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リコーブラックラムズ 35-29 福岡サニックスブルース
【week3/2010年9月18日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】
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リコー、5トライで今季初勝利も、後半に課題残す
これまでの2試合をリコーは2連敗ながらも、前節にサントリーに善戦するなど、調子は決して悪くない。サニックスは藤井監督の指導の下、80分間走り続けるラグビーを実践して、2連勝している。神戸製鋼戦で見せたサニックスCTBヘスケスの突破力のあるランニングプレーを東京のラグビーファンにもぜひ見せてほしいところだ。
両チームともボールをよく動かす試合展開になったが、前半、走り勝ったのはリコーだった。リコーは3分にPGで3点先取した後、8分にはゴール前で左右によく展開し、最後はSO河野からのロングパスを受けたCTB小松が右スミにトライ(ゴール成功)、10-0とすると、11分にはサニックスがCTB小野-FB古賀-WTB濱里とつなぎ、トライ(ゴール不成功)し、10-5と取り返した。しかしリコーは、14分にはゴール前の展開から、PR長江-CTB小松とつなぎ、モールから出たボールをNo.8ティーポレがトライ(ゴール成功)、17-5とリードを伸ばした。
19分にはサニックス陣インゴールからのSO田代のキックを、リコーFL川上がチャージし、タッチインゴールを割ろうとしていたボールを、川上が自らしつこく喰らいつきトライ(ゴール不成功、22-5)、その後、PGでの3点も加え、リコーが25-5と大きくリードしてハーフタイムとなった。
後半、サニックスはヘスケスをWTBに投入し、ヘスケスとヴァレンスの走力を得点チャンスにつなげる狙いとしてきた。後半2分、リコーHO滝澤のハイタックルでのシンビンで、リコーが14人となった直後、ゴール前モールから出たボールをサニックスPR杉浦がトライ、25-10とするが、リコーもWTBに入ったエリソンが7分にトライを返し(32-10)、なかなか点差は詰まらない。9分、リコーの執拗なタックルをかわしたWTBヘスケスがトライ、32-15と点差を少し詰めた。その後は、サニックスのバックスがWTBヘスケスにボールを回し、トライチャンスを狙うが、ヘスケス1人にリコーのFL/バックスが3-4人飛びかかってこれを止める。ようやく28分にサニックスはヘスケス-菅藤からボールを受けたFB古賀が快走し中央に回りこみ、チーム4つ目のトライをとり(ゴール成功)、35-22とし勝点1を確保した。
33分にリコー選手が再びシンビンで14人となり、リコーの選手にも疲れが出てきたころ、最後まであきらめていないサニックスはボールをよく動かし、40分に、ゴール前の展開からよくフォローしたNo.8菅藤がトライ、ゴールも決め、35-29まで点差を詰めたところでノーサイドとなった。サニックスは敗戦ながらも勝点2を獲得した。
前半は、リコーはサニックスに走り勝っていたが、後半はシンビンなど反則も多く、防戦一方となり、逃げ切りでの勝利となった。サニックスにとっても、後半にはボールを良くつなぎ、最後まであきらめないランニングラグビーができたが、前半にはリコーに簡単に得点を許してしまう場面が多かった。両チームにとって、これからの試合での課題がはっきり出た試合となった。(正野雄一郎)
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藤井監督(上)、菅藤キャプテン
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◎福岡サニックスブルース
○藤井雄一郎監督 「まあ、見ての通り、リコーさんの強いディフェンスとプレッシャーに、うちのペースにすることができず、あと一歩のところまで追い詰めましたが、残念な結果となりました。またやり直して、次の試合に向かって準備します」
──リコー戦に向けて?
「厳しい試合になると予想していました。前半、同点か、多少負けていれば何とかなるのではと思っていましたが、予想以上にスクラムでレフリーとコミュニケーションが取れず、ちょっとペナルティも多かったです。もう少し前半の失点が少なければ。トライを1本獲って、すぐに獲られたり、珍しくタックルミスもあったりしました」
○菅藤 友キャプテン 「先週と同様、立ち上がりが悪かったです。今年は自分たちの状態が悪いときも絶対勝とうと言って来ましたが、今日みたいな試合こそ勝ち取りたい試合だったので、ちょっと残念です。修正して80分間全力でプレーできるよう準備していきます」
──セットプレーで苦戦したが?
「ラインアウトが、前半、2,3本しかクリーンキャッチできず、自分たちのペースを作ることができませんでした。自分たちの持ち味は、多分、そういうところからのスピード感なので、リズムを作ることができなかったと思います」
──ヘスケス選手へのマークが厳しかったが?
「あの位は来るんじゃないかと思っていました。彼に頼りすぎるところもあるので、彼に相手のディフェンスが集中するために空くスペースを突いていこうと思います」
──リコーがオフサイド気味だったが?
「レフリー、タッチジャッジの双方が判断することであり、自分たちで『オフサイド』と言うのが問題です。レフリーが見えなかったらオフサイドではないのですから、そこで力を抜いてしまったのが良くなかったと思います」
──リコーの川上選手のトライはタッチインゴールに触れたようにも見えたが?
「レフリーが手を挙げたらトライです」
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ローデン監督兼ヘッドコーチ(上)、滝澤ゲームキャプテン
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◎リコーブラックラムズ
○トッド・ローデン監督兼ヘッドコーチ 「試合前に『キャラクター』に集中させました。先週の久しぶりの良いパフォーマンスを、今週もしっかり続けて、強度を落とさずやっていこうと臨みました。後半、14人で守るところは、すごく良い『キャラクター』が光った場面だったと思います。少し、形を見失って危うい時間帯もありましたが、ハーフタイムにしっかり攻撃するよう指示を出し、選手が奮闘してくれたことは誇りに思います」
──キャラクターの話を詳しく、また、川上選手を2試合連続で先発させたが?
「リキは正にキャラクターが似合う選手です。ハートの大きな選手です。ディシプリンを守る誠実さ、外のことは気にせずしっかりファイトし続けることなどがキャラクターです。過去、リコーは良い試合のあと、良いパフォーマンスが続きませんでした。サニックスさんに対してはハードなチャレンジをしてくるチームであるとリスペクトしていますが、後半、14人で守るときに、選手は自分たちのキャラクターを出してくれました。リキはスーパーボールのようにタックルミスしても直ぐに起き上がり、計り知れないワークレートがあり、コーチは彼のことを『斧』のように鋭いタックルをする選手と評価しています」
──負けた先週より勝った今週のほうが不満そうだが?
「不思議なフィーリングです。もう少しできたかなというところです。後半、リズムがつかめなかったところ。負けるのは凄く嫌ですし、勝つことを愛しています。選手のためにも、今日勝ったことは嬉しいですが、まだまだできたかと思います。先週も顔で笑っていても心は違ったんですよ(笑)」
──小松選手をセンターで起用したのはサニックス対策か?
「その通り。彼は日本のヘスケスです(笑)。パワフルモンスターで、タックルブレイクも多い選手です。後半、ウイングにしたのはヘスケス選手とパワーバトルをしてくれると読んだからです」
──川上選手のトライはタッチインゴールに触れたようにも見えたが?
「ああいうところの判断は難しいです。僕には何とかボールを引き込んでトライしたように見えました。でも、リキはそれに値する良い動きをしていました」
○滝澤佳之ゲームキャプテン 「まず、今日、集まってくださった会社の皆様、ファンの皆様に感謝します。先週のサントリー戦のように戦おうとして、前半から一人一人が『キャラクター』を前面に出して戦ってくれました。後半、自分のシンビンもあり、受けに回ってしまいました。反省して、次の試合に向けて一丸となってやって行きたいと思います」
──ヘスケス選手へのマークが厳しかったが?
「対策は特にしていません。ただ、個人的にもサニックスさんの試合を見て凄い選手だと感じていました。自分も何回も抜かれて、素晴らしい選手だと改めて思いました。ヘスケス選手に対して、もう少しディフェンスに行かなければならなかったが、1対1のディフェンスでちょっと受けに回ったと思います」
──シンビン中は何を考えていたか?
「皆に飲ませなくては(笑)と。相が一緒だったので、横から『入ったら、(思い切り)行こうよ』と言ってくれました。選手が声を出していて、トライをされましたが特に不安は感じませんでした」
──川上選手のトライはタッチインゴールに触れたようにも見えたが?
「良いトライでした」
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