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7節 マッチサマリー(NTTコム 14-30 神戸製鋼)

NTTコム 14-30 神戸製鋼

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 14-30 神戸製鋼コベルコスティーラーズ
【week7/2010年10月24日(日) at 宮城・ユアテックスタジアム仙台】

神戸製鋼、超攻撃ラグビーでNTTコムのディフェンスを崩す

前半戦の締めくくりともいえる第7節、勝ち点が12のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスに対して、勝ち点15の神戸製鋼コベルコスティーラーズ、その差わずか3。どちらも勝利と1点でも多くの勝ち点を得て折り返したいと考える。お互い一歩も譲れない試合となった。

NTTコムのキックオフでスタート。SO10番 君島の蹴ったボールをNTTコムが抑え、7人制代表でもあるWTB11番 友井川が左サイドを駆け上がりチャンスを作る。そこからラックを連取しボールをキープするが、神戸製鋼のディフェンスの前に攻めきることができず、ラックをターンオーバーされトライのチャンスを逃す。
3分、ピンチをしのいだ神戸製鋼にすぐにチャンスが訪れた。NTTコムのラックから出たボールを2番がすばやく奪い、9→5→3と左に展開し、その後すぐに9→10→15→13→12と一気に右に振りラックを形成、FL6番 マパカイトロが左サイドを突いて右中間に先制トライ(ゴール成功0-7)。
すかさず8分、NTTコムも神戸製鋼のラックから出たボールを南アフリカの代表経験もあるCTB13番 JP・ネルがすばやい飛び出しでインターセプト、そのまま40m独走し右中間にトライし同点に追いつく(ゴール成功7-7)。
両者ともに譲らない攻防を見せる中14分、神戸製鋼はセンターライン付近から、SO10番 正面が相手ディフェンスの裏にボールを蹴り込み、足の速さを生かし自ら左中間にトライ(ゴール成功7-14)。さらに23分、神戸製鋼はFL6番 マパカイトロの突破からFB15番 ピーター・グラントにボールをつなぎ、敵陣ゴール前までボールを運ぶことに成功。ディフェンスの苦しくなったNTTコムはオフサイドの反則で神戸製鋼にゴール前10mでPKを与えてしまう。ゴール正面からのPGをグラントが確実に決め(7-17)、NTTコムをさらに突き放す。
NTTコムも反撃を試み前進するが、肝心なところでミスをし、得点にはつながらない。前半終了間際、神戸製鋼はセンターライン付近からグラントが45mのPG決め(7-20)、よい形でハーフタイムをむかえることができた。

前半攻撃面でミスの目立ったNTTコム、ハーフタイムでその修正を図り後半に挑む。後半スタート、前半よい形で終了することができた神戸製鋼が主導権を握る。しかし、前半から安定したディフェンスを続けてきたNTTコムはセットプレイから反撃を見せる。6分、神戸製鋼ラインアウトを高さで競り勝ち、ゴール前10m神戸製鋼スクラムを押し切りマイボールにするなどチャンスを作ることに成功。そして、10分、NTTコムはゴール前10m中央ラックから9→10→11とつなぎ、11番 友井川が神戸製鋼ディフェンスの隙を突き突破、ゴール中央にトライし(ゴール成功14-20)、再び神戸製鋼に迫る。
流れはNTTコム、トライを取った勢いは止まらず14分、センターライン付近ラックから20→10→12→13と外に大きく展開しゲインするが、13番 JP・ネルが痛恨のノックオンで逆転のチャンスを失う。
さらにNTTコムは18分、攻守ともにFWの中心となっていたNO.8ダレン・マーフィーがイエローカードで退場となると、流れは一気に神戸製鋼に移る。

人数の1人少ないNTTコムに対してラックからオープンサイドで数的優位を作り6番 マパカイトロがラインブレイクし、15番 グラントにつなぐ。NTTコムも必死でディフェンスするものの、グラントにトライを決められ(ゴール成功14-27)再び突き放される。NTTコムは22番 山下大悟などメンバーを入れ替え、チャンスを作ろうとするが、前半から変わらぬ流れでゴール前の詰めが甘く得点にはつながらない。33分、神戸製鋼SO10番 正面は冷静な判断でオフサイドのアドバンテージがあるのをみて、ドロップゴールを狙うが惜しくも外れる。しかし、グラントがしっかりとPGを決め(14-30)、神戸製鋼の勝利を決定的なものとした。

マン・オブ・ザ・マッチは、攻守ともに活躍したピーター グラントが受賞した。グラントのポジショニングのよさ、神戸製鋼のエリアマネジメントのよさがNTTコムのプランを崩し、勝利につながった。一方、NTTコムは超攻撃ラグビーを展開する神戸製鋼の攻撃を退ける安定したディフェンスを見せる反面、攻撃面でのミスが目立った試合となった。神戸製鋼陣内に攻め込む場面は多かったが、自らのミスでボールを失うシーンが目立った。しかし、攻撃の質・量ともに相手をねじ伏せる強さを持っているチームであること、今季からトップリーグに参戦した成長段階のチームであることを考えれば、十分に調整された一カ月後の次節が楽しみである。(宮城県協会 佐藤悠)

NTTコム 14-30 神戸製鋼
会見ダイジェスト
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
大沼監督
中山キャプテン
大沼監督(上)、中山キャプテン


◎NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
○大沼照幸監督
「はじめに仙台のすばらしい環境でゲームができたことに感謝いたします。今日のゲームは、神戸製鋼さんの試合巧者ぶりにやられたという感じです。我々は、キックによるエリアマネージメントとセットプレーの安定、前に出るDFを持ち味としてトップリーグに臨んでいますが、今日はそのエリアマネージメントが思うようにいかず、逆にエリアを取られたことで苦しい展開になりました。また、神戸の強いランナーにやられて特にラックサイドのDFが押し上げられなくなってしまいました。ウインドウマンス前の大事な試合と位置づけて臨みましたが、うまくいきませんでした。反省点は選手だけでなく当然スタッフにもあります。この敗戦を一ヶ月の準備に生かしリーグ後半戦につなげたいと思います」

○中山浩司キャプテン
「自分たちのやるべきことをやりきろうと思って臨んだ試合でしたが、神戸さんの巧みさにやられました。前半戦の経験を生かし、一ヵ月後のリーグ後半戦に向けてステップアップできるよう準備を重ねたいと思います」

──前半戦の戦いぶりは勝ち星以上に注目される内容だったと思いますが、振り返ってどのように思われますか?
○大沼監督
「TLに昇格し、勝利を逃がす悔しい思いや強豪相手に善戦できた手ごたえなどいろいろと感じたことがありますが、我々の前に出るDFはフィジカル勝負で来るような相手に対しては通用したのではないかと思います。逆に今日の神戸製鋼さんのようにボールをうまく動かすチームに対しては、課題があると感じています。ブレイクダウンなどについては第3列中心にファイトできていると思います」

──ウインドウマンスの一ヶ月、何を重点に整理してリーグ後半戦につなげたいとお考えでしょうか?
○大沼監督
「エリアマネージメントをしっかりとしてゲームを組み立てるのが我々の戦い方ですが、SO・FBのキックについて各チームから研究されてきていると感じています。この一ヶ月間はさまざまなオプションを増やし、戦い方の幅を広げるよう準備を積んで後半戦にいい戦いができるようにしたいと思います」

NTTコム 14-30 神戸製鋼
神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田ヘッドコーチ
平島キャプテン
苑田ヘッドコーチ(上)、平島キャプテン


◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ
「すばらしい環境でゲームを行わせていただいた仙台の皆様に感謝申し上げます。今日の試合は、ウインドウマンス前の大切なゲームと位置づけて臨みました。神戸らしいラグビーで、我々のやれることをやりきろうと思って三連勝できたことは非常によかったと思います。勝ち点5は取れませんでしたが、初昇格ながら力のあるNTTさんに対してよいゲームができたと思います」

○平島久照キャプテン
「ウインドウマンス前の大事なゲームとして臨みました。自分たちのやるべきことを80分間徹底できるよう準備してきましたが、ある程度思うような神戸のラグビーができたかと思います。後半戦に向けて、一ヶ月間さらに自分たちのやるべきことの徹底を図りたいと思います」

──三連勝の要因はどのように分析されていますか?
○苑田ヘッドコーチ
 「天候ですか(笑)。ボールを動かしたい、それが神戸のラグビーなので、スリッピーなコンディションでもチャレンジしましたが、悔しい結果になった試合もありました。それでも、やはり自分たちのラグビーを80分間やりとおすことが大切であり、やりとおせた結果でもあるのかなと思います。後半戦は強豪ともあたるのでこれからの一ヶ月に精度を上げ、ボールを動かして神戸らしいラグビーで戦いたい」

──前節の試合では失点が多かったのですが、その点についてどんな準備をして今日に臨みましたか?
○苑田ヘッドコーチ
「DFの修正に取り組んできました。今日はその成果が出たと思います」

──正面選手をSO、グラント選手をFBに起用した効果についてはどうとらえていますか?
○苑田ヘッドコーチ
「チームのコミュニケーションがよくなったと思います。グラントはすばらしいプレーヤーだが、コミュニケーションがうまくいかなかったところがあり、FBの位置で自由にプレーさせることがよい方向に働いて、高い能力を存分に発揮してもらえました。そのことで、チームとしても機能できたと思います」

──ウインドウマンスの一ヶ月はどんな準備をするつもりでしょうか?
○苑田ヘッドコーチ
「DFと規律、自分たちがやろうとすることの正確性を高められるようにやり切ったと言える一ヶ月にして、後半戦がよいものとなるよう準備をしたいと思います」

NTTコム 14-30 神戸製鋼


2010年10月28日

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