クボタスピアーズ 24-35 福岡サニックスブルース
【week4/2009年9月26日(土) at東京・秩父宮ラグビー場】
トップリーク第4節、開幕より3連勝と好調なクボタスピアーズ(第3位)と福岡サニックス(1勝2敗/第10位)が対戦しました。両チームの対戦成績はトップリーグでは2勝2敗1分けの五分、昨年の同カードは33-32 と福岡サニックスが1点に泣いた試合でした。
試合はサニックスSO小野選手のキックオフで試合が開始されました。
開始早々の前半5分にクボタは敵陣15m付近のラックより出たボールをSOドゥラーム選手のオープンサイドへの大きなキックパスをWTB根岸選手がキャッチし左隅に先制トライし(GK成功7-0)先制、対するサニックスは前半10分センター付近での相手ペナルティよりチャンスを掴みPR杉浦選手が敵陣22m付近まで持ち込み連続攻撃より相手ペナルティを誘いゴール前5m付近LOより攻め込みPR永下選手がトライ(GK成功7-7)、続く17分にもセンター付近ラックよりグランドを縦横無尽に走るラグビーを見せるサニックスが連続攻撃を仕掛けPR永下選手がこの日2度目のトライ(GK失敗7-12)し逆転した。
直後にクボタも相手ペナルティを敵陣深くタッチへ蹴りこみラインアウトより右オープンに展開してFB吉田選手が右隅にトライ(GK成功14-12)と再び逆転した。前半クボタはSOドゥラーム選手のキックで敵陣に攻め込み得点を重ね、サニックスは選手全員が走る展開ラグビーと早いディフェンスで対抗し4,261人の秩父宮の熱いラグビーファンを魅了した。試合はその後もシーソーゲームの様相を見せクボタが24-19とリードして前半を折り返した。
後半はサニックスが6分、敵陣ゴール前30m中央付近での相手ペナルティよりFB田代選手がPGを成功(24-22)し反撃を開始した。後半14分にはクボタはキャプテン荻原が怪我で戦線離脱。サニックスは早い展開ラグビーでグランドを縦横無尽に敵陣に攻め込み後半19分にはWTB永留選手がトライ(GK成功24-29)と逆転しボーナスポイント(1)を獲得。しかし後半25分にFLハレ・マキリ選手がモールでのスタンピングによりレッドカード(退場)でサニックスは残り15分を14人での戦いとなった。その後クボタは果敢に敵陣に攻め込むもサニックスの厚いディフェンスに阻まれ後半得点を追加できず。対するサニックスは2つのPGを奪い24-35と走り勝った。
マン・オブ・ザ・マッチは、この試合2トライの福岡サニックス(2)安武選手が受賞しました。
次節、福岡サニックスは好調のトヨタ(3位)に挑み、クボタスピアーズはコカ・コーラウエストと対戦します。
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山神監督(右)、荻原キャプテン
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◎クボタスピアーズ
○山神孝志監督 「今日は『サニックスさんが自分達のラクビーを行って、我々(クボタ)が自分達で築き上げた物を失った』と言うことです。もう少し外よりも内側から攻めたかったのですが、外でミスが出ておりコントロールが少し悪かったと思います。トライが外のキックと外のフルバックが入ってきて取れましたので、このあたりで簡単に取れてしまった事がチームとしてうまく機能しなかった。荻原が途中(後半14分入替)で出てラインアウトの攻勢も悪く,後半は自分達のゲームができず結果このようになってしまった。悪かったところ、できなかったところをもう一度しっかりと見て反省してやり直したいと思います。
(選手も)3連戦した後の一番辛いところだったと思います。サニックスさんも激戦を戦ってきて同じ条件だったのですが自分達のラグビーに徹しようとしたところで我々が負けてしまった。タックルもオフロードしてくるのでもっと前へ、相手が繋いでくるのならその倍で押し返すくらいの気持ちでもっと戦ってほしかった。後半そういう指示を出しましたが全体的に、その点のスピードを上げられなかったところが敗因と思います」
○荻原要キャプテン 「今日はありがとうございます。今日はサニックスさんにラグビーをさせてしまったという感じです。またチームのタックルミスが多くてサニックスさんペースになったのが敗因だと思います」
──サニックスについて戦った感じは?
○荻原キャプテン
「サニックスさんはランニングラグビーを徹底してくるという点で大変すばらしいラグビーをしてくるなと思いました。体の接点(当たり)では負けてないと思いますがタックルした後に繋がれてしまう場面も多かったしファーストタックルが上に行ってしまい外された場面もあったのでクボタの出来が悪すぎたと思います」
──荻原キャプテンの途中交代は?後半のサニックスにレッドカードが出て2回のペナルティの狙いどころの選択は?
○山神監督 「途中交替は足の怪我です。ラインアウトについて自分達がやってきた事を考え実行に移す余裕がなかったと思います。サニックスさんは繋ぐラグビーに徹してきますので自分達のラグビーを地道にやってきたのですが、荻原が交替した事で試合中の『戦略の決定』という点での判断力に影響があったと思います。ラインアウトの選択は正しかったと思うが使い方に間違いがあったと思う」
──後半サニックスが14人になった後もサニックスペースという感じでしたが?
○山神監督
「若いチームでしたので早めにフロントローを替えて、若い力を入れて少し変えていきたいと思いました。ここまではうまくいっていた。初めて自分達の力が試されるゲームだったと思うし、その状態におかれた時の芯の弱さが出てきたのではないかと思います。
この点を乗り越えて勝ち続けていくことの難しさを今日選手は知ったと思いますし、選手で乗り越えてほしいし、そのために我々も一緒にやっていきたい。サニックスの自分達でやることに対する信頼度が最後に14人になっても前に出て果敢に攻めていくというところでクボタは受けてしまった。もっと勢いに乗ってやれるチャンスでしたがFWの最前線での攻防で後手を踏んだ。ボールが出てもミスが出た。『ワンチャンスで取り返す力、取り返す力に指がかかりつつも超えられてないな』と思います。ここを徹底してやっていきたいと思います」
──今日のディフェンスの破られ方は?
○山神監督
「出来が悪かったですね。外に引っ張られて内に戻って来る所のインサイドをカバーする練習は今週行っていましたが、ファーストタックルの弱さ、ラインのスペースを上げていく戦い方で相手を上回れなかった」
○荻原キャプテン
「まずはファーストタックルが悪いというところで、一歩でも前に出られてサニックスさんの繋ぐラグビーになったので、ディフェンスが悪かったことに尽きると思います」
──ここまで3連勝したことによる今日のプレッシャーはありましたか?
○荻原キャプテン
「クボタ自身が開幕3連勝は無かったので多少はあったかもしれませんが、私自身はサニックスがすばらしいチームだと思うし他のチームとは違ったラグビーをしてきますので、自分達のラグビーをやらなければこのような結果になることは自分の中では怖さがありました。今週の練習で“驕る”雰囲気を出さないようにしてきたつもりですが、最後は一人一人のところであったかもしれませんし反省すべき点だと思います」 |
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藤井監督(右)、菅藤キャプテン
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◎福岡サニックスブルース
○藤井雄一郎監督 「本日はありがとうございました。九州ダービーが続き自分達の形より勝負に拘りすぎてボールを繋いだりできませんでしたが、リラックスしてしっかりボールを繋いでいけば相性の良い相手でしたので、試合前に『思い切って今日は一試合を捨てるつもりでがんばって行こう』と話し選手は伸び伸びと戦ってくれました。最後のカードが出たのは残念ですがサニックスの形は出せたと思います」
○菅藤友キャプテン 「今日はありがとうございました。これまでの3試合は自分達のかたちを崩してまで意地でもゲームを作りにいってばかりで、その先もなかなか巧くいかなかった。今日はそこでミスが起きたとしても、自分達のかたちを崩さないように試合中に言い続け、最後まで貫き通した結果勝つことができました。自分達のかたちを維持していくことが重要だと改めて思いました」
──後半残り15分の14人で戦っている時の指示は?
○藤井監督
「14人のほうが相手は逆にFWが少ないと考えてFWで攻めてくるなと思い、展開されるのは若干嫌でしたので元気な選手を入れました。選手は14人という事で逆に結束したのかなと思います」
○菅藤キャプテン
「14人になり時間がありましたので選手を集めて、『今までのサニックスならこの点差をひっくり返されて負けている』、『去年のクボタとの1点差のゲームから進歩した所を見せるためには14人全員で守りきろう!成長しよう!』と話しましたら、皆がうなずいてくれました」
──捨てるつもりとは?
○藤井監督
「『拾うつもり』で言ったのですが(笑)、ちょっと硬くなりすぎて力勝負で戦ったところもありました。その分もっと展開して相手を動かさないと自分達の形ができないので、最後は相手の余力を残さないほど走らないとサニックスは勝ち目がありません。今日は最初から『いけるところはドンドン行け』ということで若干のミスはありましたが全体通してよく攻撃したなと思います」
──今日の試合の結果で今後のチームへの影響は?
○菅藤キャプテン
「すごく大きいと思います。開幕戦を勝った時も嬉しかったですが、今日の喜びは半端じゃないなと皆の顔を見て思いました。次に繋がると思います。3連勝していたクボタさんですし、勢いのあるチームに秩父宮でそう簡単に勝てなかったし、今日勝ったことが自信になったと思います。2週間後のトヨタさんに対してものすごくチャレンジできると思います」
──試合中に相手の疲れは感じましたか?
○菅藤キャプテン
「試合中に自分がちょっとステップを切ったら抜けました。普段抜いたことなかったのですが(笑)。小野も同様に抜いていましたので相手は足が止まってるなと思いました。とにかく外に回し近場勝負は避けて外に回すことを徹底しました」
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