2年ぶりのフライデーナイターでオープニング
開幕戦は王者サントリーと好調NECの熱きバトルに
8月31日、ジャパンラグビー トップリーグが開幕する。
オープニングカードに選ばれたのは王者サントリーサンゴリアスと昨季6年ぶりに4強入りを果たしたセミファイナリストNECグリーンロッケッツの対戦(31日19:30 東京・秩父宮ラグビー場)。
まだまだ残暑厳しいフライデーナイトに行われる熱きオープニングゲームを中心に、第1節7試合の見どころをチェックしていこう。
昨季はサントリーがトップリーグ、日本選手権の2冠達成。今季頂点に立つのは‥‥ |
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昨季プレーオフセミファイナルではサントリーがNECに56-8で圧勝 |
東京・青山に熱きフライデーナイトゲームが帰ってくる。
10周年の記念すべきシーズンを迎えるジャパンラグビー トップリーグは2年ぶりに金曜ナイターで開幕することになった。
しかも、この夏、アイドルグループNEWSのコンサートでも盛り上がった秩父宮ラグビー場に8月最終金曜日の夜に登場するのは、サントリーサンゴリアスとNECグリーンロケッツという、残暑厳しい東京の熱量をさらに上げてしまいそうな2チーム。
昨シーズンのプレーオフセミファイナルの再現ということになる。
約半年前に同じ場所でサントリーに敗れてファイナル進出を阻まれたNECは、当然リベンジに燃えている。
「その後の試合相手がわからないくらい、サントリーしか考えていない」
そうチームの雰囲気を代弁するのはNECのLO/FL浅野良太主将。
NECは伝統的に前に出るDFで粘り強く守りながらリズムをつくっていくチーム。昨季のセミファイナルでは、その後シーズン2冠(トップリーグ、日本選手権)を達成することになるサントリーの「アグレッシブ、アタッキングラグビー」に自慢の守りが崩壊して8トライを奪われる惨敗を喫した。
実は、この2チーム、昨季のセミファイナルで戦った後、春と夏と2度のプレシーズンマッチで対戦。2試合ともNECが勝利を収めている。
特に、夏の対戦(8月4日、北海道・網走)では、セットプレー、ブレイクダウンでしっかりプレッシャーをかけて、サントリーにアタックでゲインを切らせないNECの粘り強さが目立った。
「プレシーズンマッチとはいえ、サントリーに勝って、若い選手の自信になったのはいいこと。サントリーがボール持ち始めたらDFの時間は長くなるが、いかにラインブレイクされないで粘り強く守っていけるか。我慢比べになる」(浅野主将)
守りでしっかり自分たちのリズムをつくっていければ、攻撃面で昨季の4強入りの立役者になったSO田村優から、195cm、125kgの怪物トライ王、WTBネマニ・ナドロへのホットラインなど、トライを取り切る力は持っているだけに、試合は一気に白熱することになる。
サントリーには王者らしくない危機感も
もちろん、王者サントリーとしても、プレシーズンマッチを含めてとはいえ、同じ相手に3連敗するわけにはいかない。
「NECは勝ちたい気持ちを前面に出してくるチーム。サントリーとしても相手を上回るハングリーさで勝ちに行く」と、今季から主将を務めるLO真壁伸弥はがむしゃらに勝利を目指す姿勢を強調する。
夏のプレシーズンマッチでは、NEC戦に続いて、8月18日の東芝戦でもFWが力負けするかたちで13-17で敗れただけに、開幕までにFWが調子を上げられているかどうかが、ポイントだろう。
メンバー的には、昨季2冠を達成した主力のうち、アメリカ代表FL/NO8トッド・クレバー(NTTコミュニケーションズシャイニングアークスに移籍)が抜けたくらいで、盤石に見えるが、エディー・ジョーンズ前GM兼監督の後を継いだ大久保直弥新監督は意外なほど危機感を抱いてもいる。
「今年のサントリーはスーパー15のレッズと状況が似ている。昨シーズン、レッズはアタッキングラグビーでスーパー15を制し、豪州代表にも多くのプレーヤーが選ばれた。それが、今季はセミファイナルに残れなかった。サントリーもそうなる可能性はある」
この春、日本代表の指令塔としても活躍したSO小野晃征(福岡サニックスブルースから移籍)が開幕戦でいきなり10番をつけて先発。
NECもSOキャメロン・マッキンタイアーがふくらはぎを痛めた関係で、田村がSOに入るだけに、いきなり注目のジャパン指令塔対決となる。
今季から2人となる外国人プレーヤーは、大久保監督が「世界トップレベルのゲームを読む力がある」と評価する、FLジョージ・スミス、SHフーリー・デュプレアがスターティング。後半、SH日和佐篤とSOトゥシ・ピシが投入され、テンポを上げるパターンとなるが、暑さもあってどの程度、思惑どおりにいくかは未知数。
いずれにしても、最後の最後まで目の離せない試合となりそうだ。
ちなみに、この開幕ゲームのキックオフボール・プレゼンターは夏のコンサート使用のお礼という意味合いもあって、NEWSの加藤シゲアキさんが務める予定となっている。
翌土曜日はダービー戦三昧
開幕日の31日に行われるのはサントリー-NEC戦だけで、第1節残り6試合は翌日の9月1日の開催となる。
土曜日とはいえ、暑さの関係もあって、いずれも夕方以降のキックオフ。
恐らくは前日の開幕戦での興奮の余韻も残っていそうな東京・秩父宮ラグビー場には、パナソニック ワイルドナイツと東芝ブレイブルーパスという昨季の2位、3位チームが登場。
それぞれリコーブラックラムズ、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスという首都圏ベースのチームの挑戦を受ける。
さらに、東海、関西、九州でも、それぞれ地元ダービーのかたちで第1節の試合は組まれている。
愛知・名古屋市瑞穂公園ラグビー場では19時からトヨタ自動車ヴェルブリッツ-ヤマハ発動機ジュビロのフィジカルバトル。
兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場では、神戸製鋼コベルコスティーラーズ-近鉄ライナーズの関西の雄同士の対戦。
福岡・レベルファイブスタジアムでは、3年ぶりのトップリーグ昇格を果たした九州電力キューデンヴォルテクスが、独自のランニングラグビーを誇る福岡サニックスブルースにチャレンジする。
もうひとつの昇格チームであるキヤノンイーグルスは大阪・長居第2陸上競技場に乗り込んで、1年先輩格のNTTドコモレッドハリケーンズとの対戦となる。
前述のとおり、今季同時にプレーできる外国人選手の数が3人から2人に減った。その影響もあるのか、いままで以上に有望外国人選手の獲得に動いたチームが多かった。
ソニー・ビル・ウィリアムズ(パナソニックCTB)、ジェローム・カイノ(トヨタ自動車FL/NO8)、アイザイア・トエアバ(キヤノンCTB/FB、以上NZ代表)、ロッキー・エルソム(神戸製鋼FL=豪州代表)、ワイナンド・オリフィエ(リコーCTB=南ア代表)などが新たにトップリーグに加わった。
もちろん、前述のスミス-デュプレアのサントリーコンビをはじめ、すでにおなじみのプレーヤーも含め、トップリーグに在籍している外国人選手たちのレベルは世界的に見ても相当高いレベルにある。
彼らの個人技を見るだけでも十分価値があるし、さらに今季からは試験的実施(新)ルールも導入されて、ラグビーの試合はいままで以上にスピーディな展開となるだけに、今季のトップリーグは今まで以上にスリリングなプレーの連続が期待できそうだ。
(text by Kenji Demura)
プレシーズンマッチではDFが機能したNECが勝利(左がNEC浅野主将) |
土曜日は各地でダービー開催。近鉄は神戸(神戸)と、トヨタ自動車はヤマハ発動機(名古屋)と対戦 |
昇格組の九州電力は福岡でサニックスとの九州ダービーでトップリーグでの戦いをスタート |
昨年のW杯開幕戦で突破をはかるSBウィリアムズとフォローするトエアバ。今季は共にトップリーグでプレー |