今シーズンより開始した、特集「TOPマッチプレビュー・レポート」。 |
ワイルドカード、プレーオフトーナメントと、引き続き、スポーツライターの目から見る試合プレビューとマッチレポートをお送りいたします!! |
佳境となった今シーズン。どこがトップリーグチャンピオンになるのか? |
どこが日本選手権に出場するのか??? |
見どころ満載の試合をもっと面白く、楽しく観戦するために、必見です! |
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シーソーゲームを制し、NECが日本選手権出場権獲得
23日、大阪・近鉄花園ラグビー場でワイルドカードトーナメント2回戦2試合が行われ、共にレギュラーシーズン上位チームの神戸製鋼コベルコスティーラーズとNECグリーンロケッツが、それぞれ福岡サニックスブルースとリコーブラックラムズを退け、日本選手権出場権を獲得。神戸製鋼はトヨタ自動車ヴェルブリッツと、NECは東芝ブレイブルーパスと同1回戦(共に2月6日、大阪・近鉄花園)で対戦することになった。
(写真右)空の色も味方につけてNECがリコーに逆転勝ちを収めた(写真は先制トライを決めたCTB櫻谷)
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(C)2011,JRFU(photo by Kozue Shinyashiki RJP) |
NECグリーンロケッツ ○38-33● リコーブラックラムズ(前半12-22)──1月23日
勝てば日本選手権に進み、負ければシーズンが終わる。必勝を期した一戦は、互いに一歩も引かないシーソーゲームになった。
最初に仕掛けたのはNECだった。前半2分、リコーの攻撃に激しくプレッシャーをかけてボールを奪うと、相手陣に10mほど入った左ラインアウトからサインプレーを試みる。SOロビンスからパスを受けたCTBツイタヴァキにリコーのタックラーが引きつけられた瞬間、ふわりとしたパスが右に放たれ、ツイタヴァキの内側から外側に素早く回り込んだCTB櫻谷がボールを受けて一気に抜け出す。目の覚めるような先制トライだった。
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出場停止のラトゥ主将に代わってNECのゲームキャプテンを務めたNO8浅野(中央上)。体を張ったプレーでチームを引っ張った
(C)2011,JRFU(photo by Kozue Shinyashiki RJP) |
しかし、以降はリコーがペースを握る。「前半はワン・オン・ワン(一対一)でやられてしまった」とNECのゲームキャプテン浅野が語ったとおり、リコーが一対一の接点で少しずつ前に出てNECの反則を誘う。
8分、NEC陣深く攻め入ったラインアウトからモールを押し込み、FWのサイドアタックでNECのロビンス、櫻谷を巻き込んだあと大きく展開し、WTB星野が右コーナーにトライ。18分、同じく星野がNECのWTBロコツイを抜き去って連続トライをあげる。
再び流れを引き戻したのは、NECの伝家の宝刀ドライビングモールだった。
前半36分、リコーゴール前5mの右ラインアウト。出場停止のニリ・ラトゥに代わってキャプテンを務めた浅野がチームメイトに声をかけた。「プライドを持って、ゴールまで押そう!」。モールに参加する全員がゴールラインにまっすぐ突き進んでのトライ。12-19と、7点差に迫る。
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SOロビンスと共にフル出場を果たし、NECのミッドフィールドを支えて勝利に貢献したCTBツイタバキ
(C)2011,JRFU(photo by Kozue Shinyashiki RJP) |
"空の色"に惑わされたリコー
後半開始直後のことだった。NECのSH藤戸がFWの背後からハイパント。このボールがリコー陣で弾むと、追いかけていたロビンスがキャッチしてつなぎ、ロコツイがトライ。7分にも、藤戸のキックで攻め込み、キック処理にもたつくリコーからボールを奪ってロコツイが連続トライ。24-22と逆転する。実はリコー側から見える空は、雲の中に太陽があり、ボールをすっぽり覆い隠すような色をしていた。前半、ボール処理に苦しんだNECの冷静な判断が勝利を呼び込んだわけだ。以降もスコアが二転三転したが、ほとんどの時間をNECがリコー陣で戦うことに成功し、29分、ロコツイがこの日3つ目のトライで勝負を決めた。
リコーのヘッドコーチ代行ランス・ヘイワードは言った。「後半、自陣から出られずアタックのオプションが限られてしまった」。自らの強みでトライを奪い、空の色も味方につけたNECのクレバーな勝利だった。
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1対1で優位に立ちながら、前半のリードを生かしきれなかったリコー(写真は後半8分にトライを奪うなど奮闘したPR伊藤)
(C)2011,JRFU(photo by Kozue Shinyashiki RJP) |