ウインドウマンス中断前に好ゲームが目白押し
小野澤の100トライは? 代表選手チェックも怠りなく!
次のトライがTL通算100トライ目となるサントリーWTB小野澤。福岡で偉業達成なるか? |
|
秩父宮ラガールデーに登場するヤマハ発動機は4位をキープできるか? FB五郎丸のプレーもポイントに |
8月31日の開幕戦から約2ヵ月。
10月27日に予定されている第8節計7試合をもって、トップリーグ2012-2013は5週間に渡る中断期間を迎える。
11月はウインドウマンスと呼ばれる代表チームの活動が優先される期間であり、世界各地で代表チーム同士のテストマッチが行われるため、多くの国内リーグがトップリーグ同様、小休止となる。
トップリーグの場合、ウインドウマンス後のレギュラーシーズンの日程は残り5節のみ。
1ヵ月あれば故障者が戻ってくるチームもあるだろうし、もちろん戦術の練り直しなども十分可能。
休み明けに控える終盤戦をいい状態で迎えるためにも、各チームとも全てを出し切ってものにしたいのが、ウインドウマンス前の第8節ということになる。
すでに、11月2日-27日に欧州遠征を行う日本代表メンバーも発表されており、「トップの30人を選んだ」というエディー・ジョーンズヘッドコーチのお眼鏡にかなったトップリーガーたちのプレーぶりを改めて確認してみる機会としても最適と言っていいだろう。
当然と言えば当然だが、今季トップリーグでプレーした選手で比較するなら、首位を行くサントリーサンゴリアスからは最多の6人がジャパンに選ばれている(パナソニック ワイルドナイツ所属ながら、今季ここまでNZでプレーしてきたHO堀江翔太、SN田中史朗は除外して計算)。
そのサントリーは、敵地に乗り込んで福岡サニックスブルースと対戦する(福岡・レベルファイブスタジアム、14時キックオフ)。
サントリーの6人のジャパン組のうち4人はBKプレーヤー(SH日和佐篤、SO小野晃征、FB有賀剛、WTB小野澤宏時)。
中でも、「ここ3試合は最高の状態に戻ってきている」と、ジョーンズヘッドコーチも現在のプレーぶりを高く評価するベテラン小野澤は、前人未到のトップリーグ通算100トライまで、あと「1」に迫っている。
ジョーンズヘッドコーチの高評価を裏付けるように、小野澤はここ3試合で5トライを奪っており、九州のファンにとっては、「100トライを記録する選手なんて、もう出ないんじゃないですか」(サントリー大久保直弥監督)という歴史的な瞬間を目撃する、またとないチャンスとなる。
サントリーでは、やはりジャパン組のSO小野が3試合ぶりにベンチ入り。
周知のとおり、福岡サニックスは昨季まで小野がプレーしていたチーム。藤井雄一郎監督は、「ああ、そんな選手もいたか、ぐらいの感じですよ」と、冗談まじりに語るが、小野としては成長した姿をかつてのチームメイト、そして九州のファンに見せたいところだろう。
もちろん、福岡サニックスもサントリーとはひと味違うスタイルながら、そのアタッキングラグビーで多くのファンを魅了するチーム。
今季は第2節以降6連敗中と結果が出ていないが、前々節の東芝ブレイブルーパス戦(20-29)、前節のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦(23-30)と、"らしさ"を取り戻しつつある戦いぶりが続き、調子が上がってきている。
この両チームの対戦では、攻守が何度も入れ替わりながら、お互いにプレーを切らずに何分もレフリーの笛がないまま試合が続いていくこともしばしば。今回も壮絶なアタッキングラグビーの応酬が期待できそうだ。
また、レベスタでの第1試合(12時キックオフ)では、今季まだ白星に恵まれていない九州電力キューデンヴォルテクス(勝ち点4=13位)とNTTドコモレッドハリケーンズ(勝ち点1=14位)の対戦が組まれており、どちらがトンネルから抜け出して上昇気流に乗っていけるのか。こちらも熱い戦いになること必至だろう。
ラガールデーの秩父宮ではTOP4をめぐるタフバトル
前述どおり、堀江、田中を加えれば、サントリーをしのぐ7人(NO8ヘンドリック・ツイ、同ホラニ 龍コリニアシ、SO/CTB林泰基、WTB山田章仁、FB田邉淳)を日本代表として欧州に送り出すことになるパナソニック(勝ち点21=6位)は、地元に近鉄ライナーズを迎える(群馬・太田市運動公園陸上競技場、13時キックオフ)。
前節のサントリーとの大一番では、「ボールを目で追ってしまい、足が止まっていた。もう少し前でプレッシャーをかけたかった」(中嶋則文監督)という個々のDFの弱さが垣間見られた面もあっただけに、グラウンドを大きく使って攻めてくる近鉄のアタックを止めきれるかが、まずはポイントになりそうだ。
マイク・デラーニに替わってSOのポジションに入る、日本代表にも選ばれた林がBKラインをどう引っ張っていくかも注目される。
現在、6勝1分(勝ち点30)と無敗を守って2位につけている神戸製鋼コベルコスティーラーズ、そして6勝1敗(勝ち点28)で3位の東芝ブレイブルーパスは、仲良く5人ずつを日本代表に輩出(神戸製鋼=PR平島久照、同・山下裕史、LO/FL伊藤鐘史、FL橋本大輝、CTB/WTB今村雄太。東芝=PR浅原拓真、LO大野均、FLマイケル・リーチ、CTB仙波智裕、WTB廣瀬俊朗)。
神戸製鋼は高知県立春野総合運動公園陸上競技場で、前述の小野とジャパンの司令塔を争う田村優がSOに入るNECグリーンロケッツ(勝ち点11=11位)と対戦。
一方、東芝の対戦相手は持ち前のスピードあるラグビーが機能し始めて、現在3連勝と波に乗るリコーブラックラムズ(勝ち点16=9位。茨城・ケーズデンキスタジアム水戸)。リコーとしては、快足BK陣を生かすためにも、PR長江有祐、FL/NO8マイケル・ブロードハーストの代表組に引っ張られるFW陣のハードワークが"金星"の条件となる。
今季初の「ラガールデー」(女性の来場は無料)となる東京・秩父宮ラグビー場ではキヤノンイーグルス(勝ち点11=10位)対ヤマハ発動機ジュビロ(勝ち点23=4位)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(勝ち点22=5位)対トヨタ自動車ヴェルブリッツ(勝ち点19=7位)の2試合が予定されている(12時、14時キックオフ)。
ジャパン組としては、安定したプレーぶりを見せるヤマハ発動機FB五郎丸、激しく、かつ老獪なプレーぶりを見せるトヨタ自動車ベテランFWコンビLO北川俊澄、FL/NO8菊谷崇も、勝敗の鍵を握るキープレーヤーであることは確か。
現在4位のヤマハ発動機と5位のNTTコムの勝ち点差はわずかに1。さらに、NTTコムと7位トヨタ自動車の勝ち点差も3しかなく、どのチームがプレーオフ進出圏内である4位でウインドウマンスを迎えるのかという意味でも、見逃せない2試合となる。
(text by Kenji Demura)
開幕から7試合連続トライを続けるパナソニックWTB山田も日本代表に復帰 |
前節、今季初先発を果たした東芝CTB仙波、その足下にタックルにいくNECのSO田村とともにジャパンに再選出 |
好調リコーは東芝と対戦。日本代表初キャップ獲得を目指すNO8ブロードハーストなどFW陣の健闘が鍵に |
4強戦線生き残りを目指すNTTコムにとってトヨタ自動車戦は負けられない試合に(写真はLOロス) |