレイブルーパス戦ということになる(8日、東京・味の素スタジアム)。
今季ここまで全勝を続けるサントリーに対して、東芝はトヨタ自動車ヴェルブリッツ、リコーブラックラムズに敗れてすでに2敗。
東芝がもう負けられない状態に追い詰められていることも影響したのか、ウインドウマンス明け直後の一戦でも両チームは対照的な対応ぶりを見せた。
共に、11月に欧州遠征を敢行した日本代表に多くの主力選手を輩出した両チームだが、帰国から4日後に行われた前節では、サントリーが代表選手をひとりも先発させなかったのに対して、東芝はPR浅原拓真、LO大野均、WTB廣瀬俊朗の3人が先発。ジャパンのヨーロッパ遠征でただ一人、4試合フル出場を果たしたFLマイケル・リーチも後半20分にはグラウンドに姿を見せ、当初は先発メンバー入りしながらコンディション不良のため欠場したCTB仙波智裕以外は、日本代表組が勢揃い。
そんな豪華メンバーで臨んだ、前節のヤマハ発動機ジュビロとの3・4位対決で、東芝はFW戦での優位性を生かせずに、17-14で辛勝。
「いまの東芝としては、とにかく1点でも相手を上回ることが大事」(LO望月雄太)とはいうものの、"府中ダービー"へ向けて、改めて課題が浮き彫りになる試合内容となった。
何とか3位はキープしたものの、4位パナソニック ワイルドナイツとの勝ち点差はわずかに4。5位に後退したヤマハ発動機との勝ち点差も5しかなく、東芝にとっては1試合も負けられない状況が続いている。
そんなふうに例年以上に、"必勝"で臨む東芝は、サントリー戦には仙波も復帰予定。前節、トップリーグ初出場ながら攻守にフィジカルなプレーぶりで仙波の穴を埋めた増田慶介がそのまま先発に残るかたちで仙波とCTBコンビを組む。
「(ヤマハ発動機戦のトライにつながった)ビッグゲインだけじゃなく、細かいタックルが生きている」というのが和田賢一監督の評価だ。
奇しくもサントリーでも、長崎北高-慶大と増田の同期で長らくコンビを組んで活躍した竹本竜太郎が、前節のNTTドコモレッドハリケーンズ戦に続いてFBで先発する。
前節は先発から外れたPR畠山健介、LO真壁伸弥主将、SH日和佐篤、WTB小野澤宏時の日本代表も先発復帰するだけに(SO小野晃征はリザーブ入り)、日本代表同士の対決も興味深いが、その一方で、竹本-増田のフレッシュな同級生対決にも注目だ。
グラウンド外のイベントにも注目を
昨季のリーグ戦では「サントリーはラスト20分で落ちてくるのがわかっていた」という東芝NO8豊田真人主将の言葉どおり、最後の10分間で2トライ/2ゴールを重ねた東芝が逆転勝ち。
ただし、件の発言によって発奮したサントリーが日本選手権準決勝の再戦では、後半東芝を零封する完璧なラグビーを見せてリベンジを果たしたのは記憶に新しいところ。
ちなみに、シーズン開幕2週間前の8月18日に行われたプレシーズンマッチでは、17-13で東芝がサントリーを破っている。
「東芝は日本一コンタクトにこだわっているチーム。どれだけボールを速く動かせるかチャレンジしたい」(サントリー大久保直弥監督)
「(前節のヤマハ発動機戦では)DFでは準備してきたものが出せたが、アタックの部分ではミスが多く継続ができなかったので、そこを修正していきたい」(東芝・豊田主将)
日本ラグビーの最高峰を感じさせる熱い80分間が繰り広げられることは疑いない。
サントリー-東芝戦と同じ8日には、静岡・ヤマハスタジアム(磐田)でヤマハ発動機-近鉄ライナーズ、千葉・フクダ電子アリーナでNECグリーンロケッツ-NTTコミュニケーションズシャイニングアークスも予定されている。
現在5位のヤマハ発動機(勝ち点29)はもちろん、7位のNTTコム(勝ち点23)、8位近鉄(勝ち点21)にとっても、4強入りの可能性を維持するためには絶対に負けられない一戦となる。
また、翌9日には、パナソニック-NTTドコモ(群馬/太田市運動公園陸上競技場)、神戸製鋼コベルコスティーラーズ-福岡サニックスブルース(岡山/kankoスタジアム)、キヤノンイーグルス-トヨタ自動車ヴェルブリッツ(徳島/鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム)、九州電力キューデンヴォルテクス-リコーブラックラムズ(佐賀/ベストアメニティスタジアム)の4試合が行われる。
尚、味スタにフィンランドからサンタクロースがやってきたり、ヤマハスタジアムでは焼津港から直送されるマグロの解体ショーがあったりと、各会場では来場者向けのイベントも多数実施される予定。グラウンド内外で極上のエンターテイメントが堪能できる週末となりそうだ。
(text by Kenji Demura)
地元に難敵・近鉄を迎えるヤマハ発動機はサウに替わってCTBピウタウが先発。前節のリベンジを狙う |
CTBフーリーの大車輪の活躍もあって無敗でサントリーを追う神戸製鋼は過去4年間で2勝2敗の福岡サニックスと対戦 |
前節、トヨタ自動車に快勝して4位に浮上したパナソニックは2週連続のホームゲームでNTTドコモと対戦する |
神戸製鋼に大敗して4敗目を喫したNTTコムは昨季4強のNEC戦に必勝態勢で臨む |