サントリーサンゴリアス 23-28 三洋電機ワイルドナイツ
【プレーオフトーナメント ファイナル/2011年1月30日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】
|
|
バックスタンド南側に陣取った三洋電機ワイルドナイツの赤と、北側のサントリーサンゴリアス黄色の応援合戦の中、三洋のキックオフで試合開始。
8分、三洋のライン攻撃をサントリーLO4篠塚が巧みにインターセプト、ハーフライン付近から相手陣25mラインまで攻め込んだ。そこで三洋のオフサイドを誘い、CTB12ニコラスのPG成功でサントリーが3-0で先制した。
10分、今度はサントリーがラックに横から入る反則を犯し、FB15田邉が25mライン後方からのPGを楽々と決め3-3の同点とする。
このあたりまでは互角の戦いだったが、次第にサントリーのブレイクダウンでの強さが目立ってくる。ボールを散らし、当たり、押し込み、こじ開けるようなプレーの連続だ。注目のSH日和佐のテンポのよい球さばきもありサントリーの優位が続くが、三洋も懸命のディフェンスでトライをなかなか許さない。前半は双方とも手堅くゴールを狙い、19分サントリー、30分三洋がPGを成功させる。(6-6)
極力キックを使わずに攻め続けるサントリーは、33分ゴール前15m付近でのラックから右に展開し、外側に余ったWTB14長友が両チーム初のトライを奪った。(G不成功11-6)
後半に入ると流れが三洋に変わり、サントリーの攻撃をターンオーバーしたことをきっかけに、7分ゴール前のラックからFL6劉が右隅に飛び込みトライ。ゴールも成功し11-13と三洋が逆転した。10分にもハーフライン付近でサントリーのボールをSO10ブラウンが上手に奪い取り左に展開、FL6劉がバックス顔負けのパントをディフェンスラインの裏に上げ、バウンドするボールがWTB11山田の胸に収まり、そのままトライとなった。(G不成功11-18)
18分には、サントリーのコラプシングで得た10mライン付近からのPGをFB15田邉が決め、11-21と点差を広げた。さらに21分、ゴール前のラックをうまくモールに持ち込み、そのまま真直ぐ押し込みトライ。ゴールも成功し11-28と2T2G以上の差をつけるに至った。
サントリーは後半30分以降、日和佐に代わって投入されていた9SHグレーガンが、ペナルティからの早いリスタートでトライを奪うなど、2T1Gを返したが反撃もそこまで、23-28でノーサイドとなった。
日本選手権では3連勝中の三洋電機ワイルドナイツも、全国社会人大会も含めトップリーグで単独での優勝経験がなかったが、今回12回目の挑戦でトップリーグの頂点に立った。
|
|
|
|
|
|
|
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン
|
◎サントリーサンゴリアス
○エディー・ジョーンズGM兼監督 「負けるのは嬉しくないです。前半は勝つことができましたが、後半20分間のプレーがよくなく、三洋さんに22点を取られ、ゲームが決まったと思います。最後まで、チームは良く戦いました。ブレイクダウンを修正できれば、日本選手権も取れると思います」
──後半、ブレイクダウンでターンオーバーされたが?
「今日はゲートが大きかったと思います。良いゲートの距離を見つけて練習したいので、良いゲートをモールで売っていたら教えてください(笑)。真剣に言うと、前半はサントリーがボールコントロールできていたが、後半はブレイクダウンの何かが変わったのだと思います。それに対応して、三洋さんはプレーを上手にやったと思います。サントリーの目指すラグビーをするために、修正していきます」
──トヨタ戦後言及した「ロングジャーニー」の今はどこ辺りなのか?
「今日は悪い結果ですが、チームは良くなっています。今のラグビーはやっていて嬉しく思います。長い旅は終わることはありませんが、今日は違うバス停で降りてしまったと思うので、次は正しいバス停で降りたいですね」
──もっと外へ振れば獲れたのでは?
「そうかもしれません。三洋さんのディフェンスはソフトで、外へ行かせたいやり方で、スピードもあるディフェンスです。外では回し切れないと考え、こじ開けようとしましたが、バリエーションとしてあっても良かったです」
○竹本隼太郎キャプテン 「試合では、できたところとできなかったところがありました。前半と最後の20分は自分たちのラグビーができたと思います。足りなかったところを素直に認めて、もう一度日本選手権にチャレンジしたいと思います」
──後半、ブレイクダウンでターンオーバーされたが?
「1対1で三洋さんがすごく絡んできて、負けたケースが多かったと思います」
|
|
◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督 「サントリーさんが非常にテンポのあるラグビーで、果敢に来られたことにありがとうとお伝えしたいと思います。三洋は創部51年、12回目の挑戦で初めて勝つことができました。その間、イアン・ウィリアムズ選手に走られたり、サントリーさんに最後に同点にされたり、いろいろなことがありました。今は、終わって興奮しているし、何とも言えない気持ちです。創部当時の選手、家族、関係者の思いが後半に選手に伝わって勝てたと思います。今はただ、トップリーグの優勝を喜びたいと思います」
──前半と後半のブレイクダウンの違いは?
「一つは、前半からサントリーさんがアタックもディフェンスも人数をかけてインパクト強くやってきたことにあります。ある程度疲れが(向こうに)出て来たこともあるし、こちらもラインアウトを捨てても、ブレイクダウンに強い西原を入れて流れを変えたことも影響したでしょう」
──誤算があるとすれば?
「やはり、思った通りの試合にはなかなかなりません。非常にペースの良いときのサントリーさんは強いですし、前半のペースが80分続けば、脅威です。意図は分からないが、日和佐選手とピシ選手を下げてくれたのは誤算というより、疑問です」
──今年は、最後に勝てたが?
「計算どおりにはいかないものです。敗戦から学ぶエネルギーもあったし、若手が伸びてシニアに代わって出たことで、ここ3、4年で体調が一番良かったこともあります」
──エディー監督が、ゲートが大きかったと言ったが?
「負けたときは、大概不満があるものです(笑)」
○霜村誠一キャプテン 「お疲れ様です。僕らは春からずっと準備してきたことを出しただけです。80分間、お互いに身体を張り合って、良いゲームができました。決勝4回目にして初めて、やっと取ることができました。チームメイト、コーチングスタッフ、ファンの皆様、地域の皆様に感謝します」
──後半、少ないフェイズでターンオーバーしたが?
「ハーフタイムでも全部ブレイクダウンに入れば良いというものでなく、見極めようと言いました。一人一人の意識が変わったからだと思います」
──アタックを封じることができたのは?
「僕らが言い続けた『声でつぶす』ことができたからです。80分、ディフェンスで、『ループした』『内、OK』と言い続けられました」
──51年かかって初優勝した気持ちは?
「結果としてすごく嬉しく思っています。(会社の呼称等、いろいろ取りざたされているが)僕たちのできることは勝つことだけですし、今年のチャンピオンシップは、何年たっても三洋電機ワイルドナイツの名前が結果として残るわけですから、嬉しいです。しかし、それを背負ってプレッシャーになることはありませんでした」
──MVPの山田選手は?
「僕はもともと結構好きなプレーヤーでした。一緒にやって、前向きさを感じます。コミュニケーションが取れるようになって、プレーで皆に認められ、好かれてきました。もともと明るい性格で、皆の心をつかんだと思います。昨日の時点で、勝ったらお前がMVPだぞと、ケツを叩いて言っておきましたが、期待に応えるプレーヤーです」
|
|