トップリーグ2011-2012特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
昨シーズンに引き続き、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第8節(12/24 - 12/25)

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見どころ村上晃一の目

NECグリーンロケッツが、ネマニ・ナドロの一試合6トライというリーグ記録の活躍で4位に浮上した第7節。上位3チームが抜け出しそうな予感が漂いはじめているが、そうはさせまいと波乱は起こるのだろうか。

唯一の全勝サントリーは、アウェイで潜在能力の高いトヨタ自動車と対戦

 
 

唯一全勝を守るサントリーは潜在能力の高いトヨタ自動車とのアウェー戦に臨む(手前がSOピシ、奥がCTBニコラス)
photo by Kenji Demura (RJP)

今節は、トップ2のチームがアウェイで戦う2試合に注目したい。クリスマスイブは、トヨタ自動車ヴェルブリッツ対サントリーサンゴリアス(愛知県・瑞穂公園ラグビー場 14時キックオフ)だ。第一試合で、ヤマハ発動機ジュビロとNTTドコモレッドハリケーンズが対戦した後になるが、不調のトヨタ自動車とはいえ、個々の潜在能力は高く、戦い方によってはサントリーを脅かす地力は十分にある。

昨季は開幕節で対戦し、18-10でトヨタ自動車が勝っている。まだサントリーのアグレッシブ・アタッキングラグビーに迷いがあった時期だが、接点の攻防で激しくファイトできるFLヘイデン・ホップグッド、吉田光治郎らトヨタFWが、サントリーのボールキャリアに圧力をかけ続けることができれば、素早いテンポを崩すことができる。サントリーの攻撃起点をいかにつぶすか。トヨタの勝機はそこに集約される。もし、負ければ、2004年から参戦のトップリーグでトップ4入り6度の「指定席」が危うくなる。崖っぷちの反発力を期待したい。

ただし、前節、コカ・コーラウエストレッドスパークスを一蹴したサントリーのプレーには隙がなかった。SH日和佐篤のパスに複数の選手が走り込み、ボールキャリアは確実に前進。サポートも素早く、ミスも少ない。それでも、エディ・ジョーンズ監督は「まだ一番良いコンビネーションを探している」と言う。次はいったいどんなメンバーでトヨタ自動車戦に臨むのか。

東芝は、兵庫県のホームズスタジアムに乗り込み、難敵・神戸製鋼と

6節でNECに今季初黒星を喫した東芝ブレイブルーパスは、7節でヤマハ発動機ジュビロに快勝し、首位のサントリーと勝ち点差「2」という僅少差に踏みとどまった。和田賢一監督によれば、NECに敗れたあと「低いタックルを意識した」と言うとおり、ヤマハ発動機のCTBマレ・サウなど、ラインブレーカーを完璧に封じ込め、ラインアウトでも相手ボールを何度もスチールして分析力の高さも見せつけた。

LO大野均、望月雄太らががむしゃらに体を張って前に出て、FLマイケル・リーチ、スティーブン・ベイツがラインブレイク。タックルされながら倒れずボールをつなぐ東芝のラグビーは一敗を喫したことでさらに強力になった気がする。見逃せないのが、SOデヴィッド・ヒルのディフェンスの能力の高さ。チームのピンチには必ず顔をだし、堅実なタックルからターンオーバー、すぐに立ち上がって地域を進めるキックと、スーパーマンのような活躍ぶりだ。神戸製鋼に対しても、東芝らしくボールをつなぐだろう。

対する神戸製鋼は、トヨタ自動車戦で、ようやく大きくボールを動かしながらの「ムービングラグビー」でトライが獲れてきており、チーム力は上向き傾向。マン・オブ・ザ・マッチを獲得した万能BK正面健司が好調なのも心強い。スクラム、ラインアウトに関して東芝と互角に戦い、僅差勝負に持ち込みたい。「1点差でも勝ちたい」とLO林慶鎬。ホームの声援を受け、試合後に歩くこともできないほど、力を出し切る試合になりそうだ。

 

NEC戦で出た課題を前節のヤマハ発動機戦でしっかり修正してみせた東芝は難敵・神戸製鋼とのアウェー戦に臨む(写真はSOヒル)
Photo by Kenji Demura (RJP)

2連敗の後、5連勝と波に乗るNECは地元でNTTコムとの"千葉ダービー"を戦う(中央はSH櫻井)
Photo by Kenji Demura (RJP)

 

前節、トヨタ自動車戦に快勝して勢いに乗る神戸製鋼は地元で東芝との大一番を迎える(写真はトヨタ自動車戦でボールをよく前に運んだFL橋本)
Photo by Kenji Demura (RJP)

前節、近鉄に快勝したリコーは王者パナソニックにチャレンジ。リコー・ノヌー(写真)とパナソニック・フーリーの世界最高峰CTB対決も注目だ
Photo by Kenji Demura (RJP)

 

注目選手

注目選手 Photo

山下 大悟
(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス CTB)

◇チャレンジャーとしてひたむきに自分を追い込む「ダイゴ」

   

山下大悟◎1980年11月17日生まれ。181cm、92kg。グリーンラグビースクール(小学2年〜)→茗溪学園中学→桐蔭学園高校→早大→サントリー(03〜09)→NTTコミュニケーションズシャイニングアークス。日本代表、U19日本代表、高校日本代表
Photo by Kenji Demura (RJP)

7節を終えて10位ながら、勝ち点「15」をあげ、確たる実力を示しているのが昇格2年目のNTTコミュニケーションズである。ずらりと並ぶ有力外国人選手が目立ちがちだが、経験豊富な日本人選手の活躍も見逃せない。中でも好調を持続してBKの要となっているのが、山下大悟である。

長らくラグビーを見続けているファンの皆さんには、「ダイゴ」と言えば、早稲田大学時代の雄姿を思い浮かべる人が多いだろう。2003年1月11日の全国大学選手権の決勝戦で、清宮克幸監督率いる早大は、13年ぶりの学生日本一に輝く。そのチームをキャプテンとして引っ張っていたのが山下大悟だった。

あれから8年の歳月が流れた。サントリーで2009年までプレーしたダイゴだが、膝の重傷もあって思うようなプレーができなかった。2005年のシーズンに負った怪我から懸命のリハビリを経て、2007年には復帰したが、その後も思うようなプレーができず、心機一転、昨季よりNTTコミュニケーションズに移籍した。

2年目の今季は、膝の怪我もほとんど気にせず走れるようになり、溌剌とした動きを見せる。横方向に大きく踏み出す独特のステップも健在で、時には激しく相手とコンタクトし、攻撃の起点にもなっている。SOクレイグ・ウイング、CTBコンビを組むジェイピー・ネルとの相性もぴったり。2人の突破力を生かすべく、地味な仕事に徹する。「クレイグの体幹の強さは半端じゃないですね。自分からも抜いていくし、ディフェンスも強い。僕も動きやすいです」

ボールを持てば確実にゲインし、防御と接近する間合いも、以前に増して意識するようになった。30歳になったが、「体を鍛えることはルーティンワークとしてやり続けているので、体力の衰えはまったく感じない」と言う。「100試合出場とか、僕より上の年齢の人もバリバリやっている。フィジカル的に落ちている人もいない。僕が衰えたとか言っていられないですよ」。ただし、100試合を目指すような、遠くを見る余裕はないという。

「一試合一試合、一日一日、(自分を)追い込むだけです」。今は目の前しか見ていない。まずは試合メンバーに入ること。そして、第8節のNEC戦だ。「力のあるチーム。チャレンジャーとしてひたむきにやるだけです。ナドロですか? しっかり止めたい」。年輪を重ねたダイゴが、充実の時を迎えている。

(text by Koichi Murakami)


 



チケット

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場 チケット
12/24(土) 12:00 ヤマハ発動機ジュビロ NTTドコモレッドハリケーンズ 瑞穂 チケット
12/24(土) 12:00 コカ・コーラウエストレッドスパークス Honda HEAT レベスタ チケット
12/24(土) 13:00 NECグリーンロケッツ NTTコミュニケーションズシャイニングアークス フクアリ チケット
12/24(土) 14:00 トヨタ自動車ヴェルブリッツ サントリーサンゴリアス 瑞穂 チケット
12/24(土) 14:00 福岡サニックスブルース 近鉄ライナーズ レベスタ チケット
12/25(日) 13:00 パナソニックワイルドナイツ リコーブラックラムズ 太田 チケット
12/25(日) 13:00 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 東芝ブレイブルーパス ホームズ チケット
■チケット全国発売日
第1節~第8節  2011年9月10日(土)
第9節~第13節 2011年11月26日(土)
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