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10節 マッチサマリー(NEC 19-24 NTTコム)


NECグリーンロケッツ 19-24 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
【week10/2010年12月11日(土) at 千葉・フクダ電子アリーナ】

前夜の雨も止み快晴の空の下、トップリーグ第10節、NECグリーンロケッツ対NTTコミュニケーションズシャイニングアークスのゲームはキックオフされた。
ホームチームのNECグリーンロケッツは、ここまで第8位と苦しい戦いが続いている。特に第8節の天王山であった神戸製鋼コベルコスティーラーズとの一戦を落としたのは悔やまれる、見えかけていたリーグトップ3チームの背中がやや遠のいた感がする。この試合は是非ともすっきりとした戦い方で後半への巻き返しを図りたいところだ。LO廣澤、FL権丈、NO8土佐誠らの若手と円熟味の増した浅野らの強力FWの力によって、密集戦の制圧を図る。

一方のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスはここまで攻撃的なチームスタイルを貫きつつも、現在11位とこちらも苦しい戦いが続いている。トップリーグ残留に向けて負けられない試合が続く。元日本代表FW木曽を中心としたFWがNECのFWに対して互角に戦うことができれば、ウィング、ネルの両CTB、フィニッシャーに友井川、栗原らと他チームも羨む強力な戦力を擁したBKを走らせることができる。そのたぐいまれな攻撃力でNECを圧倒したいところだ。

試合に先だち「ちばのスポーツ」をコンセプトとしたイベントが開催され、各種スポーツのキャラクターが集合し、試合前のセレモニーに参加した。ホームチームのNECグリーンロケッツをはじめ、野球の千葉ロッテマリーンズ、サッカーのジェフ千葉、アメフトのオービックシーガルズ、そして千葉県のキャラクター「チーバくん」とユニークなキャラクターの集合に、試合前のグラウンドは多くのファンの大きな歓声に包まれた。
また試合前には、熊谷俊人市長のキックオフセレモニーが行われた。熊谷市長はさわやかな挨拶の後に、見事なキックを披露した。NEC浅野主将への見事な「キックパス」にスタンドはどよめいた。

試合はNECグリーンロケッツのキックオフで始まった。立ち上がりからNTTコミュニケーションズシャイニングアークスは積極的にボールをワイドに動かす。ブレイクダウンでも互角に勝負を挑み、早い球出しを繰り返す。たまらずNECが反則を犯し、3分にNTTコムが3点を先制した。ここからNECが積極的なFW戦を挑み、反撃が始まる。各局面で激しい戦いをくりひろげ、ゲームのすべてをFW戦にかけているかのようである。確かにNECは、強力なNTTコムのBKへの展開を阻止するためにも、FW戦で後手を踏むことは許されない。必死の形相で鬼神のごとく、密集に頭から突っ込んでいく。5分間以上もNTTコムをゴール間に釘付けにするが、ミスが多く、決め手を欠き得点には至らない。

そのNECの気合いをあざ笑うかのように、NTTコムはターンオーバーから敵陣に入る。そして14分NTTコムが3点を追加しリードを広げる。その後、NECはSH藤戸とSOロビンスのキックを中心に地域を獲得、FLサウカウの縦突破を軸に反撃を試みるが、やはりミスが多くなかなかペースをつかめない。やっと34分にラインアウトモールからのドライビングモールでトライ、ゴールも成功させた。さらに40分に連続攻撃からSOロビンスが抜け出し40mを独走しトライ、自らゴールも成功させ、14-9と逆転して、前半を終了した。

後半開始からNTTコムの反撃が始まる。直後のキックオフからNEC陣地へ殺到し、BKのオープン展開に活路を見いだし、ボールを動かす。そして1分PGを成功させ2点差に迫る。その後NECも必死に反撃するが、反撃の手を休めないNTTコムが逆転に成功する。8分相手ボールのこぼれ球をターンオーバーして、SO君島が抜け、SH西村にリターンを返し、西村は40mの独走トライを決め、ゴールを成功させ19-14と試合をひっくりかえす。
だがこれはドラマの序章にすぎなかった。そこから、前半同様NECの反撃が始まる。じわじわ得意のFW戦で優位に立ちながら地域を獲得、NTTコムを追い詰めていく。そして31分ゴール前ラインアウトから得意のドライビングモールを組み、FLラトゥが左隅にトライ、同点に追いつく。逆転のゴールは惜しくも外れ、同点のまま、試合はクライマックスを迎えた。

お互いの意地のぶつかり合いになった試合後半。どちらが勝利を手にするか、観衆も固唾をのむ。特に勝利への執念を燃やすNTTコムは猛攻撃に移る。36分のペナルティゴールは惜しくもゴールをそれたが、ノーサイドのフォーンが場内に鳴り響いたあとからドラマを完結させる。試合を切れば、ノーサイドとなる局面で自陣22mからカウンターアタックを開始する。WTB友井川のビッグランから波状攻撃を繰り返す。NECも必死のDFを見せるが、最後は華麗なパスワークからLOウオレスハリソンが右隅に飛び込みトライ。ゴールキック後に桜岡レフェリーの笛が会場に鳴り響き、劇的なエンディングに観衆は酔いしれた。
両チームの攻防は激しく素晴らしいものであった。NECは前半からミスが多く、セットプレーの優位さをゲームに反映できなかった。対照的にNTTコムの果敢なアタッキングラグビーは見事だった。貫き通したチームの「意志」に敬意を表したい。(千葉県協会 塚越康利)

会見ダイジェスト
NECグリーンロケッツ

◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ
「アグレッシブなゲームを意図して臨んだ。その面では選手はよくやってくれた。しかし、いかんせんミスが多すぎた。選手のミスはコーチのミスであり、大変に反省している。選手は本当にハードによくやってくれた」

──前半リードの展開で後半を迎えた。エリアをとるゲームを意図したと思うが、思うようにエリアをとれなかった理由は何か?
「ミスが多すぎたことだ。ターンオーバーも多すぎた。それに対して君島選手、ジェラード選手のキックは良かった。こちらのキック処理も悪すぎた。これではエリアはとれない」

──ロビンス選手のラインブレイクの際に上がりが遅いなどサポートの遅れが目立ったがその原因は?
「リアクションだ。後半、敵陣深くのチャンスでのジャッカルされたプレーもそうだが、サポートプレイヤーのリアクションが悪すぎた」

○浅野良太ゲームキャプテン
「まず『ちばダービー』のあたたかいご支援に感謝したい。千葉県のクボタ、NTTコム、そしてNECと全3チームで千葉のラグビーを盛り上げるようにがんばっていきたい。本日応援にきていただいた千葉県の多くのファンの声援に心から感謝している。
試合は勝つことだけを考えた。君島選手のキックは素晴らしいので、反則を少なくしようと考えていたが、前半3つのペナルティゴールを献上したのは多すぎだ。後半は敵陣でのゲームを考えたが相手のキックがよく上手くいかなかった。上手くペースがとれないゲームになってしまうのは残念だ」


NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

◎NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
○大沼照幸監督
「まず千葉県協会をはじめ、本日のグラウンドと準備に感謝している。最後の最後まで勝負がわからないゲームであったが、選手がボールから目を離さずによくやってくれた」

──チームとして、とても「規律」のある戦い方をしているように見えたが?
「先週のサニックスとのゲームで20近い反則があり、この1週間の練習では反則を犯した者については罰則を科すなど細かく追い込むことを意識して取り組んだ。選手はよく守ってくれた。決して反則は少なくはないのだが、今後も取り組んでいきたい」

──本日のゲームの点数は何点か?
「選手のアティチュードから言えば100点だ。スキルは80〜90点。100点はつけられない。立ち上がりから『前に出る』『体を張る』など選手のアティチュードは100点だ」

○栗原徹ゲームキャプテン
「今日は今までサントリー、サニックスのゲームが『自滅』してしまった。自分たちで自分たちの首を絞めるような戦い方で『自滅』した。反則の少ない試合を心がけた。その結果としては満足している」

──今日の試合について、練習も含めて意識したことは何か?
「テクニカル的には低いタックルだけだ。タックルしかなかった」



2010年12月11日

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