トップリーグ2010-2011特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
今シーズンより、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第6節(10/16 - 10/17)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
10/16(土) 12:00 クボタスピアーズ 38-35 豊田自動織機シャトルズ 秩父宮
10/16(土) 12:00 近鉄ライナーズ 21-19 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 近鉄花園
10/16(土) 13:00 リコーブラックラムズ 22-31 東芝ブレイブルーパス ニッパ球
10/16(土) 14:00 NECグリーンロケッツ 20-52 三洋電機ワイルドナイツ 秩父宮
10/16(土) 14:00 ヤマハ発動機ジュビロ 42-57 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 近鉄花園
10/16(土) 14:00 福岡サニックスブルース 33-36 トヨタ自動車ヴェルブリッツ グローバル
10/17(日) 14:00 サントリーサンゴリアス 45-36 コカ・コーラウエストレッドスパークス 熊谷

マッチレポート

“超攻撃ラグビー"は道半ばもFW力で勝ち点5を奪ったサントリーサンゴリアス

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迫力満点のモール攻撃などでコカ・コーラウエストを圧倒したサントリーFW(左からLO篠塚、FL佐々木、HO青木、PR畠山)
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

トップリーグ第6節で、唯一のサンデーゲームとなったサントリーサンゴリアス対コカ・コーラウエストレッドスパークスの一戦は、立ち上がりから双方トライを取り合うエキサイティングな内容となったが、強力FWを前面に出した戦いで6トライを奪ったサントリーが45-36で勝利。5トライを記録したコカ・コーラウエストも、3試合連続となるボーナスポイントを獲得した。

サントリーサンゴリアス ○45-36● コカ・コーラウエストレッドスパークス(前半20-15)──10月17日

ボーナスポイントを手にしての勝利だったにもかかわらず、試合後、サントリーのゲームキャプテンを務めたFB有賀剛の口から出たのは、反省の弁ばかりだった。
「相手のプレッシャーに負けて、いつも以上にミスが多くなり、リズムをつくり切れなかった。春からアタッキングラグビーに取り組んできているが、個々のスキルと精度をもっともっと上げていかないと」
6トライ中、4トライがFWによるもの。
そんな数字に如実に表れているとおり、新生サンゴリアスのアタッキングラグビーが炸裂したというよりも、前8人のFW力で勝利をもぎ取ったという印象が強い内容となった。

立ち上がり、主導権を握ったのはコカ・コーラウエスト。
開始1分に敵陣22m内のスクラムから、「フェイズを重ねないで取る」ことをアタックのひとつの柱とするコカ・コーラウエストらしいBK攻撃で、一気にFBショーン・ウェブがサントリーゴールを陥れて先制。
9分にはサントリーSOトゥシ・ピシが個人技で相手DFを次々にかわしてトライを返したが、16分には自陣深くからのカウンターでコカ・コーラウエストが2トライ目。

序盤は、「ゲームプランどおりだった」(向井昭吾監督)というコカ・コーラウエストの試合巧者ぶりが際立つ展開となった。
一方のサントリーは、前述の有賀ゲームキャプテンのコメントどおり、連続攻撃を仕掛けるものの、フェイズを重ねる中で主にBK陣にハンドリングエラーやパスミスが頻発。なかなか波に乗れない時間帯が続いた。

強いセットとモールが攻撃の核に

それでも時間の経過とともに、セットプレー、ブレイクダウン、モール、あるいは個々の前に出る圧力など、FW戦でサントリーが優位に立つ場面が多くなる。
20分、26分と、今季新加入し、この日は膝のケガで欠場した竹本隼太郎主将にかわってNO8に入ったトッド・クレバーが、モールから連続トライを奪って逆転。クレバーは後半26分にも、長いストライドを生かした走りでコカ・コーラウエストDFの隙間をすり抜けてハットトリック達成。マン・オブ・ザ・マッチに輝く活躍ぶりを見せた。

新戦力という意味では、初先発となったFL西川征克も「人に強い」(エディ・ジョーンズ監督)プレーでポテンシャルの高さを示した。
後半13分のWTB小野澤宏時が左隅に飛び込んだトライも、起点はラインアウトからのモール。
20-15で折り返した後の後半の立ち上がりには、「自分の仕事はできた」というPR尾崎章、HO青木佑輔、PR畠山健介のフロントローの頑張りもあって、スクラムでコカ・コーラウエストの反則を誘ってPGで加点。
最終的に45-36という点差が1桁台の勝利だっただけに、ハーフタイムを挟む16分間に、CTBライアン・ニコラスの3本のPGを刻んだことも勝因となったが、これもFWの頑張りに起因する得点だった。
「FWに関しては練習でやってきたことができた」(FL佐々木隆道)

その一方で、今季目指しているアタッキングラグビーに関しては、ミスが多く、まだまだ道半ばという印象。
それでも、新人ながら早くも「9番」の座を確保した感のあるSH日和佐篤のテンポ良いボール捌きから、相手DFのわずかなほころびを連続して切り裂いていくような攻撃には、大きな可能性を感じさせるのも事実ではある。
「(シーズンの)最初の頃に比べれば、やろうとしていることがみんなわかってきている」(CTB平浩二)
現時点では、“世界のエディー"が求めるスキルと精度に到達していないものの、試行錯誤しながら"そこ"にたどり着く道筋は見え始めた──。
そんな、サントリーの現況が如実に表れたコカ・コーラウエスト戦だった。

(text by 出村謙知)

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3トライを奪う決定力を見せてMOMに輝いたNO8クレバー。初先発となったFL西川(左)も人に強いところを見せて勝利に貢献した
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
リザーブのグレーガンと交替せずにフル出場した新人SH日和佐。抜群の球捌きで競争の激しいサントリーでレギュラーを確保
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
粘りのDFとカウンター攻撃でサントリーを苦しめたコカ・コーラウエストだったが、あと1歩及ばず(写真中央はSO福田ゲームキャプテン)NTTコムを退けた
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

 

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神戸製鋼、キャプテン復帰とBKの編成変更で、持ち前の攻撃力発揮

 

日本代表への復帰を果たした神戸CTB今村は小気味のいいランニングで何度もヤマハDFを切り裂いた
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

順位の近い者同士の対戦が多かった第6節の土曜日は大接戦が続出した。秩父宮ラグビー場では、クボタスピアーズが豊田自動織機シャトルズに一時は23点のリードを許しながらの逆転勝ちで今季初勝利。福岡県宗像市のグローバルアリーナでは、福岡サニックスブルースがトヨタ自動車ヴェルブリッツに敢然と走り勝つラグビーを仕掛けたが、最終的には、33-36と競り負けた。

ヤマハ発動機ジュビロ ●42-57○ 神戸製鋼コベルコスティーラーズ(前半14-29)──10月16日

チームスローガンMOVING RUGBYを掲げ、縦横無尽にボールを動かすラグビーを目指していた神戸製鋼がようやく本領を発揮した。
前半2分にヤマハ発動機WTB徐吉嶺に先制トライを許したものの、ボールを大きく動かしながらゴールラインに迫り、モールの押し込みなどで、8分までに2トライをあげてあっさり逆転。以降は、何度もスコアで迫られながら一度もリードを許すことなく、最終的には8トライをあげて、ヤマハ発動機をくだした。

パス、キック、ラン、どれをとっても一級品の技能を持つ正面健司をゲームメイカーのSOに据え、キック力のあるピーター・グラントをFBに下げる布陣は攻撃的に機能。正面からのテンポのいいパスで、今村雄太、大畑大介が次々に防御を切り裂いた。今季限りでの引退を表明している大畑が華やかにタックラーをかわして走り抜けると、スタンドから自然発生的に拍手が起こるシーンも。

運にも見放された3敗

左のふくらはぎを痛めていたPR平島久照キャプテンの復帰も大きかった。スクラムに安定感が出てFW全体が引き締まり、モールを押し込んでのトライも含めて、なんとスクラム最前列のPR山下裕史が3トライをあげる大活躍。後半21分から3トライを畳みかけた攻撃には、苑田右二ヘッドコーチからも思わず笑みが漏れた。

試合後の記者会見。苑田ヘッドは、「久しぶりに晴天の中でラグビーができました」と、雨にたたられた3連敗を皮肉って報道陣を笑わせ、思い通りの攻撃ができたことを明かした。「練習ではいいアタックができていたので、ボールキープを続ければ、穴は開くと思っていました」。ただし、6トライを奪われたディフェンスについては、「早急に修正しなければ」と厳しい表情だった。平島久照キャプテンは、「ここから先は、毎試合レベルアップしたい」と語り、停滞気味だったチームを上昇気流に乗せる意欲に燃えていた。

この試合に先立って行われた近鉄ライナーズ対NTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦は、NTTコムがSO君島良夫の正確で飛距離のあるキックを軸に陣地を進め、強力FWを前に出した。しかし、19-16とNTTコムリードで迎えた終了間際、近鉄が怒濤の連続攻撃。最後はNO8田中正純がトライして、「逆転の近鉄」の底力を見せつける劇的勝利となった。

(text by 村上晃一)

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PR平島主将(写真)が復帰してセットが安定した神戸はボールをどんどん動かすラグビーで8トライを奪い、底力をみせた
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
SH矢富(写真中央)の2トライなど6トライを奪う攻撃力をみせたヤマハだが、DFが崩壊し4連敗となった
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
千両役者CTBギアの活躍もあって、終了間際の劇的なトライで"逆転のライナーズ"の本領を発揮した近鉄がNTTコムを退けた
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

 

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