東芝ブレイブルーパス 41-12 近鉄ライナーズ
【week6/2009年10月17日(土) at東京・秩父宮ラグビー場】
勝って上位の一角を死守したい東芝ブレイブルーパス、前節(ヤマハ戦)で驚異的な粘りを演じ勢いづく近鉄ライナーズ。曇天の秩父宮に重い緊張感が漂うなか、近鉄のキックオフで前半が始まった。
東芝はグラウンドをワイドに使い、相手陣内で試合の主導権を握る。前半8分には12番ブリューがゴール前に切れ込むが、近鉄の固いディフェンスに阻まれトライチャンスを逸した。攻めていながら決め手を欠く東芝だったが、11分にようやく均衡を破った。ブレイクダウンから4番望月→11番オトとつなぎ、最後は14番廣瀬が右隅に飛び込んだ(ゴール不成功で5-0)。
最も頼れる男のトライで覚醒した東芝が連続して得点する。20分にはゴール前5mスクラムから逆目の左サイドに展開し、7番中居が左中間にトライ(ゴール不成功)、さらに30分にゴール前左ラインアウトからモールを形成、BKが左右に揺さぶり10番ヒルが中央に回り込みトライ、自身でゴールも決め17-0とリードを広げた。
近鉄もしばしば東芝陣内に攻め込むが組織的なアタックが見られず、東芝の確実なディフェンスの前にミスを連発する。攻撃の糸口を掴めないまま、無得点で前半を終了した。
後半も東芝の優勢は変わらない。3分、右ラインアウトから左サイドに展開、12番ブリューが左中間に飛び込んだ(ゴール不成功で22-0)。12分には左ラインアウトから8番豊田が抜け中央左にトライ、ゴールも決まり29-0とした。
しかし、今年の東芝は終盤に息切れする(?)いつもの悪い兆候が後半15分過ぎに顔を出し始める。タックルが高く、受けにまわる場面がしばしば見受けられた。一方近鉄は、接点をつなぎパスを継続させるリズミカルな攻撃で逆襲に転じた。16分にブレイクダウンから14番大西→12番イエロメとパスが回り、15番高が左隅に待望の初トライを奪った(ゴール不成功)。続いて20分、ゴール前ラックから11番タフィア・タウファが抜け左中間にトライ、ゴールも決まり29-12と東芝に迫る。 しかしながら近鉄の猛攻もここまで、自力に勝る東芝が30分に12番ブリュー、35分に14番廣瀬とトライを奪い、結局41-12で近鉄を降した。(康乗克之)
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スローン ヘッドコーチ(右)、大西ゲームキャプテン
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◎近鉄ライナーズ
○ピーター・スローン ヘッドコーチ 「理想的結果ではないが、選手たちはよくがんばったと思います。前半はスピードが遅かったし継続的なプレーができませんでした。しかし、強いチームに対してやり返すことができましたし、ボールコンタクトやスペースへ走りこむこともできました」
──東芝に勝つには?
「継続的なプレーが必要です。私の経験でも簡単にはできないので、勉強です。東芝さんと戦うときには最初から最後までワーキングレートを高くしなければなりません。そして、もう少しし自信を持たないと」
──近鉄はレベルアップしたか?
「全般的に改善されています。ただ、スタッフもいろいろやってくれていますが、1、2シーズンですべて改善できるものではありません。ローマは一日にして成らずです。今の過程で、課題を修正していくことです。今日はボールをしっかりキープして、激しくやることが不足していました」
──日本のラグビーについて?
「日本のラグビーはワールドカップ開催を決めましたが、10年は本当に短いです。近鉄のようなチームがしっかりと同じくらいの強さで東芝さんとやれるようになれば、健全な競争になって日本のラグビーの成長につながります。もし、2m位の身長で120kgくらいあって速く走れる日本人選手がいたら教えてください(笑)」
○大西将太郎ゲームキャプテン 「今年、一回しかない秩父宮の試合で、凄い強い東芝さんにチャレンジするつもりで臨みました。最初の10分、20分は膠着状態でチャンスをたくさんつくりながら、ものにできず、いつも通りのキャッチアップラグビーで、先に先制点が取れないのは残念です。後半、つないでいくラグビー、東芝さんにも通用するラグビーを少しお見せできたのではと思います。選手一人ひとりが東芝のような上位のチームの力を知ったので、次のNEC戦に向けてがんばっていきたいと思います」
──前半はノートライだが?
「どのチームもレベルアップしていて、トライを獲るのは難しくなっています。堅いラグビーでなく、しっかり3点を取るラグビーをしようとしていましたが、最終的にはその3点も取れずに、得点差があるので、仕方なくトライを狙いにいく悪循環に陥ってしまいました。最終的に、ヤマハ戦では吹っ切れてよい結果となりましたが、自分たち近鉄の課題です」
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瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
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◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督
「今日は久しぶりに秩父宮でたくさんのファンの皆様の前でラグビーができて嬉しく思います。2連敗した後で、何が何でも良い試合をしたいと臨みました。7トライすることができましたが、課題も多いので修正していきます」
──修正点とは?
「インサイドサポートが遅れていること、ここでトライの時にサポートが1人、2人しかいないので、もともとサポートじゃない人数が(攻めている間に)湧けばもっと獲れると思います。また、ゴール前のブレイクダウンです」
──精度を上げようと荒々しさがない感じだが?
「精度もそうですが、東芝らしさという点では、今日もFWが獲りきれていません。横軸の展開を、もう一度縦と横のバランスある本来の東芝の良さに戻していきたいと思います」
○廣瀬俊朗キャプテン
「今日はとにかく、ホームで2連敗していたので、東京のお客様の前で1勝できたこととトライも7つ獲れて満足しています。しかし、チャンピオンになるまで修正が必要ですので、次のコーラ戦に向けて準備したいと思います」
──ラックについて?
「実は、4節が終わって、それまでも立ってつなごうというキーワードがあったが、チームの芯という意味での統一がなく、トヨタ戦の後、少しずつでも立ってやろうという声が出てきたので、ここから東芝らしさが出てくると思います」
──チャンピオンになるまでという言葉があったが?
「まず、大前提としてずっと追い求めてきたもの、たとえばサポートで言えばインサイドサポート、ラインの深さ、芯を軸にしながら精度を上げていきたいと思います」
──29-0の時間帯から膠着したが?
「とにかく攻め抜くことです。目先の1試合も大きいですが、東芝はあそこでショットというチームではなく、リーグ戦はチャレンジしていきたいと思います。まずは攻め抜くしかないと信じています。そこが最後の最後で、たとえばプレーオフで実を結ぶと思います」
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