開催日 | Kick Off | Host | Visitor | 会場 | |
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11/5(土) | 12:00 | リコーブラックラムズ | 17-45 | ヤマハ発動機ジュビロ | 秩父宮 |
11/5(土) | 12:00 | NTTドコモレッドハリケーンズ | 15-46 | サントリーサンゴリアス | 近鉄花園 |
11/5(土) | 13:00 | NECグリーンロケッツ | 26-38 | パナソニックワイルドナイツ | 柏の葉 |
11/5(土) | 14:00 | トヨタ自動車ヴェルブリッツ | 45-7 | Honda HEAT | 瑞穂 |
11/5(土) | 14:00 | 東芝ブレイブルーパス | 34-14 | コカ・コーラウエストレッドスパークス | 秩父宮 |
11/5(土) | 14:00 | 近鉄ライナーズ | 21-14 | 神戸製鋼コベルコスティーラーズ | 近鉄花園 |
11/6(日) | 13:00 | NTTコミュニケーションズシャイニングアークス | 27-10 | 福岡サニックスブルース | 東北電ス |
サニックスのソーン初陣飾れず。NTTコムが勝ち点5獲得
6日、トップリーグ第2節、最後の1試合となったNTTコミュニケーションズシャイニングアークス-福岡サニックスブルース戦が新潟・東北電力ビッグスワンスタジアムで行われ、激しい雨の厳しい条件の中4トライを挙げたNTTコムが27-10で快勝。今季、初白星を挙げた。一方、注目のオールブラックスW杯優勝メンバー、サニックスのLOブラッド・ソーンは先発出場を果たしたが、チームの勝利への貢献はできなかった。
■NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 27-10 福岡サニックスブルース(前半8-3)──11月6日
卓越したラン&パススキルでNTTコムのキーマンとなりそうなSOウィング |
「とてもいいスタジアム。大きなスタジアムでプレーするのが好きだし、2019年のW杯のためにも、大きな会場でラグビーの試合が行われるのはいいことだと思う」
そんなふうに東北電力ビッグスワンスタジアムに関する印象を語っていたソーンだったが、試合内容自体は激しく降りしきる雨の影響もあって、前半は両チームにミスが目立つ展開となった。
ボールを奪ったら、どこからでも攻めるラグビーを信条とするサニックス。
そして、「モーション・ラグビー」という概念も取り入れながら、DFとキック主体だった昨季の戦い方から、よりボールを動かすスタイルへの進化を目指すNTTコム。
共に雨の中、積極的にボールを動かすものの、どうしてもハンドリングエラーが多くなり、前半終了間際までPG1本ずつによる3-3という互角の攻防が続いた。
試合が大きく動いたのは、ハーフタイム直前の後半39分。
キック処理から積極的に仕掛けたNTTドコモがSOクレイグ・ウィングのブレイクから、内に寄ってきたLOアイザック・ロス、さらに外側のWTB沼尻大輝とパスをつないでトライを奪い、8-3とリードして前半を終えた。
初戦で出た課題のセットプレーで完勝
初戦のヤマハ発動機戦、セットプレーで崩されて大量55失点での大敗を喫していたNTTコム。サニックス戦に向けては「スクラム、ラインアウトでプレッシャーをかけていく」(大沼照幸監督)のが修正点であり、ゲームプランでもあった。
その点に関しては、前半からNTTコムの思惑どおりに試合が進んでいたのは、次のような事実からもうかがえた。
この日もサニックスはWTBカーン・ヘスケスをリザーブに入れ、後半にインパクトプレーヤーとして投入する、お馴染みの選手起用を行っていた。
ただし、この日は昨シーズン何度か見られた、前半リードを奪われている時に後半開始と同時にヘスケスを送り出すことはなかった。
「相手がラインアウトの凄く高いチームですし、スクラムも強かったので、どうしても、そこの部分で(FWの外国人選手を)外せなかった」(サニックス藤井雄一郎部長兼監督)
そんなセットプレーでのNTTコムの優位性は、後半に入るとスコアにも直結するようになる。
いきなり試合再開から1分後。敵陣22m付近のラインアウトからNO8フォトゥー・アウエルアが突破した後、逆サイドに走り込んできたWTB友井川拓主将からFB栗原徹とつないで2トライ目(栗原ゴールで15-3)。
サニックスも18分にヘスケスが相手DF6人のタックルを打ち破ってトライを奪って追い上げたが(CTB小野晃征ゴールで15-10)、21分にNTTコムが再び敵陣深くのラインアウトを起点にモールを押し込み、途中出場していたSH鶴田諒が冷静に相手DFのギャップをすり抜けて加点(栗原ゴールで22-10)。
26分にも、SOウィング、WTB友井川主将の好走からNO8アウエルア→WTB沼尻とつないでダメ押しとも言える4トライ目を奪ってボーナスポイントを獲得。
そのまま、27-10で逃げ切った。
ゲームプランとおりセットプレーでプレシャーをかけられたことで、DF面でもサニックスのどこからでも攻めてくるアタックに余裕を持って対処。
確かに、「恵みの雨」(新潟出身のFL小林訓也)という面もあったとはいえ、「しっかりDFできた」(WTB友井川主将)ことでNTTコムが試合の流れをつかんだのも間違いなかった。ことに、ヘスケスの一発以外は内側を破られなかったのが、結果的にサニックスに危険なスペースを与えないことにもなった。
そして、帰化選手であるFLマーフィーダレンも含めて5人が先発メンバーに名を連ねた外国人選手もそれぞれ特徴のあるプレーぶりでチームの勝利に貢献。
FWでは2mを超える長身でラインアウトの核になるだけではなく、状況判断に優れた回りを生かすプレーぶりも際立っていた元オールブラックスLOアイザック・ロス。そして、13人制ラグビーリーグ出身でランニングスキルとパス能力に長けるSOウィングは今季のNTTコムのキーマンとなりそうな存在。
昨季はSO君島良夫のキック中心のゲームメイクでテリトリーを取っていくクレバーな戦いぶりで昇格1年目にして残留を勝ち取ったが、今季は前述のとおり自陣からでも積極的にボールを動かして行くラグビーを目指しているだけに、ウィングが指令塔に入るケースが増えそうだ。
(text by Kenji Demura)
状況判断いい走りで何度も決定的なチャンスを作ったNTTコムWTB友井川主将 |
後半21分、途中出場のNTTコムSH鶴田がヘスケスを振り切ってトライ。MOMに輝いた |
"玄海ボンバー"ことヘスケスの一発も飛び出したが、サニックスは最後までNTTコムのDFを崩せなかった |
NTTコムの元NZ代表LOロスと健闘を讃え合うサニックスLOソーン(右)。雨の中、59分間プレーした |
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攻撃ラグビーを取り戻したトヨタ自動車が今季初白星
5日、トップリーグ第2節6試合が行われた。
東京・秩父宮では、ヤマハ発動機ジュビロがリコーブラックラムズを圧倒、東芝ブレイブルーパスは後半地力を見せてコカ・コーラウエストレッドスパークスに逆転勝ちし、共に開幕2連勝。千葉・柏の葉ではパナソニック ワイルドナイツが後半NECグリーンロケッツに追い上げられたものの、38-26で逃げ切り今季初勝利を挙げた。名古屋・瑞穂ではトヨタ自動車ヴェルブリッツがホンダヒートに順当勝ちして、こちらも今季初白星。大阪・近鉄花園ではサントリーサンゴリアスがNTTドコモレッドハリケーンズの挑戦を退け、“阪神ダービー”では近鉄ライナーズが神戸製鋼コベルコスティーラーズに競り勝った。
■トヨタ自動車ヴェルブリッツ 45-7 Honda HEAT(前半17-0)──11月5日
本来のアタッキングラグビーを取り戻したトヨタがホンダに圧勝(写真は後半4分にトライを奪うなど活躍したFB久住) |
ボール争奪戦で後手に回り、ボールキープできずに、あっさりキックを蹴っては相手にボールを与えて、いいように攻められるという悪循環にはまった東芝との開幕ゲームの反省を経て、もう1度トヨタらしさを取り戻す。
あるいは、そんな位置づけの試合と北川の100試合が重なったのも、何かの暗示だったかもしれない。
「ラックでもモールでも自分が絡んだ密集に関しては、全部ボールを出すつもりでプレーしている」という北川のプレーに触発される部分も少なからずあっただろうトヨタは、1週間前とは180度異なる、とにかくボールキープを続けながら前に出る80分間を過ごしてみせた。
開始2分に、敵陣22m深くのラインアウトをキープした後、タテに切っていくトヨタらしいアタックから、最後はFLヘイデン・ホップグッドがあっさりトライライン越えして先制。
15分には、今度は敵陣ゴール前のスクラムからショートサイドを攻めて、SH麻田→FB久住辰也→WTB松下馨とつないで2トライ目。直後の18分にも、敵陣22m付近のラインアウトでロングスローを受け取ったホップグッドが大きくゲイン。最後はラックからLO谷口智昭が飛び込んで、前半だけで3トライを重ねた。
若手も期待に応える活躍を見せたトヨタ
前節の東芝戦に関して、「春から実践してきたことがまったくできなかった。反省すらできないような内容」と語っていた朽木監督だったが、中5日で迎えたホンダ戦でも東芝戦とほぼ同じメンバーで試合に臨む選択をした(FLのみ先発が吉田光治郎から安藤泰洋に代わり、控えに荒木達也が入った)。
昨季TL全試合で先発したオレニ・アイイをベンチに置き、SOには黒宮裕介を起用。CTB陣にブレット・ガレスピー、スティーブン・イェーツという外国人を2枚並べた。
しかも、後半と同時にSOを黒宮からアイイへ、インサイドCTBをガレスピーから山内に交代したのも東芝戦と全く同じ。
「前半ボールキープできるCTB陣を使ってダイレクトプレーで主導権を握って、それがボディブローのように相手に効いてくることも想定しながら、後半、アイイを投入してスピードアップする」(同監督)
東芝戦では全く機能しなかったと言っていいそんなゲームプランも、この日はしっかりとしたかたちとなり、後半に入ると前半よりもギアアップしたトヨタのアタッキングラグビーが炸裂した。
4分に敵陣10m付近で相手キックをキャッチしたWTB有田啓介が思い切りのいい走りでホンダDFを切り裂くように大きくゲイン。FB久住にラストパスを通して、後半初トライ。
7分にホンダに1トライを返されたものの、20分にモールから再びホッブグッド、さらに24分、37分とアイイが独走トライを決めて、最終的には45-7という大差で、トヨタが今季初白星を挙げた。
「原点に戻って、トヨタらしいアタッキングラグビー出し切ろうと。シンビンがあったり、1本トライ取られたり反省すべき点はあるけど、次につながるゲームができた」(上野主将)
NO8菊谷崇や、遠藤幸佑、水野弘貴のWTB陣など、故障者が相次いでいることもあるが、前述のとおり初戦からほとんどメンバーを変えずに、180度異なるようなパフォーマンスを披露して、開幕後いきなり訪れた厳しい状況を乗り越えて結果を出したトヨタ。
「先週は中途半端なプレーが多かったが、今日は積極的にプレーしてCTB陣の力も引き出してくれた」と、朽木監督が「合格点」を与えたSO黒宮、先発起用に応えて抜群の反応でボールによく絡んだFL安藤、そして慣れないWTBとしてプレーしながらも、本来の思い切りのいいプレーが随所に出せるようになってきた有田など、若手がそれぞれ成長ぶりを印象づけたこともあり、ヴェリブリッツにとってはシーズンの深まりとともに、チームが昨季以上の到達点にたどり着く可能性を感じさせる開幕2戦目となった。
一方、初戦でNTTドコモとの“昇格組ダービー"を引き分けで乗り切り、昨季ベスト4のトヨタからの金星を狙っていたホンダにとっては、「DFのところで前に出て止められなかった」(上野三四郎監督)のが響いての大敗となった。
後半11分に、途中出場していたCTBブライス・ロビンスのブレイクからチャンスをつかみ、SH梁永勲がトライを奪ったとおり、BKには決定力のあるメンバーが揃っているので、FW戦でいかに互角以上に戦えるかが、残留への鍵になりそうだ。
(text by Kenji Demura)
トヨタでの公式戦出場100試合目となったLO北川が先頭で入場。「MOMに匹敵する」(朽木監督)活躍を見せた |
今季はWTBで起用されているトヨタの有田。後半4分のFB久住のトライにつながるビッグランなど活躍を見せた |
攻守に反応のいいプレーでレギュラー定着をアピールしたトヨタFL安藤 |
FW戦で後手に回ったホンダは後半11分にSH梁が1トライを返すのが精一杯だった |