NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 31-19 キヤノンイーグルス
【入替戦/2011年2月12日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】
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前日は降雪、この日も冷たい雨が降る秩父宮ラグビー場で、来季トップリーグ参戦の「最後のキップ」を賭けた入替戦が行われた。
今季トップリーグ初昇格を果たしたが、リーグ戦13節でコカ・コーラウエストレッドスパークスに5点差で惜敗、入替戦に回ることになってしまったNTTコミュニケーションズシャイニングアークス。対するのはトップイーストを制したものの、トップチャレンジ1で2敗を喫し、自動昇格を逃したキヤノンイーグルス。「残留」か「昇格」か、どちらも譲れない最終決戦となった。
試合はキヤノンのキックオフで始まった。開始早々の1分、キヤノンは敵陣22m付近のPGをCTBブルースが落ち着いて決め先制(0-3)。その後、キヤノンが14分、NTTコムが18分にそれぞれPGを決める。(3-6)
キヤノンの鋭いディフェンスに攻めきれなかったNTTコムであったが、30分に自陣10mのラックからSOウィングが抜け出しWTB友井川につないで中央にトライ。(G成功10-6)
対するキヤノンも34分にPGを成功させ1点差に詰め寄る。(10-9)
NTTコムは37分、敵陣ゴール前の連続攻撃からSH中山-SOウィング-FB栗原とつなぎ右中間にトライし(G成功 17-9)突き放しにかかるが、キヤノンも41分にPGを成功させ(17-12)5点の僅差で前半を終了した。
後半、先手を取ったのはNTTコム。5分に敵陣10mのラックからSOウィングがキヤノンのディフェンスを振り切り右中間にトライ(G成功 24-12)。ここでキヤノンも「昇格」への意地を見せる。19分、ゴール前のラックからキヤノンSO今村がインゴールにキックパス。このボールをCTB水田が中央でおさえてトライ(G成功 24-17)。1トライ、1ゴール差まで点差を縮める。
ここでNTTコムは3人のメンバーを入れ替える。直後の23分、入替で入ったばかりの濱田が密集を抜け出しチャンスメイク、濱田からのパスを受けたFB栗原が中央にトライ(G成功 31-19)。キヤノンも反撃を試みるものの最後のパスがつながらず、そのままノーサイド。
それぞれの意地がぶつかり合う熱い一戦であったが、チャンスをきっちりと得点に結びつけたNTTコムがトップリーグ残留を決めた。(久野彰也)
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永友ヘッドコーチ(右)、宍戸キャプテン
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◎キヤノンイーグルス
○永友洋司ヘッドコーチ 「本日はありがとうございました。天候が悪く試合ができるか心配していましたが、協会をはじめ準備して頂いた関係者の皆様に感謝しています」
○宍戸要介キャプテン 「春から積上げてきたこと、練習でやってきたことを試合で出せるよう意識してきました。失うものは何も無いという気持ちで挑みましたが、勝つことができずに残念です」
──1トライ、1ゴール差まで詰めたがひっくり返せなかった。足りなかったところは?
○宍戸キャプテン
「いろいろなプレッシャーがありましたが、チャンスをモノにできるかできないか、ということだと思います。NTTコムさんはそれをモノにしていました」
──トップリーグとの差は何か?
○永友ヘッドコーチ
「取り切らなければいけないところで取りきれるかどうかというところでしょうか。NTTコムさんとは昨年同じリーグでやっていましたが、昨年よりも差をつけられた感じがしました。そのNTTさんが入替戦にきてしまう。トップリーグの厳しさも感じました。1年間かけてターゲットを定めてきたつもりですが、来季はもっと明確にターゲットを決めてやっていきたいと思います」
──アリシ・トゥプアイレイを使わなかったのはなぜか? 体調が悪いのか?
○永友ヘッドコーチ
「今日のグランドコンディション、NTTコムさんのメンバー等を含めトータル的に考えましたが、最後まで使うチャンスはありませんでした。アリシは大変元気です。良く食べます(笑)」
──今年のチームは期待に対してどうだったか?
○永友ヘッドコーチ
「選手は期待以上に頑張ってくれました。更に明確なターゲットを決めてチーム作りをする必要があります。来季に向けての準備は既に始めています」
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大沼監督(右)、中山キャプテン
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◎NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
○大沼照幸監督
「本日はありがとうございました。トップリーグ最終節からの1ヶ月間、レベルアップするつもりでやってきました。キヤノンさんの気迫のこもったディフェンスに苦しめられましたが、後半は自分たちのラグビーをしてくれたと思います。来年もトップリーグでやれることになり喜んでいます」
○中山浩司キャプテン
「監督が言っていた通り、この1ヶ月、成長するためにやってきました。来シーズンに向けても良い経験ができたと思います」
──序盤苦戦したが、今日の試合展開は?
○大沼監督
「キヤノンさんのバック3を動かしてから攻める作戦でしたが、前半はFWに拘りすぎました」
──メンバーを直前に変えたが?
○大沼監督
「西村(SH)が腰を痛めてしまい試合に出場できる状態ではありませんでした。この1ヶ月でレベルアップの為に、サントリーさん、ヤマハさん、三洋さんと練習マッチを行った代償かも知れません」
──外国人の使い方が変わったが?
○中山キャプテン
「この1ヶ月で調整してきたので、ウィングとのコミュニケーションも問題ありませんでした」
──後半、メンバーを入れ替えてから動きが良くなったが?
○中山キャプテン
「ハーフタイムでの監督からの指示を皆で意識しました。(入れ替えで入った)濱田がすぐにチャンスを掴めたのも意識していたからです」
──キヤノンFWのプレッシャーは?
○中山キャプテン
「ディフェンスもブレイクダウンも非常に厳しかったです」
──来季は2シーズン目のトップリーグとなるが、課題は?
○大沼監督
「通用する部分もありましたが、今シーズンは7点差以内の負けがいくつもありました。この勝ちきれない部分を修正していきたいと思います」
○中山キャプテン
「選手としてはまず、ベスト4を目標として個人個人が練習に取り組むことが大事だと思っています」
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