"上げ潮"トヨタ自動車が王者サントリーに挑戦
4強めぐるパナソニック-ヤマハ発動機の好カードも
トヨタ自動車の挑戦を受けるサントリーにとってベテランWTB小野澤が調子を上げてきているのは心強い |
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東芝との真っ向勝負を制したトヨタ自動車は王者相手に勢いを持続できるか(写真はNO8菊谷) |
第5節を終わり、全勝はサントリーサンゴリアスだけとなったトップリーグ。
ここまで5試合すべてで4トライ以上を挙げてパーフェクトに計25の勝ち点を重ねてきた王者は、今節は愛知・名古屋市瑞穂公園ラグビー場に乗り込んで、上り調子にあるトヨタ自動車ヴェルブリッツ(勝ち点14=6位)と対戦する(10月13日14時キックオフ)。
前節の近鉄ライナーズ戦に続いて、タフなアウェー戦が続くことに関して、大久保直弥監督は「何が起こってもおかしくない厳しい試合の連続。近鉄戦も50%の力しか出せていなければ負けていた。常にベストの準備をしていくことが大切」との認識でいる。
近鉄戦でも最終的には49-24というダブルスコア以上の大差での勝利となったものの、前半は自陣に攻め込まれるシーンも多く、その時間帯にトライを許していたなら試合展開は違うものになっていた可能性は大きい。
近鉄の前田隆介監督が「(近鉄の)やろうとしていることは良かったが、サントリーのディフェンスが上だった」と王者の堅守に脱帽していたとおり、相手のペースになった時にも守りで粘ってトライを許さず、逆にいったんボールを奪った後は、しっかりフェイズを重ねながらトライまで持っていく。そんなサントリーの常勝チームとしての逞しさが節を増すごとに色濃くなってきたのは間違いないところ。
近鉄戦で今季初めてハットトリックを記録するなど、エースWTB小野澤宏時がキレを取り戻してきているのもサントリーとしては心強い。
対するトヨタ自動車は、前節東芝ブレイブルーパスとの力勝負を制して勢いに乗っている。
ショートブレイク前の第4節の神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦(9月22日、23-23で引き分け)の後半から、「タテの動きを多く入れるようになって、アタックでの意思統一ができるようになった」(廣瀬佳司監督)というトヨタ自動車らしい、接点で激しく前に出るスタイルが機能。パナソニック ワイルドナイツに快勝して自信を深めていたはずの東芝FWを打ちのめしてみせた。
前述どおり、パワープレーと大きくボールを動かすアタックをうまくミックスしながら印象的なトライを重ねるポテンシャルを持つ近鉄を後半20分近くまでノートライに抑えたサントリーに対して、トヨタ自動車の15人全員で常にレッグドライブしていくようなスタイルがどこまで通用するのか。
ターンオーバーされた後、粘り強く守れるかも、"上げ潮"トヨタ自動車にとってはポイントになる。
花園には2週連続で神戸製鋼と近鉄が登場
トヨタ自動車-サントリー戦と同日(10月13日)、東京・秩父宮ラグビー場では、パナソニック ワイルドナイツ(勝ち点16=5位)対ヤマハ発動機ジュビロ(勝ち点18=4位)というトップ4をめぐる好カードが組まれている。
ショートブレイク前の9月22日の東芝戦で完敗を喫したパナソニックは「まずはエリアマネージメントをしっかりして、敵陣に入ってからエネルギーを使って得点していく」(中嶋則文監督)という序盤戦での反省をしっかり生かすかたちで前節ではNECグリーンロケッツから5トライを奪って38-21で快勝。
注目のソニー ビル・ウィリアムズも「チームメイトとのコンビネーションもフレンドシップも良くなった」ことを証明するかのように、自らの突破からフォローした味方への効果抜群なオフロードパスを繰り返して、前半32分のFL西原忠佑、後半11分のWTB山田章仁のトライなどをお膳立て。日に日に真価を発揮し始めていることをアピール中だ。
対するヤマハ発動機は前節、今季初黒星となった神戸製鋼戦で「ヤマハラグビーの根底にあるセットでこれだけやられたら、しょうがない」と、清宮克幸監督を嘆かせたFW陣の立ち直りが、パナソニックに勝負を挑むための絶対条件となる。
SO大田尾竜彦プレイングアドバイザーが「誰がどう見てもヤマハのキープレーヤー」と認めるCTBマレ・サウのラインブレイク力を生かすためにも、FWが前に出て安定したボールをBKに供給したいところ。
パナソニック-ヤマハ発動機戦に続く、秩父宮での第2試合は前節、福岡サニックスブルースから7トライを奪う猛攻を見せてシーズン初勝利を上げたリコーブラックラムズ(勝ち点6=11位)が、昨季ベスト4で堅守が持ち味のNECグリーンロケッツ(勝ち点10=10位)にチャレンジする。
一方、同じ13日、大阪・近鉄花園ラグビー場には、先週の同ラグビー場の今季開幕シリーズに続いて神戸製鋼コベルコスティーラーズ(勝ち点20=2位)、近鉄ライナーズ(勝ち点11=8位)という関西の雄が登場。それぞれ、まだ白星のない九州電力キューデンヴォルテクス(勝ち点3=13位)、NTTドコモレッドハリケーンズ(勝ち点0=14位)との対戦が組まれている。
翌14日には、宮城・ユアテックスタジアム仙台で"みちのくシリーズ第3弾"となるキヤノンイーグルス(勝ち点11=9位)対NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(勝ち点13=7位)戦、そして福岡グローバルスタジアムで福岡サニックスブルース(勝ち点5=12位)対東芝ブレイブルーパス(勝ち点18=3位)の2試合が予定されている。
(text by Kenji Demura)
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