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NECグリーンロケッツ 20-52 三洋電機ワイルドナイツ
【week6/2010年10月16日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】
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前節ではリコーブラックラムズに薄氷の勝利を収め、上位進出を狙うNECグリーンロケッツと、悲願のトップリーグ制覇に向けてここまで5戦全勝の三洋電機ワイルドナイツとの一戦。
前半開始早々、前節は肉離れぎみで欠場した三洋電機SOブラウンが正確なキックでチャンスを作り出しゲームの主導権を握る。
この流れから9分、NECのキックをチャージした三洋電機FL劉が自らボールを拾い上げ、そのまま中央にトライ(G成功0-7)。
14分にNECのSOロビンスがPGに成功し差を詰めるが(3-7)、17分にはNEC陣10m付近のラックから三洋電機がオープン攻撃、ライン参加したFL西原が抜け出し、CTB山下につなぎ中央にトライ(G成功3-14)。
NECも23分、三洋電機ゴール前のラックから右に展開、ディフェンスに詰められたかと思われたが、CTBツイタヴァキが素早いタップパスでWTB吉廣につなぎ右隅にトライ(G失敗8-14)。
三洋電機は29分、FB田邉がPGに成功し再び差を広げるが(8-17)、33分にはNECが中央付近ラックからCTB森田-FB窪田とつなぎ大きくゲイン、ゴール前にできたモールをそのまま押し込みLO熊谷がトライ(G成功15-17)。一進一退の攻防で前半は僅か2点差で終了した。
前節まで「後半に得点ができない」という課題を引きずったままのNECであったが、後半2分、三洋電機ゴール前のラインアウトから得意のモールを形成、そのまま押し切ってFLラトゥが右隅にトライ(G失敗20-17)。ついに三洋電機からリードを奪う。
しかし、三洋電機もすかさず反撃に出る。9分、NECゴール前のラックからSH田中が抜け出しトライを奪い再逆転(G成功20-24)。14分にはLOヒーナンがディフェンスを引きずりながらトライ(G成功20-31)。さらに17分にHO堀江(G成功20-38)、20分、FLバツベイがトライを重ね(G成功20-45)、26分にはHO山本が見事なステップでディフェンスをかわし、そのままトライ(G成功20-52)。NECはキャプテン・ラトゥを中心に反撃を試みたものの、後半開始直後のトライ以降ついに得点することができずにノーサイド。
入替選手の活躍で「選手層の厚さ」を見せつけた三洋電機、前半は健闘しながらも「後半の失速」という課題を残したままのNEC。今後に向けて明暗を分ける結果となった。
マン・オブ・ザ・マッチには、随所で得点に絡むプレーを見せた三洋電機のLOダニエル・ヒーナンが選ばれた。(久野彰也)
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岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ 「残念な試合でしたが、良いトライがとれ、多くの課題がはっきりしたということは良かった。さらに、後半開始早々トライがとれ、モールが武器として機能したのはプラスでした」
──試合途中までは狙い通りだったか? 相手が辛勝した近鉄との試合で参考になった部分は?
「三洋電機さんをフィジカルでしっかり上回っていれば勝算ありとみていました。相手のセットプレイをもう少し崩したかったが、崩しきれませんでした。キックマネージメントが上手な三洋電機さん相手に、近鉄さんはしっかり処理できていましたが、我々は後半最後の20分-25分間処理しきれませんでした」
──とった3トライのうち、2つがゴール前でのモールによるものだった。しかし、後半は相手陣内になかなか入れなかったようだが?
「相手SOのブラウン選手は、一蹴りで50m戻してしまいます。このキックスキルの差で攻め入ることができませんでした。我々もキックスキルを上げることが継続的な課題です」
──SOにロビンス選手を起用した理由は?
「ディフェンスを重視したこと、一番のタックラーでありSOのポジションはタックルの機会が多いことを考慮した結果ですが、もう少しクロスゲームにしたかったです」
○ニリ・ラトゥ キャプテン 「今日の結果は大変残念ですが、まだ先は長く重要な試合が続きますので、この試合結果に左右されることなく今後の試合にしっかり臨みたい。選手達の頑張りを誇りに思っています」
──後半、25分に失速した原因は?
「個人としてもっと良くプレイし、トップチーム相手には、タックルミスをしないことが必要です」
──タックルを重ねることで選手達のフィットネスが落ちたのでは?
「相手ブラウン選手のゲームコントロールが上手で、前へ前へと攻められプレッシャーを受けました。このため波に乗れませんでした」
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◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督 「NECさんは、タイトプレーやモールに強いチームです。後半の半ばまで厳しい戦いでしたが、後半投入したリザーブの選手達がしっかり準備していたので、良いインパクトを与えてくれました。このようなことが我々の強みでもあり良い試合でした」
──前半、調子が悪かったが?
「相手は、キックオフを良く研究していました。反則してラインアウト、モールをされてしまったり、日頃あまりやらないパスミスがありました。突き指でもあるのかと聞きましたが、それはないということでしたので、さらなる練習が必要です」
──先週、近鉄に苦戦したが?
「実際は僅差の試合でしたが、チームスピリットがしっかり発揮されており、選手達はすごいなと思います。今日も反省すべき点がありますが、上を向いて進んでいきたいと思います」
──いつごろから逆転できると?
「前半終わったときに後半もっと走ろうと確認しました。相手にモールでトライをとられて開き直りましたが、パニックに陥ることはありませんでした」
──32歳のFB田邉選手がジャパンに選ばれたことについては?
「田邉選手は、ニュージーランドでプレイして、3年目にレギュラーとなりました。献身的なラグビーをする、選手の鑑のような存在です。そのような選手がジャパンに選ばれたことを大変嬉しく思います」
○ホラニ龍コリニアシ ゲームキャプテン 「22人全員で勝ち取った試合でした。相手がコンタクトやモールに強いことは分かっていましたが、それに付き合わずに自分達のプレーに集中しました。後半の半ば以降、相手の足が止まり、走り勝つことができました」
──三洋電機が逆転して、いけると思った根拠は?
「相手の戻りが遅くなったためで、走り勝つ自信がありました」
──田邉選手がジャパンに選ばれたことについては?
「自分のことのように嬉しく思います」
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