三洋電機ワイルドナイツ 50-5 神戸製鋼コベルコスティーラーズ
【week8/2009年11月28日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】
「三洋電機 vs 神戸製鋼」戦のカードは、トップリーグの前身の社会人大会から両チームの熱戦は1991年の決勝戦での大逆転に代表される。
時は流れてグランドの選手達が監督、コーチ陣となり、場面もトップリーグの第8節。1ヶ月ぶりに再開され、三洋電機は全勝の首位、一方、神戸製鋼は若手構成で前節まで健闘の4位となり、両チームともにリーグ再開の初戦で観客も七千八百人を越える入場となる。
注目点は、全勝首位と第4位の上位対戦と両チームのフロントローが新旧日本代表一列目同士の対戦。その他のメンバーも主戦級が揃い、唯一、三洋SH田中選手が代表合宿で痛めた箇所があり欠場が不安材料か。
14時6分に相田主審によりキック・オフ。立ち上がりは神戸製鋼攻勢の時間帯。11分に神戸製鋼ボールのスクラムで三洋不安材料だったSH(9)高安が好タックル。そこを基点にラッシュし、三洋(7)若松が先制のトライ。この後、23分(11)三宅、32分(2)堀江がトライし点差を広げる。観戦していて気がつくのは、神戸フォワードが密集戦でのコンタクトを出来るだけ避けて、オープン・サイド中心に展開する意識が強く、そこを少数形成の三洋フォワード陣に縦に突かれる場面が多くなる。39分に三洋(15)田邊にペナルティ・ゴールを決められ前半終了して一方的な三洋電機22-0神戸製鋼となる。神戸製鋼も果敢に攻めるも、ガッチリ三洋に受け止められる感が強し、神戸選手から見ると「赤い壁<レッド・クリフ>」の様では。
後半は、三洋が前半の好デェフェンスを維持しながら、(10)トニー・ブラウンを起点とした攻めを立て続けに行い、8分(11)三宅のトライ。10分(8)ホラニを重ねる。神戸は早めの入替を行うも、12分に(19)パスカがパンチングで「イエローカード」。その間に三洋が主導権を握り、16分神戸陣22メートル付近のライン・アウトより(8)ホラニが縦に突進してトライ。圧巻は、20分神戸右ゴール前ラックから展開し、オープン展開が成功して(14)北川が左スミにトライ。チームの充実振りが顕著に表現される。
この頃からスタンドの神戸ファンから悲痛な叫び。点差は50-0。31分三洋(21)三木がレートタックルにより「イエローカード」。ここから流れが変わり、神戸フォワード、バックス一体となり攻め込み、37分神戸(16)安江が左スミにトライして一矢を報いる。
三洋電機50-5神戸製鋼でノー・サイドの笛となる。
観戦し終わっての感は、成熟期に入った三洋電機チーム。特に、選手一人一人の自覚の上にチームが成り立ち、暫くは磐石の構えと思う。(武田守久)
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平尾GM兼総監督(左)、松原ゲームキャプテン
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◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○平尾誠二GM兼総監督 「もうちょっと良いゲームにしたかったですね。勝つつもりだったけれど、やられました。ゲーム運びのうまさ、トニー・ブラウンのうまさにやられました。選手はしっかり戦ってくれました」
──どういう部分でやられたのか?
「密集に人をかけてこないのが三洋さんの特徴で、正直、それを崩したかったんです。うまく攻めさせて、ターンオーバーして多い人数を密集にかけさせてというプランでしたが、普段どおりやられたという感じです。ラックでも直線的な力が足りない。ちょっとあたふたさせて、一人、二人、(ラックに)入れさせたかったが、できませんでした。不用意なパスもあったし」
──立ち上がりは攻め込んだが?
「前半は向こうも元気なので、力づくは難しい。裏をかくというか、その感じがここのところ出てこないのが、チームの得点力が戻ってこない原因だと思います。しっかりできるようにやっていきたいと思います」
○松原裕司ゲームキャプテン 「ミニキャンプで準備をしっかりしてきました。神戸の練習の中では、しっかりチャレンジする前のミスをなくそうとしましたが、それ以前の問題で、三洋さん相手にあれだけ陣地を取られたらアタックで勝てるわけがありません」
──トニー・ブラウン選手にオフロードパスなど、よく通されてしまったが?
「コミュニケーションの問題です。練習で言っているように、見るべき人がしっかりトニーを見ていないとボールを回されてしまいます。ディフェンスミスが多々あったが、練習どおりできないところが課題です」
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飯島監督(右)、霜村キャプテン
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◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督 「強い神戸製鋼さんに対して、三洋の目指すランニングラグビーができてよい試合だったと思います。80分間ディフェンスもしっかりできました。印象的だったのは5年目で初めてスタメンの高安が、5年間準備してきたものを出してくれたことです。今、AチームへBチームがものすごいアタックをしてくれて、出られるメンバーの努力にも頭が下がるが、Bチームのまとめ役もしてくれている高安がやってくれたことを誇りに思います」
──ミニキャンプは?
「100%でアタック・ディフェンスをしなくてもある程度認識できていると感じています。もちろん、神戸さんはすごく強いチームですのでちょっと不安はありましたが、1ヶ月、淡々と同じようなことをやっていました。ちょっと疲れているとも感じたので、OFFにすることを心がけました。OFFがないとONがうまく行かないんです。昔、監督をしていたときは、ON、ON、ON、ONでしたが(笑)。もしかしたら、良い自信になるかもしれません」
○霜村誠一キャプテン 「今週、すごく良い準備ができていましたが、自分たちのプレーとしてはあまり機能しなかったセットプレーでプレッシャーを受けてしまいました。持ち味のディフェンスからの攻撃はできたと思います。高安が準備してきてくれたものを出してチームを乗せてくれました」
──大学からよく知っている高安選手の活躍は?
「彼が入ったときは池田渉さんがいて、その後田中が入ってきて、つらかったと思いますが、まじめに練習をして、Bチームのリーダーもやって引っ張ってくれて、こういう機会でしっかりやってくれたのは素晴らしかったと思います」
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