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10節 マッチサマリー(福岡サニックス 35-31 近鉄)

福岡サニックスブルース 35-31 近鉄ライナーズ
【week10/2010年12月12(日) at 徳島・徳島市球技場】

真っ青な空の下、風もなく絶好のラグビー日和の中、キックオフの笛が吹かれた。
両チームの思いがグラウンドに漂い、すべての観衆がのみ込まれて、選手と観衆の緊張感を共有する時間が続いた。この一戦に賭けるプレイヤーの気迫が球技場全体を魅了した。

前半は、4分に、サニックスの小野(SO)が、敵陣10m付近のペナルティを慎重に決め先制した後、近鉄が9分、敵陣ゴール前5m右のラインアウトからモールを作り押し込み、タファ(No8)が右隅に逆転のトライ。

福岡は積極的にボールを動かし、パスとランニングのスピードで優位に立ち、13分には相手BKのディフェンスの裏に出た所から、FW、BK一体となり繋ぎ、古賀(FB)が左中間に鮮やかにトライし再逆転。

近鉄は、23分には、最初のトライとほぼ同じ位置でモールを押し込み、太田が右中間にトライ。サニックスが、モールのディフェンスに課題を残しながらも、それ以外の部分では対等以上。

32分、福岡は小野のPGでリードを広げ、その後は、近鉄が敵陣で優位ゲームを進めていたが、福岡のアヒオ(CTB)が、近鉄のライン攻撃のボールをインターセプトし、約80mを独走し中央にトライ。37分、シンビンで数的優位に立った近鉄は、スクラムからイエロメ(CTB)が鋭く切り込みトライし、前半を4点差で折り返した。

後半に入り、近鉄が2分に敵陣ゴール前でラックを連取し、ロコツイが左隅にトライし、ゴールも決まり逆転した。その後は、福岡が、10分にこぼれ球を永下(HO)がトライ、21分には、ヘスケス(CTB)が右隅に豪快にトライをした。そこから、近鉄も意地を見せ24分には、イエメロ(CTB)が左隅にトライし、そこから逆転を狙い近鉄の猛攻が始まった。

互いに激しいブレイクダウンで体を張ったプレイは、集中を切らさない。セットプレイの強みを全面に出し、フェイズを重ねるごとに威力を発揮する近鉄を必死に全員でファイトする福岡。厳しい激しいタックルから、要所でミスが起きる。粘るサニックスが、我慢の連続タックルでノーサイドまでの10分間を耐え続け勝利を呼び寄せた。(最終スコア35-31)

試合後も、身近に見る迫力のプレイに感動した観衆は席を立たず、郷土出身の西浦啓三(サニックス:脇町高校)には、ひときわ大きな拍手が送られていた。
マン・オブ・ザ・マッチは、主将として大活躍した福岡サニックスの菅藤 友。

会見ダイジェスト
近鉄ライナーズ

◎近鉄ライナーズ
○ピーター・スローン ヘッドコーチ
「今日の試合は残念に思う。自分たちが目指したラグビーができずチャンスをものにできず自滅した。我々のリアクションは、サニックスより遅く、個人のスキルやフィットネスも十分でなかった。
お客様の皆様にとっては面白いゲームであり、今後のラグビー界の普及のためには良かったのでは」

○トンプソン ルーク キャプテン
「私もとても残念に思う。私自身のミスでチームに迷惑をかけ、申し訳なく思う。過去の近鉄から脱却してきたと感じていたが、今日の試合でまだまだ実力がともなっていないと感じた。今後も勝ちにこだわっていきたい」

──フォワードはサニックスより優位だったと思うが、生かすプランがあったのでは。また先ほどの、近鉄からの脱却とは、具体的に何か。
○トンプソン キャプテン
「フォワードでいくとかバックスでいくとかは、ゲームによってプランが違う。今日は、最後まで集中してやりきるということが、まだまだ、できていないということだ」
○スローン ヘッドコーチ
「いい場面になる前にミスをしていた。中途半端なミスがなくなっていくことが大切である。
サニックスは、ストラクチャーの中でどれだけ繋ぐかというゲームプランでやっている。近鉄は過去からの脱却として、よりストラクチャーされたものから、フェイズを重ねて崩していくことを目指しやってきたが、今日はできなかった。停滞しているときに無理に広くボールを横に振ろうとして自滅していた場面が多かった。インターセプトも然り。停滞したときはもっとタテをつきたい。今後もストラクチャーを重視しペネトレートしていくラグビーを目指していきたい」

──この1週間で修正した部分はどこか。また、前半の風下の点差は想定内か。
○スローン ヘッドコーチ
「前のサントリー戦で1対1のタックルが悪くディフェンスが機能していなかったので修正して臨んだが今日も機能していなかった。また、停滞したときに無理に振ることも修正できていなかった。サニックス相手に勝利を意識して臨み、最後の5分でも勝てると信じていたが結果はでなかった。風は特に意識しなかった」

──シンビンの影響はあったか。終了前のペナルティからスクラムを選んだのに迷いはなかったか」
○トンプソン キャプテン
「もちろん、あった。その間に、トライもとられたし。ラインアウトでもスクラムでも、どちらでもよかったが、その時の直感で決めた。バックスにも自信はあったので」


福岡サニックスブルース

◎福岡サニックスブルース
○藤井雄一郎部長兼監督
「ディフェンスはやってきていることができた。残り10分の近鉄の強い部分に勝てたことには満足している」

○菅藤 友キャプテン
「来週のサントリー戦に向けていい勝ち方ができたと思う。この1週間で今日のゲームでの課題を十分修正してサントリー戦に臨みたい」

──今日のディフェンス面の課題については。また、ヘスケスは先発で出す予定はなかったのか。
○菅藤キャプテン
「モール以外では、練習してきたことが出せた」
○藤井監督
「アヒオも結果が出ていたし、相手のシンビンでスタンドオフがいなくなったので、そのタイミングで投入した。後半投入の予定はしていた」

──小野をスタンドオフ起用の理由は。また、前半風上の点差は想定内か。
○藤井監督
「相手の突破力のある2人のバックスに対するディフェンスのために起用した。うちのチームはキックを多用しないので風は影響ない」

──近鉄に攻め込まれていた時はどうだったか。また、来週のサントリー戦についての抱負は。
○菅藤キャプテン
「モールではトライをとられていたが、それ以外の部分では、冷静に落ち着いて対応できていた。今日は、プライドをもって戦え、いい勝ち方ができたと思う。サントリー戦では、今日のゲームを生かして最初からがんばりたい」



2010年12月17日

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