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NECグリーンロケッツ 6-38 神戸製鋼コベルコスティーラーズ
【week8/2010年11月28日(日) at 千葉・柏の葉公園総合競技場】
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小春日和の快晴の空の下、トップリーグ第8節、NECグリーンロケッツ対神戸製鋼コベルコスティーラーズのゲームはキックオフされた。
ホームチームのNECグリーンロケッツは、前半戦を終え、第8位と苦しい戦いが続いている。しかし、リーグトップ3チームとの対戦を終えてのこの順位は合格点をつけられるものであろう。この試合はLO廣澤、FL土佐誠、NO8日高らの若手を起用し、円熟味の増した久富らのメンバーとの融合を目指したFWによって、チームの進化を図る。念願のリーグ制覇に向けて、大事な後半戦の初戦であり、またプレーオフ進出のためには絶対に落とせない一戦である。
一方の神戸製鋼コベルコスティーラーズはここまで攻撃的なチームスタイルを維持しつつ、現在6位につけている。こちらもトップリーグ制覇に向けて負けられない試合が続く。日本代表スコッドのFW平島、谷口らを擁し、またBKは「トライ王」大畑と今村雄太の両CTB、フィニッシャーに小笠原、正面らと他チームも羨む強力な戦力だ。また、FB正面健司は先日行われたアジア大会での金メダルの凱旋試合となる。さらに、注目のインパクトプレイヤーである、アンダーソンをどこで投入するかも注目である。そのたぐいまれな攻撃力でNECを圧倒したいところだ。
試合に先立ちタグラグビーのサントリーカップ千葉県大会が開催された。全国大会の予選も兼ねた試合では、小学生ラガーたちの真剣なプレーが随所に見られ、未来のトップリーガー達の好ゲームが展開された。グラウンドは、小学生のかわいらしい声と応援のご父兄の方々の大きな歓声に包まれた。
試合は神戸製鋼のキックオフで始まった。開始早々から激しいコンタクトでの密集戦が展開される。特にNECは密集戦にこだわりを持ち、積極的なFW戦を挑む。各局面で激しい戦いがくりひろげられ、まるでこのゲームのすべてがFW戦にかかっているかのようである。確かにNECは、強力な神戸BKへの展開を阻止するためにも、FW戦で後手を踏むことは許されない。必死の形相で鬼神のごとく、密集に頭から突っ込んでいく。
そのNECの気合いをあざ笑うかのように神戸が先制する。3分、敵陣ラインアウトからSOグラントが抜け出しポスト下にトライ、ゴールも決め、7点を先制した。その後、NECはSOロビンスのキックを中心に地域を獲得、FLラトゥの縦突破を軸に反撃する。そして24分、SOロビンスがペナルティゴールを成功させ反撃に転じた。さらに攻撃の手を休めないNECは連続攻撃からの波状攻撃を仕掛けるが、神戸の好ディフェンスの前にミスを繰り返す。しかし、36分、SOロビンスが30メートルのドロップゴールを成功させ、6-7と1点差に追い上げ、前半を終了した。
後半開始から神戸製鋼コベルコスティーラーズの反撃が始まる。直後のキックオフからNEC陣地へ殺到し、BKのオープン展開に活路を見いだし、ボールを動かす。NECも必死にディフェンスし、一進一退の攻防の中、後半最初の得点もやはり神戸であった。12分、ラインアウトからSOグラントが見事なダミーパスで抜け出し、前半同様ポスト下にトライ、ゴールも成功させ、NECを突き放しにかかる。
さらに攻撃の手を緩めない神戸は、20分NECのSOロビンスのキックパスからのゴール前ラックをターンオーバー、こぼれ球を拾ったCTB大畑がNECの必死のDFを振り切りそのままトライ、試合の大勢を決した。神戸製鋼はその後も攻撃の手を緩めず、続いて22分WTBアンダーソン、33分WTB小笠原、40分PR村上と3連続トライを決め、ボーナスポイントも獲得、その後ノーサイドのフォーンが場内に鳴り響いた。
両チームの攻防は激しく素晴らしいものであった。NECは前半ゴール前ラインアウトからのドライビングモールでゴールラインを割った後グラウンディングできずにターンオーバーされたプレーが痛く、残念な結果となった。後半戦の立て直しに期待したい。(千葉県協会 塚越康利)
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岡村ヘッドコーチ(上)、ラトゥ キャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ 「ホームで多くのサポーターに来ていただき感謝しています。いい準備はできていただけに、今日の試合はこのような点差になる試合内容ではなかったように感じています。結果は非常に残念。やってきたことができずに、やってきていなかったことをやってしまい、それが命取りになってしまいました。悔やまれます。まだリーグは続く。これからが大事だと思います。がんばってやっていきたいです」
──やってきたことができずに、やってきていなかったことについて、できれば具体的に。
「11月の休止期間にディフェンスと1 on 1のコンタクトワークエリアにフォーカスを当て練習しました。選手もそれを信じて戦いましたが、そこで破れてしまいました。また、そこで築き上げた規律を守れないプレイヤーがいたのは残念。インディビジュアルな部分で何がプライドで何を守るのかをさらに徹底したいです」
──やってきたことができずに、やってきていなかったことをやってしまい、それが命取りになってしまった原因は?
「いい準備はできていました。気持ちを入れすぎていたのもあったのか…。3つめのトライのとられ方で、チームは破綻してしまいました。インゴールからのキックパスは…。皆はこのゲームにかけていただけに、余計に残念なプレーでした」
──ディフェンスのストラクチャーについてはどうか?
「できていたと思う。そのまま徹底したいです」
──前半は1点差で折り返した。ハーフタイムの指示は? またその成果は?
「前半はフィニッシュの部分のミスがあっただけで、チームとしてはストラクチャーも含めて、できていたと思います。そこを確認したのだが…。やはりあのキックパスが痛かった…」
──あのキックパスはチームのオプションとしてないのか?
「そのオプションはあるが、あの場面は適切ではなかったです」
──そのあとのロビンス選手の交代はやはりあのプレーが関係しているのか?
「残り時間も考え、仕掛けていきボールを動かしたかった。皆の気持ちに懸けていました」
──あのキックパスでのロビンス選手とのヒアリングなどはしたのか?
「まだしていません。彼はスペースを見つけていたと思うのですが、時間と点差とエリアを考えて選択して欲しいです。残り20分、8点差、あの場面は適切ではない」
○ニリ・ラトゥ キャプテン
「ヘッドコーチと同じだが、悔しいです。前半、トライをとれなかったことが残念。NECのオフェンスはシンプルなものであるが、そこからそれた選手がいたのはもっと残念。準備は良かっただけに余計に悔しいです。リーグはまだ混沌としています。後半戦はひとつひとつを大切に戦い、トップ4を目指したいです」
──ハンドリングエラーが多かったが、相手のプレッシャーからなのか? それとも個人の問題か?
「決してプレッシャーは強くなかったです。私も3つミスをしたが、個人の問題」
──ディフェンスのストラクチャーについてはどうなのか?
「神戸のボールテイクが早かったということ。また個々の判断ミスもあったと思います」
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苑田ヘッドコーチ(上)、平島キャプテン
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◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ 「本日は素晴らしいグラウンドと準備に感謝しています。休止期間にしっかりと準備していたことが出せたのはとても嬉しいです。満足しています」
──この一カ月に取り組んできたことは?
「前半節は3連敗からのスタートでしたが、やっていることは変わっていません。この3週間は、まず1週目にフィットネス、2週目にフィットネス&コンタクト、3週目には合宿を実施し、フィットネス&コンタクトに"チーム"を加えました。我々の力はこんなものではありません。ロッテの"下克上"を見本にして、トップ4に入りたいです。ベストパフォーマンスを見せていきたいです」
──個人の強化をしたと聞こえるが?
「その通りです。それに"チーム"を加えました」
──チャンスでもう少しボールを動かせたのではないか?
「その通りです。前半でミスが二つ、後半も何個かありました。それを修正すればもっと強いチームになれます」
──グラント選手のSO起用と正面選手のFB起用については? これからも続けていくのか?
「今日はとても良かったです。正面が1ヶ月チームから離れており、グラントは休止期間のトヨタとの練習試合での出来が良かったので起用しました。今後は2人のパフォーマンスをチェックして起用を考えたいです」
──SOグラント選手のパフォーマンスは?
「とても良いです。慣れてきています。これでもっとコミュニケーションを重ねていけばもっと良くなります」
──今日のゲームの前半はNECのペースだったと思うのだが、前半の好ディフェンスが勝因ではないのか?
「ディフェンスは安心して見ていました。NECのストロングポイントは、ペナルティ→ラインアウト→モール。前半はノーペナルティを守れず、反則が多かったが、よくディフェンスできたことはとても良かったです」
──あのキックパスから大畑選手のトライについては? 率直な感想を?
「率直に言うと…嬉しかった(一同爆笑)。ロビンス選手はキッキングモーションが大きいので積極的にプレッシャーを前半からかけていた。そのプレッシャーがあのプレーを生んだのでしょう」
──前半のピンチの場面でモールのボールをターンオーバーしたプレーは大きかったと思う。あのターンオーバーの真相は?
「手を伸ばしてグラウディングするところをタックルしました」
──休止期間のトヨタ戦は手応えがかなりあったのか?
「チームを分割して実施しました。全員の選手を起用しました。前半は悪かったのだが、後半は良かったです。まあまあの内容でした」
──このあとトップ3チームとの対戦があるのだが、どう戦うのか?
「トップ3チームはそれぞれが違うので分析が必要。我々は今まで通りボールを動かし、その上で優位に立ちたいです。ディフェンスは我々の約束事を守る。そこに分析した各チームのウィークポイントを探したいです」
○平島久照キャプテン
「しんどいゲームでしたがよく我慢できたことが勝因。内容には満足しています。いままで準備してきたことが出せて嬉しいです」
──ロビンス選手のキックパスについてはどう感じたか?
「ああいうプレーは流れを変える。FWとしてはディフェンスが良かったです。1対1の激しさがありました。よく耐えました」
──ピンチのターンオーバーについて、タックルしたのは誰か?
「わかりません。2,3人でのタックルでした。チームとしては素晴らしいプレーです」
──キャプテンとして前半節の欠場についてはどうか?
「キャプテンとしてはとても辛かったです。戻ってくるとチームはいい雰囲気になっていました。これからは毎試合レベルアップしていきたいです」
──目指すのはまずトップ4か?
「そのとおりです。がんばりたいです」
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