トップリーグ2010-2011特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
今シーズンより、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第7節(10/23 - 10/24)

特集トップへ戻る

見どころ村上晃一の目

  6節を終わって唯一全勝を続ける三洋電機は太田でサニックスと対戦。ここ3試合トライを記録していないエースWTB北川はそろそろ爆発の予感?

6節を終わって唯一全勝を続ける三洋電機は太田でサニックスと対戦。ここ3試合トライを記録していないエースWTB北川はそろそろ爆発の予感?
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)


トップリーグは今節(7節)で一区切り。日本代表活動期間のウインドマンス明けの11月27日までは、お休みとなる。6節を終え上位と下位の勝点が広がってきているが、5位から10位までは、10点台にひしめいており、今節の結果次第でまだまだ大きな順位変動がありそうだ。ウインドマンスを気持ちよく過ごすためにも大切な週末が始まる。

今節は、各地でさまざまなアタッキングラグビーが炸裂すると予想する。それが勝利に結びつくかどうかは分からないが、観戦して楽しいことは間違いない。

最初に注目したいのは、23日(土)、群馬県太田市で行われる三洋電機ワイルドナイツ対福岡サニックスブルース戦。サニックスは、前節、トヨタ自動車ヴェルブリッツに惜敗したものの、ボールを左右に大きく動かして相手ディフェンスを広がらせ、スキを見つけて人と人の間に走り込む攻撃スタイルは見る者を大いに楽しませた。CTBタファイ・イオアサが個人技で防御に穴をつくれば、CTB小野晃征は、スペースを見逃さずに果敢に前に出る。アクロバティックなパス多様も、パターンを練習済みでミスが起こらない。三洋電機の鉄壁ディフェンスを、「ランニング・ラグビー」のサニックスがどこまで揺さぶれるのか。興味深い試合になる。

「アタッキング・ラグビー」のサントリーサンゴリアスは、前節、コカ・コーラウエストレッドスパークスに大苦戦も、6トライを奪って競り勝っている。ここまで徹底的にボールを保持してFW・BK一体となった連続攻撃を仕掛けてはいるものの、ミスが多く、トライ数が増えていないのが現状。ただし、日本代表WTB小野澤宏時、CTB平浩二はともに5トライをあげ、好調を持続している。ヤマハ発動機ジュビロに対して攻め切れれば、リーグ後半戦に向けて上り調子となるが、さてどうなるか。

土曜日の秩父宮ラグビー場で、サントリー対ヤマハ発動機戦に続いて登場するのは、東芝ブレイブルーパスとクボタスピアーズだ。前節、豊田自動織機シャトルズに一時23点差をつけられながら逆転勝ちしたクボタスピアーズは、SOシェーン・ドゥラームの怪我も癒え、チーム状態が上向いている。ただし、ディフェンスには難があり、東芝の「スタンディング・ラグビー」を止めきれるか、降格圏内から抜け出す試金石となる。

東芝は怒濤の攻撃を見せるだろう。タックルされても倒れずにパスをつなぐ力強いスタイルは、汗でボールが滑る時期はミスが起こりやすい。気温も下がり、東芝のラグビーには適した気候となってきた。自陣から思い切って仕掛けていくはず。まだ1勝しかあげていないクボタは踏ん張りどころだが、東芝が真正直に来るだけに、的を絞ったタックルで対抗したい。

日曜日、宮城でのNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(10位)対神戸製鋼コベルコスティーラーズ(7位)戦、広島開催のコカ・コーラウエストレッドスパークス(11位)対NECグリーンロケッツ(8位)戦も、実力が拮抗しており下位チームが勝利すれば順位が入れ替わる可能性のある戦い。大接戦と予想する。

サニックスのクリエイティブな攻撃ラグビーは三洋DFを打ち破ることができるか(写真は決定力のある濱里周、ヘスケスの両WTB)   前節のコカ・コーラウエスト戦はFWの力で競り勝ったサントリー(写真はFL佐々木)。そろそろFW/BK一体となったアタックが開花するか?   前節の豊田自動織機戦、劇的な逆転勝で今季初勝利をものにしたクボタは勢いに乗って東芝から金星奪いたいところ(写真はCTBオツコロ副将)

サニックスのクリエイティブな攻撃ラグビーは三洋DFを打ち破ることができるか(写真は決定力のある濱里周、ヘスケスの両WTB)
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

前節のコカ・コーラウエスト戦はFWの力で競り勝ったサントリー(写真はFL佐々木)。そろそろFW/BK一体となったアタックが開花するか?
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

前節の豊田自動織機戦、劇的な逆転勝で今季初勝利をものにしたクボタは勢いに乗って東芝から金星奪いたいところ(写真はCTBオツコロ副将)
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

 

注目選手

注目選手 Photo

谷口到
(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)

◇秋のテストマッチシリーズで日本代表キャップ獲得を目指す万能FW

   

谷口到(たにぐちいたる)◎茗溪学園→筑波大学→神戸製鋼コベルコスティーラーズ。NO8。188cm、105kg。
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

10月13日に発表された日本代表メンバー26名に名を連ねた。ジョン・カーワンヘッドコーチ曰く「とても動きがいい。FW第2列、3列両方をこなせるのも魅力だ」。188cm、105kgのサイズで運動能力が高く、高校日本代表、U19、U21と各エイジレベルの代表に加え、7人制日本代表入りも果たした。2003年、2007年ワールドカップで日本代表主将を務めた箕内拓郎選手のようになる可能性を秘めている。

代表入りを知ったのは、なんと、インターネットだった。チームには数日前に通知されていたのだが、初代表入りを驚かせようと、スタッフが黙っていたのだ。チームメイトの後藤翔太選手から「おめでとう!」というメールが届き、何のことだろうと思ってホームページを確認した。「びっくりしましたよ。まさか選ばれるなんて。カーワンヘッドコーチとは一言も話したことがありませんし」。

現在は、7人制と15人制の両方の日本代表になったわけだが、戸惑いはない。「7人制はスペースが広い。だからといって個々がバラバラになると守れない。間隔は広いけど、横の選手との連携が大事です。7人制で学んだチームとしての動きは、15人制でも生きています」。

持ち味は、プレーのスピード。どこにでも顔を出せる運動量も魅力だ。今季は高校以来となるロックにも挑戦している。NO8に愛着を感じる谷口にポジションチェンジを薦めたのは、神戸製鋼のスティーブ・カンバランド コーチ。「FWプレーの勉強のためにやってみないか」。そういうことであれば断る理由はなかった。「僕の最終目標はNO8です。体でみんなを引っ張っていけるようなプレーヤーになりたい」。

7節はNTTコミュニケーションズシャイニングアークスとの対戦だ。相手のロックは昨季まで神戸製鋼でともにプレーしたアダム・ウォレスハリソンである。「昨シーズンの神戸のラインアウトの中心でしたから、どんなプレッシャーをかけてくるのか、楽しみですよ」。ウォレスハリソンとの戦いも含めて見逃せない一戦となる。


注目選手 Photo

スティーブン・ラーカム
(リコーブラックラムズ)

◇オーストラリア代表キャップ「102」を誇るビッグネーム

   

スティーブン・ラーカム◎オーストラリア国立大→S14ブランビーズ→リコーブラックラムズ。SO/FB。190cm、88kg。
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

世界トップレベルの選手が続々と来日してプレーするトップリーグの中にあって、オーストラリア代表キャップ「102」を誇るラーカムは、頭抜けたビッグネームである。1999年のワールドカップではオーストラリア代表SOとしてチームを世界一に導き、2003年大会は準優勝、これに匹敵する経歴を持つトップリーガーはチームメイトだったサントリーのジョージ・グレーガン以外にはいない。

今季は6節まで4試合に出場。36歳という年齢もあってフル稼働とはいかないが、その柔らかいプレーは健在である。リコーではFBでプレーすることが多いが、ここ2節はSOで出場。世界トップレベルのキック力、パススキルを駆使してゲームを操っている。

「対戦相手を感じることができれば、ゲームプランをその都度変えることができます」。事前に対戦相手の情報を頭に入れ、弱点を突き、リコーの強みを生かす。そして刻々と変化する状況の中で準備してきたプランを修正していく。相手の動きによってその都度、立つ位置を変えるなど、冷静沈着な状況判断には勉強させられる。

190cm、88kgという細身の体で、22歳からオーストラリア代表で活躍できたのは、タックルの強さと、相手の走るコースを抑えるディフェンスの上手さがあったからだ。そして、彼が世界一のSOとして一時代を築いたのは、ディフェンスラインに極限まで接近してプレーできる能力の高さゆえだった。タックラーをぎりぎりまで引き付けてのパス、あるいは、そう見せかけての突破など、接点間際でのプレーが際立つのだ。

ラーカムはパスしたあとに、よくタックルされる。それは身を殺して味方を生かすプレーが多いことに他ならない。ボールを受けた選手はやすやすとディフェンスを破って抜け出すことができるのだ。今シーズンはリコーより当初発表された3年契約の最終年にあたる。今後の詳細は明らかではないが、ラーカムのしなやかなプレーを見に、ぜひグラウンドに足を運んでいただきたい。



チケット

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場 チケット
10/23(土) 12:00 サントリーサンゴリアス ヤマハ発動機ジュビロ 秩父宮 チケット
10/23(土) 12:00 豊田自動織機シャトルズ リコーブラックラムズ 近鉄花園 チケット
10/23(土) 13:00 三洋電機ワイルドナイツ

福岡サニックスブルース

太田 チケット
10/23(土) 14:00 東芝ブレイブルーパス クボタスピアーズ 秩父宮 チケット
10/23(土) 14:00 近鉄ライナーズ トヨタ自動車ヴェルブリッツ 近鉄花園 チケット
10/24(日) 14:00 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 神戸製鋼コベルコスティーラーズ ユアスタ チケット

10/24(日)

14:00 コカ・コーラウエストレッドスパークス NECグリーンロケッツ コカ・ウエスト チケット
■チケット全国発売日
第1節~第7節  2010年 7月24日(土)
第8節~第13節 2010年10月23日(土)
ページの先頭へ
本サービスの全てのページは、著作権により保護されています。
本サービスに含まれている全ての著作物を、著作権者の事前の許可無しに複製、変更することは禁じられております。
Copyright © (財)日本ラグビーフットボール協会 All rights reserved.