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C:2011, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)
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キヤノンイーグルス 32-37 ホンダヒート
【トップチャレンジ1 第3節/2011年1月29日(土) at 大阪・近鉄花園ラグビー場】
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トップリーグ初昇格を目指すキヤノンと再帰を期するホンダヒートとの一戦、第3節をともに1勝1敗で迎え、勝てばリーグ自動昇格負ければ入替え戦に臨む、両チーム是非ともここで勝負を決めてしまいたいところ。2節までの戦いぶりをみると実力はほぼ互角、地元の利をホンダがいかに活かすかが注目される。
試合は、鈴鹿から駆け付けたホンダの大応援団がメインスタンドの半分を埋め尽くす中、キヤノンのキックオフで始まった。立ち上がりから、キヤノンは、CTB13トゥプアイレイにボールを集中し縦突破を図るが、ホンダ、ダブル、トリプルでDF、ゲインを切らせない。一方ホンダは定石通りキックでエリアの獲得を図るが得点には至らない。
この膠着状態が続いた後ようやく16分、キヤノン、自陣ラックから果敢に右に回し、WTB14徳永にボールがわたるとホンダDFを交わしながら急加速、右タッチ際を70m独走しトライ(5-0)均衡を破る。続いて今度はホンダ、19分、右ラックから大きく左に展開し、2キャプテン田中のパスを8川添が受けDFのギャップを衝いてトライ、GKも決まり5-7と逆転する。しかしキヤノン、22分には、深く蹴り込んだパントキックを相手DFが処理を誤るのに乗じてラックを連取、最後9-10から2キャプテン宍戸に繋ぎ中央トライ、12-7と再びリードを奪う。
続いてホンダ、継続攻撃にキヤノンが耐えきれずに犯した反則から25分、35分とPGを決め12-13と再度逆転、さらに38分、連続攻撃から最後9-13とショートで繋ぎそのままCTB上田が走り込みトライ、12-18と差を拡げて折り返す。
後半、先手を取ったのは、またもキヤノン、40mのPGを12三友が決め15-18と差を詰める。しかし9分、今度はホンダがGL前で得たFKからスクラムを選択し左に9-10-12ヨハンソンと繋いで中央トライ、15-25と差を拡げる。しかし負けるかとばかりにキヤノン13分、PKから継続し13トゥプアイレイがパワーで中央トライ、22-25とし、さらに18分、ホンダがハーフウエイ中央で犯したハンドの反則に迷わずショットを選択、12三友見事にPGを決めて遂に25-25と試合を振り出しに戻す。
しかし、ホンダは23分、ラックを連取してダブルラインで左右に振る華麗な攻撃で13上田が中央トライ、25-30とまたもキヤノンを突き放し、さらに30分、9梁がラックサイドを衝いてトライ25-37、12点差と水を開けた。これで勝負あったと見たかホンダ、FWでボールをキープし時間を費やす戦法に出るが、これが裏目、ナット・リリース・ザ・ボールの反則からキヤノンが速攻、さらに重ねたホンダの反則から9タップキック、レメキに繋ぎトライ、32-37と追いすがる。しかし、残り時間はわずか、遂にホーンが鳴り響き、ホンダSH梁が高々とボールを蹴り出してノーサイド。
試合後キヤノンの永友ヘッドコーチは「花園の経験の有無」つまり地元の利を敗因の一つに挙げた。しかし、この試合を見る限り、フェイズを重ねて相手DFの綻びを衝くホンダと、逆にフェイズを重ねる毎に攻撃が薄くなり個人の突破力に頼らざるを得なくなるキヤノンとの力の差は得点差以上に明らかで、まさにホンダ田中キャプテンの言葉どおりレベルアップしたチーム全員の力で勝ち取った勝利だった。
この試合の結果、勝ったホンダは来シーズンからトップリーグに昇格することが決定し、敗れたキヤノンはNTTコミュニケーションズとの入れ替え戦に臨むこととなった。
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◎キヤノンイーグルス
○永友洋司ヘッドコーチ
「まずは、今日のゲームに携わった全ての皆様に感謝申し上げます。ホンダの素晴らしいラグビーに敬服する。自動昇格は逃したものの、まだチャンスは残っている。先に昇格を決めたNTTドコモ、ホンダに追いつけるよう頑張りたい」
○宍戸要介キャプテン 「勝敗の分かれ目はチャンスをモノにできたか否かである。気持ちを切り替えて、入れ替え戦に臨みたい」
──両チームの差は?
○永友ヘッドコーチ
「選手は良くプレーしたと思う。獲るべき局面で加点できなかったところがホンダとの差。勝つべき文化がなかったというか、細かなミスが多い」
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◎ホンダヒート
○上野三四郎監督
「一年でトップリーグに復帰できたことはうれしい。チームを応援いただいた全ての皆様に、この場を借りて御礼申し上げたい。ゲームについては、トップイーストを全勝、前節も九州電力に快勝して勢いに乗るキヤノンだけに、先制点を重要視していたが、前後半とも相手に先制され苦しい展開になった。が、最後まで諦めることなく勝利を信じてやり切った選手達を誇りに思う」
○田中貴士キャプテン 「勝ちがうれしいと同時に、正直ホッとした。最低限の目標を達成したに過ぎない」
──今日の出来について。
○上野監督
「勢いのあるキヤノンをしっかり受け止められなかったことは反省点である。最後まで走り切り勝利できたことは良かったと言える」
──前回昇格時とのチームと比較して。
○上野監督
「前回インパクトプレーヤー中心のチームづくりだった結果、トップリーグで通用しなかった。今年は全員で走り勝った結果であり、総合力では今のチームの方が上だと思う」
○田中キャプテン
「昨年からチームとして戦っていたが、今年は更にレヴェルアップしたと実感している」
──シーズン中と、若干メンバーが入れ替わったことについて。
○上野監督
「CTB上田は経験豊富で、特に心配していなかった。FB嶋は、怪我の影響でリーグはほとんど出場できなかったのでゲーム勘を心配していたが、最後尾から的確な指示を出して、チームを良く動かしてくれた」
──会社のサポート強化について要望は?
○上野監督
「景気もありますから(苦笑)。今年も充分サポートいただいている。今後は、我々が現有勢力をいかにレヴェルアップさせるかだ」
──トップリーグ復帰について。
○上野監督
「まずチームの底上げが大事。それだけに日本選手権出場を逃したのは悔しい。具体的にはコンタクトポイントのフィジカルがまだまだ足りない」
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