トップリーグ2010-2011特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
今シーズンより、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第9節(12/4 - 12/5)

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見どころ永田 洋光の目

  激しいブレイクダウンの応酬が必至の東芝-トヨタ。両指令塔ヒルーアイイのマッチアップも注目される

激しいブレイクダウンの応酬が必至の東芝-トヨタ。両指令塔ヒルーアイイのマッチアップも注目される
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)


約1カ月の休止期間明けの第8節は、各チームが後半戦の好スタートを切ろうと熱い戦いを繰り広げた。上位陣は安泰だったが、好調だった福岡サニックスブルースがヤマハ発動機ジュビロに惜敗するなど、順位争いがさらに混沌とする結果もあった。熾烈を極めるトップ4争い、そして残留争いは第9節、さらにヒートアップしそうだ。

どっちが立っていられるか。激しいブレイクダウンの攻防必至

第9節で最も注目されるのは、東芝ブレイブルーパス(2位)対トヨタ自動車ヴェルブリッツ(4位)戦だろう。東芝は、8節でコカ・コーラウエストレッドスパークスを圧倒。12トライを奪って実力差を見せつけた。ベテランのCTB冨岡鉄平も先発し、元気なプレーを見せている。一方、トヨタはリコーブラックラムズに大苦戦。一時は14-0でリードしながら、リコーの早い仕掛けに追い上げられ、モールからのトライなどでなんとか逃げ切った。

東芝とトヨタといえば、激しいコンタクトプレーを軸にした力強いラグビーが売りのチーム同士。例年、骨のきしむ音が聞こえてきそうな戦いを繰り広げている。昨年は、トップリーグ、日本選手権の2戦で、トヨタが連勝。トップリーグ王者となった東芝が唯一勝てなかったチームだ。個々人がしっかり立ってボールをつなぐ東芝の「スタンディングラグビー」ができるのか、トヨタがビッグタックル連発で倒し続けるのか。どっちが立っていられるか。見どころを、一つに絞るとすれば、ここだろう。

首位を走る三洋電機ワイルドナイツは、コカ・コーラウエストレッドスパークスとの対戦。前節は、7人制日本代表のアジア競技会に行っていたWTB北川智規に代わって、ベテランWTB吉田尚史(35歳)が出場。トライもあげ、若手とベテランがうまくミックスされた布陣で安定感は抜群である。コカ・コーラウエストが鉄壁のディフェンスをどう攻略するか、注目される。

トップ4争いに名乗りをあげた神戸製鋼コベルコスティーラーズ

今季、もがき苦しんでいた神戸製鋼コベルコスティーラーズがようやく調子を上げてきた。8節では、地力のあるNECグリーンロケッツに快勝。今季より加入の南アフリカ代表SOピーター・グラントもようやく本領を発揮し始めた。チームメイトの大畑大介によれば、「序盤戦は、日本人選手の動きを把握するために自分を出さずに観察していたみたいです」とのこと。仲間達の特徴を概ね理解し、インターナショナルクラスの実力をいよいよ見せつける時が来たわけだ。今節は勢いのあるリコーが相手。リコーでスティーブン・ラーカムが出てくれば、南アとオーストラリアの名SO対決が見られる可能性も。80分間走り続けるフィットネスには自信を持つリコーに対し、神戸製鋼はFW戦で優位に立ちたい。ピーター・グラントがリコーの勢いを出させない戦略的キックをどう使うか。ゲームメイクも興味深い。

近鉄ライナーズは、前節、豊田自動織機シャトルズを破ったものの、ミスを連発して何本もトライチャンスを失った。今節は3位のサントリーサンゴリアスへのチャレンジ。トンガ代表でヨーロッパに遠征していたLOルア・ロコツイも帰国し、万全の態勢で臨めそうだ。個々人の力強い突破力を武器に攻め抜きたいが、サントリーは、前節、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスをアグレッシブなアタッキングラグビーで粉砕。「ボールをキープして、攻め続けるスタイル」(エディ・ジョーンズ監督)に磨きがかかってきた。近鉄が防戦一方になれば大敗の可能性もある。どちらが、より多くボールを保持できるかがキーポイントだろう。

全勝街道をばく進する三洋電機はコカ・コーラウエストのチャレンジを受ける(写真左からCTB霜村主将、FB田邉、WTB山田)   前節NTTコム戦で計7トライを奪い進化した姿を披露したサントリーは   NECに快勝して3敗を守り、4強入りへギアアップする神戸は高知で前節トヨタを追いつめたリコーと対戦(写真はアジア大会でも活躍したCTB今村)

全勝街道をばく進する三洋電機はコカ・コーラウエストのチャレンジを受ける(写真左からCTB霜村主将、FB田邉、WTB山田)
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

前節NTTコム戦で計7トライを奪い進化した姿を披露したサントリーは"逆転勝ち"の近鉄と対戦。トライ王WTB小野澤は記録を伸ばすか?
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

NECに快勝して3敗を守り、4強入りへギアアップする神戸は高知で前節トヨタを追いつめたリコーと対戦(写真はアジア大会でも活躍したCTB今村)
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

 

注目選手

注目選手 Photo

田邉淳
(三洋電機ワイルドナイツ)

◇32歳で初キャップの遅咲きFB。夢実現へ

   

田邉淳(たなべ・あつし)◎シャーリーボーイズ高校→クライストチャーチ教育大学。02年カンタベリー地区選抜。2002年、三洋電機に加入。日本代表キャップ1。1978年6月25日生まれ。170cm、73kg。FB。愛称「スラッシー」。
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

三洋電機に加入して8年目、安定したフィールディング、正確無比のプレースキック、最後尾からの的確な指示など、常勝軍団最後の砦としてチームメイトから絶大な信頼を勝ち得てきた。この秋、初めて日本代表に選出され、11月6日のロシア代表戦に出場。効果的なライン参加と周囲を生かすパスで日本代表のチャンスメーカーとなる一方、10トライ中9本のコンバージョンゴールを成功させてベテランらしい貫禄のプレーを見せた。試合後は、「これまでラグビーをしてきた中で一番楽しい80分でした」と、ファンを喜ばせるコメントを発するなど、その存在感は日増しに高まっている。

経歴は異色だ。4歳から茨木ラグビースクールでラグビーを始めた。高校は兵庫県の報徳学園へ。しかし、数ヶ月でラグビー王国ニュージーランドへ単身渡る。ラグビー熱の高いクライストチャーチに住み、現地の高校でラグビーに打ち込んだ。大学にも進学し、社会人となり結婚するまで同国でプレーしたが、三洋電機入りのために帰国。今は、シングルファーザーとして小学生の息子・淳之介君(12歳)を育てながら現役生活を続けている。

昨季はトップリーグの得点王、ベストキッカー、ベストフィフティーンのトリプル受賞。今季は「個人賞より、チームの成績優先です」と目標は三洋電機での二冠に置いている。そして、その先には日本代表としてのワールドカップ出場がある。「体が小さくてもできるというころを、証明したい。第二の母国で代表選手として帰れたら、それが一番です」。170cmの小さなFBは、世界を相手に戦う日を目標に、この週末も安定感あるプレーを見せてくれるだろう。


注目選手 Photo

矢富勇毅
(ヤマハ発動機ジュビロ)

◇切れ味鋭いステップは必見。ヤマハ発動機を引っ張るSHヤトミ

   

矢富勇毅(やとみ・ゆうき)◎京都成章高校→早稲田大学→ヤマハ発動機ジュビロ。日本代表キャップ13。高校時代に抜群の身体能力で注目され、早稲田へ。2007年ワールドカップにも出場。1985年2月16日生まれ。176cm、86kg。SH。
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

早稲田大学時代、密集サイドをすり抜けるスピードと、少々のタックルでは倒れない強さで相手チームを翻弄した「ヤトミ」の個人技が戻ってきた。
「ウエートトレーニングの数値などは過去最高になっています。でも、それより、ヤマハに残った気持ちを肯定したいんです」

昨年秋、ヤマハ発動機はラグビーと仕事の両立を目指す強化体制を発表した。しかし、移籍が注目された矢富は他チームからの誘いも断り、ヤマハに残る決断をした。「本当にいろいろ考えたのですが、残ることにしました。入部してから怪我も多く、僕はヤマハで何も結果を残していないと思ったんです」
今春からは宣伝部WEBグループに勤務。「社会人として当たり前のことを学んでいます。ラグビーだけだったら人間的に成長できなかったかもしれません」。今はチームの勝利に貢献するため、全身全霊でプレーする。ただし、第8節の福岡サニックスブルース戦は、気迫が空回りしてチームに迷惑をかけたと感じた。「自分が、自分がになってしまった。クボタ戦はバランス良くプレーしたいです」

第9節の試合会場は、生まれ故郷の京都・西京極だ。両親はもちろん、祖母の喜美子さんも体調が良ければ観戦に訪れるという。気持ちは昂ぶっている。
「もう90歳を超えているから、遠くへは行けない。京都ならなんとか来られるかもしれないんです。ずっと応援してくれるので、自分のプレーを見せて勝利に貢献できればと思います」




チケット

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場 チケット
12/04(土) 12:00 豊田自動織機シャトルズ NECグリーンロケッツ 瑞穂 チケット
12/04(土) 14:00 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 東芝ブレイブルーパス 瑞穂 チケット
12/05(日) 12:00 クボタスピアーズ ヤマハ発動機ジュビロ 西京極 チケット
12/05(日) 13:00 福岡サニックスブルース NTTコミュニケーションズシャイニングアークス グローバル チケット
12/05(日) 13:00 コカ・コーラウエストレッドスパークス 三洋電機ワイルドナイツ KKウイング チケット
12/05(日) 13:00 リコーブラックラムズ 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 高知陸 チケット

12/05(日)

14:00 サントリーサンゴリアス 近鉄ライナーズ 西京極 チケット
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