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プレーオフ ファイナル TOPマッチレポート(サントリー 23-28 三洋電機)

今シーズンより開始した、特集「TOPマッチプレビュー・レポート」。
ワイルドカード、プレーオフトーナメントと、引き続き、スポーツライターの目から見る試合プレビューとマッチレポートをお送りいたします!!

プレーオフトーナメント
後半にボールを奪いに出た三洋、腕力で日本一をもぎ取る!

三洋電機ワイルドナイツが、後半立ち上がりの20分間に3トライを集中。第10節で15-17と敗れたサントリーサンゴリアスに"借り"を返して、悲願のトップリーグ初制覇を成し遂げた。
プレーオフのMVPには、セミファイナルのトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦に続いてファイナルでもトライを挙げたWTB山田章仁選手が選ばれた。

  後半、見事な集中力を見せて、サントリーに逆転勝ち。三洋電機が4度目の挑戦で悲願のトップリーグ制覇を成し遂げた
後半、見事な集中力を見せて、サントリーに逆転勝ち。三洋電機が4度目の挑戦で悲願のトップリーグ制覇を成し遂げた
(C)2011,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

三洋電機ワイルドナイツ ○28-23● サントリーサンゴリアス(前半6-11)──1月30日

ラック・モールを連取して次々にフェイズを重ね、相手防御に圧力をかけ続けながらスペースをこじ開けるサントリーと、堅い防御で粘り強く相手の攻撃を受け止め、ターンオーバーからの切り返しから一瞬にして相手を攻め落とす三洋。
ファイナルは、そんな両チームのカラーが、立ち上がりから鮮明になった。

前半立ち上がりからフルスロットルで攻めるサントリーは、三洋の懸命の防御に手を焼きながらも、6-6の同点で迎えた33分にWTB長友泰憲がトライを奪って、ボール獲得数の優位を初めてスコアの優位に結びつける(ゴール失敗)。
この間、サントリーは何度も10次以上に及ぶ連続攻撃を展開しながらトライを奪えず、CTBライアン・ニコラスの2PGによる6点に甘んじていた。

攻守に闘志むき出しのプレーぶりで優勝に貢献した三洋SOブラウン(右)。36歳とは思えないはつらつさに来季も現役続行を望む声も 攻守に闘志むき出しのプレーぶりで優勝に貢献した三洋SOブラウン(右)。36歳とは思えないはつらつさに来季も現役続行を望む声も
(C)2011,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

しかし、後半が始まるとゲームの様相は一変する。
前半はサントリーが持ち込んだラックにほとんどファイトせず、ボールを出させて防御に走った三洋FWが、接点で相手と激しく格闘してボールを奪い返しに出たのだ。
逆襲はすぐに結果に結びついた。
7分にSH田中史朗がペナルティキックから速攻。連続攻撃に持ち込み、FL劉永男がトライ。FB田邉淳が難しい角度からゴールを決めて13-11と逆転する。

10分には、SOトニー・ブラウンがサントリーPR畠山健介からボールをもぎ取って右へ展開。大外でパスを受けた劉が前方へキックしたボールをWTB山田章仁が拾い上げてインゴールまで運び、さらに5点を追加した。
山田をMVPへと押し上げたこのトライで波に乗った三洋は、1PGを加えた直後の21分にもモールから途中出場のFL西原忠佑がトライを奪って悲願の初優勝を大きくたぐり寄せた。

ファイナルでもトライを挙げてプレーオフMVPに輝いた三洋WTB山田(写真中央)。新スターの加入もワイルドナイツ悲願を頂点に押し上げる要因となった ファイナルでもトライを挙げてプレーオフMVPに輝いた三洋WTB山田(写真中央)。新スターの加入もワイルドナイツ悲願を頂点に押し上げる要因となった
(C)2011,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

後半の三洋の変化を、NO8ホラニ・龍コリニアシは次のように明かす。
「サントリーはジャッカルするのが非常に難しいチーム。でも、セットプレーから2次までの攻撃を前に出て止めれば、戦えるスペースができる。前半は、ターンオーバーから一気にトライを取ろうとしてFWが広がったところでターンオーバーされたりしたけど、後半は上手く防御できた」
サントリーがボールを長時間保持しながら1トライに終わったのとは対照的に、後半の三洋はトライへの嗅覚が鋭くなって全員の集中力が高かった。
勝負を分けたのは、そんな三洋のトライを取る意識の高さだったのかもしれない。

"魔の20分"に泣いたサントリーは日本選手権でのリベンジを誓う

サントリーも、その後途中出場のSHジョージ・グレーガンがトライを返し、終了直前にも長友がインゴールに飛び込んで5点差まで追い上げたが、そこでホーンが鳴って万事休す。後半立ち上がり20分間の三洋の集中攻撃に、無念の涙を呑んだ。
初優勝の感涙をにじませながら、三洋・飯島均監督が試合を振り返る。
「サントリーが前半からものすごい勢いで飛ばしていたので、後半はバテると思っていた。案の定、ボールを持った選手の姿勢が悪くなってターンオーバーできた。我慢に我慢を重ねたみんなの気持ちが爆発した後半でした」

前半は接点で圧倒したサントリーだったが、後半、三洋に対応されて逆転負け。日本選手権に向けてFL佐々木(写真中央)は「ブレイクダウンにさらにこだわる」 前半は接点で圧倒したサントリーだったが、後半、三洋に対応されて逆転負け。日本選手権に向けてFL佐々木(写真中央)は「ブレイクダウンにさらにこだわる」
(C)2011,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

一方、サントリーのエディ・ジョーンズ監督は、「後半最初の20分だけが良くなかったが、その時間帯が高くついた。今日は結果が出なかったが、チームはいいラグビーをしている。ブレイクダウンを修正して日本選手権に臨みたい」と、リベンジを宣言した。
今季は、これで対戦成績は1勝1敗。ファイナルで敗れたサントリーには、その1敗が高くついた格好だが、竹本隼太郎キャプテンも「今日の試合で足りなかったところを素直に認めて日本選手権に挑戦したい」とリベンジに意欲を燃やす。

両者の再戦は、ともに日本選手権を決勝まで勝ち上がって初めて実現する。
3度目の対戦で雌雄をつけられるか。それとも──。
戦いの舞台は、2月6日開幕の日本選手権へと移る。

(text by 永田洋光)




2011年2月1日

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