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東芝ブレイブルーパス 33-28 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
【week2/2010年9月11日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】
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先シーズントップリーグ王者の東芝ブレイブルーパスに、今シーズントップリーグ初昇格のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスが挑む一戦。NTTコムは22人のメンバー中、8名が今シーズン新規加入のメンバー。
東芝のキックオフでスタート。NTTコムが東芝に対しどこまで善戦できるかと観衆が見守る中、先制トライはNTTコム。
前半5分、右中間東芝陣22m付近のラックから192cm/100kgのFBマーク・ジェラードが、東芝BKラインの裏にパントを上げ自ら拾いトライ(0-5)。ゴールも成功(0-7)しバックスタンドに陣取るNTTコム応援団を沸かせた。
前半立ち上がりのNTTコムFWは東芝FWと互角に渡り合い、ブレイクダウンでも負けず、前半10分にはNTTコム自陣ゴール前での東芝のラインアウトからのモール攻撃にも耐えトライを許さなかった。
しかし東芝も焦らず、前半13分にNTTコム陣内でフェーズを重ね、最後は14番キャプテン広瀬が右隅にトライ。ゴール不成功(5-7)
前半17分、NTTコム陣22m内側の東芝ボールのラインアウトから、FWが執拗にラックサイドを突き、最後はいつの間にかFW戦に加わっていた12番オトが押さえこみトライ。ゴールも成功(12-7)
これで東芝ペースの試合展開になるかと思われたが、東芝はこの後は前半24分に1番プロップ久保のトライのみで、前半終了間際には逆にNTTコム11番友井川にパントのキャッチミスを拾われトライを許し、ゴールも成功され19-14で前半終了。
後半もNTTコムは大健闘。テリトリーやブレイクダウンも互角に戦い、前半11分にはハーフライン付近の右サイドラックから素早く展開し、東芝BKディフェンス網の裏にゴロパントを転がし、11番友井川がこの試合二つ目のトライ。ゴールも成功(19-21)し、王者東芝を逆転し慌てさせる。
東芝はラインアウトに正確性を欠き、抜群のコントロールと飛距離の15番マーク・ジェラードのキックを使ったエリア戦略にてこずり、自陣内での戦いが続く。
しかし東芝は、後半20分に前半押しきれなかったラインアウトモールでトライ。ゴールも成功し再逆転(26-21)
後半26分、NTTコム8番マーフィーがゴール前ラックでの反則の繰り返しによりシンビンで一時退場。一人多くなったFW戦に持ち込み、執拗にラックサイドを攻め、後半28分に東芝6番スティーブン・ベイツがトライ。ゴールも成功し33-21と、残り10分を残し12点差とした。
普通であればここからズルズルと点差を広げられる所であるが、NTTコムは気持ち・フィットネスとも切れずに逆に反撃。
38分にはハーフライン付近の東芝ラックをターンオーバーし素早く展開。15番マーク・ジェラードが個人技で東芝ディフェンス5人を抜き去り左中間にトライ(33-26)。ゴールも成功(33-28)。
あわや王者東芝から大金星を奪う所まで追い込んだ所でノーサイドの笛となった。
惜敗はしたもののNTTコムは初のポイント2をゲットし、前節の消化不良的な試合を払拭するパフォーマンスを見せてくれた。
次節は開幕後今一つ波に乗れないクボタから、トップリーグ初勝利を予感させる試合になると思われ、トップリーグになり少々おとなしく(?)なったNTTコム応援団のボルテージが上がる試合を見せてくれるだろう。
一方東芝は、次節はやはりトップリーグ初昇格の豊田自動織機シャトルズと名古屋瑞穂での戦い。チーム建て直しのきっかけをつかめるか期待したい。(児玉 隆一郎)
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大沼監督(右)、中山キャプテン
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◎NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
○大沼照幸監督 「本日はありがとうございました。今日の試合は初戦に負けて、気持ちを切り替え全員で東芝さんにチャレンジしようと臨みました。自分たちのやりたいことを出せた試合でした。後半のシンビンが悔しいです。15人でやらせてやりたかった。王者の東芝さんとここまで渡り合えて、選手たちにとっては大きな自信になったと思います。修正点もありますので、対クボタ戦に備えます。今日の勝ち点2ポイントは本当に大きな2ポイントでした」
──チャンピオンチームの弱点は?
「とりあえずエリアマネジメントで、やはり敵陣でプレーする時間を増やすということです。良いキッカーを使って前へ出ることができたと思います。また、東芝さんの早いディフェンスに対してはインサイドにランナーを入れて何回かラインブレイクできました」
──新しく補強した選手の評価は?
「今日に限って言えば、木曽がハードワークしてくれて、接点、ブレイクダウンで良く働いてくれました。山下大悟も献身的にタックルをしてくれて、ボールキャリーもしっかりやって、チームの中心選手になってくれています」
○中山浩司キャプテン
「今日はありがとうございました。初戦に敗れて、選手のショックが大きかったのですが、早く切り替えていこうと確認しました。メンタル面でも、一歩でも二歩でも前に出ようと臨みました。気持ちがチームで一つになって良いものが出たと思います。勝てなかったがプレッシャーの中で良いラグビーができました」
──試合に臨む気持ちは?
「勝利の前に、目の前の一瞬、一秒を大切にしようと。その後に勝利が来ると言って臨みました」
──試合中、勝てると思ったのでは?
「選手の中から、焦らずに攻めようと声が出ていました。ディフェンスでもプレッシャーを多くかけられました」
──勝てる感触は?
「試合を通して、点数的にも、時間的にもチャンスはいつでもあると感じていました」
──予想以上の出来か?
「ブレイクダウンでもプレッシャーをかけていたし、トライを獲られても前に出ることができて、もう一度波に乗ることができました」
──何人か、東芝を倒したことのあるプレーヤーもいるが?
「プレッシャーがかかるのが当たり前の中で、どれだけプレーができるかが肝心です。強い気持ちをもちながらプレーしてくれました」
──先週と比べて?
「先週は選手が固くなっているところがありました。監督から100%出し切ろうと試合前に指示がありましたが、試合後、立てなくなるまでやりきることができました」
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瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
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◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督 「トップリーグ2戦目のナイターで、たくさんのお客様に見ていただき嬉しく思います。先週の三洋戦に負けてから、目指す、立ってつなぐラグビーを体現しようとしましたが、NTTコムさんのボールの前へ入ってくるラグビーにやられました。ラグビーで一番大事なものをNTTコムさんに教えてもらいました。この80分を無駄にせず、次に生かしていきたいと思います」
──もっとトライが獲れそうなペースだったが?
「エリアマネジメントと果敢にアタックする気持ちと、FW、BKが違っていました。二つ下がったボールをBKが無用に攻めて、FWにフラストレーションが溜まっていました。その時間帯は自分たちのエリアで試合し、攻撃できませんでした。チームでしっかり話し合っていきます」
──NTTコムのラグビーに教わったなかで一番大事なものとは?
「NTTコムさんはやることが徹底していて、チームになっていました。ブレイクダウンでもしっかりプレッシャーをかけ、皆でキープしようとしていました。局面でのファイトで、多少、反則はありましたが、果敢に攻めようとしていました。試合後のファンの皆様の声援を見ても、NTTコムさんのほうが試合の中で素晴らしかったということです」
○廣瀬俊朗キャプテン 「そうですね。久々に苦しみました。もう少し危機感を共有しなければ。チームの一体感が東芝の強さだったが、NTTコムさんのほうが一体感がありました。うまく言えませんが、強い心を持っていかないと。もっとあったと思っていたが、薄かったですね。勉強になりました。もう一回、チーム一つになって強い気持ちを持って次に臨みたいと思います」
──最初は東芝ペースだったが?
「一枚岩になっている感じがしませんでした。キック処理のミスもヒルが取れなかったからでなく、チーム状況がこれだからトライを獲られたと感じます。これが東芝のトライだという、自分たちが満足するトライもなかったです。もうちょっと順目に浮いているトライなら、もっとサポートが湧いていれば。自分たちが目指しているものと少し違いました」
──3本獲られてどんな指示を出したのか?
「一本目はアンラッキー、二本目はノータッチキック、何かこう、チームになっていないなという感じでした。東芝のラグビーを見せようという意識が薄い。自分たちがどうしたいのか、もっと思いを込めて、ただ単にラグビーをするのでなく、好きなラグビーをもっと楽しくしようと言いました」
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