NECグリーンロケッツ 6-29 東芝ブレイブルーパス
【week2/2009年9月12日(土) at千葉・柏の葉公園総合競技場】
朝からどんよりとした曇天が続き、「残暑」が全く感じられない絶好の天候の中、トップリーグ第2節、NECグリーンロケッツVS東芝ブレイブルーパスのゲームはキックオフされた。
キックオフが夕方の午後5時ということで、午後3時からプレイベントとして、NECグリーンロケッツ近隣の「我孫子ラグビースクール」と「東芝ブレイブルーパスジュニア」の交流戦が開催された。小学生ラガーでありながら、大人顔負けの激しいプレーが随所に飛び出し、未来のトップリーガー達の好ゲームが展開された。グラウンドは、小学生のかわいらしい声と応援のご父兄の方々の大きな歓声に包まれ、和やかな雰囲気の中にも決戦のムードは徐々に高まっていった。
キックオフ前には、森田健作・千葉県知事の始球セレモニーも開催された。森田知事は、若さあふれるラグビージャージー姿で登場され、スタンドは大きなどよめきに包まれた。さらに森田知事は、軽妙なスピーチの後、NECグリーンロケッツ熊谷キャプテンへの見事なキックパスを披露され、スタンドに詰めかけた両チームのファンは森田知事の華麗なプレーに酔いしれた。
試合はNECグリーンロケッツのキックオフで始まった。開始早々から激しいコンタクトでの密集戦が展開される。この「ブレイクダウン」の攻防こそがこの日のゲームのすべてを決定するかのようだ。試合が進むにつれて、風上に立つNECは、SO安藤のハイパントを軸に東芝陣地になだれ込む。そして9分、ゴール前の波状攻撃からFBロビンスがドロップゴールを成功させ、先制した。対する東芝も直後のキックオフからNEC陣地へ殺到し、15分ラインアウトから得意のドライビングモールでNO8石澤がトライ、ゴールも成功させ、試合を逆転した。
NECもSO安藤がペナルティゴールを返すが、東芝は22分またもやラインアウトからモールを押し込み、最後はHO湯原が押さえトライ、12-6と点差を広げた。その後はお互いが持ち味を発揮し、「引き離し」にかかる東芝のアタックをNECの好ディフェンスが「押し戻す」という展開で前半を終了した。
後半も一進一退の攻防の中、次の得点をどちらがあげるかがこの日の勝敗を決するという重苦しい雰囲気が漂う。
12分東芝がついに均衡を破る。連続攻撃でゴール前にボールを運び、SOヒルがペナルティゴールを成功させ、試合の流れは東芝へと傾いた。そして22分、勝負を決めるビッグプレーが飛び出した。東芝は自陣ゴール前でのNECの必死の反撃を好タックルでターンオーバーし、右オープンに展開する。CTBオトがDFを突破し、リターンパス、SH吉田からFB立川へボールが渡り、ポスト下にトライ、ゴールも成功し、NECを一気に引き離した。なおも攻撃の手を緩めない東芝は32分にFB立川がこの日二つめのトライ。ボーナスポイントも獲得した。NECも地元の声援を背に必死の反撃を試みるが、ついに東芝のゴールラインを割ることができず、無情のノーサイドのフォーンが競技場に鳴り響いた。
両チームの攻防は激しくそしてフェアであり、素晴らしいものであった。両チームの健闘に敬意を表したい。(塚越康利)
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岡村ヘッドコーチ(左)、熊谷キャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ
「前節のクボタ戦の反省から、DFを修正して本日の試合に臨んだ。素早いセットからのヘッドスピードでプレッシャーをかけられた。しかし、あれだけオフェンスでミスをしては勝ちきれない。特に後半は後手後手の展開となってしまった。入れ替えももう少し効果的に、早めに『仕掛ける』べきであった」
──ヤコはなぜ起用しなかったのか?
「東芝はフィジカルで受けてはいけないと考えた。エリアよりもコンタクトを考えた」
──ミスの原因は?
「お互いそうであるのだが、雨とグラウンドのスリッピーさが原因なのでは。深いサポートを考えたが、コンタクトの瞬間のボールレシーブが駄目であった」
──エリアマネージメントに関しては、上手くいっていたと思うが、後半はやや蹴りすぎなのでは?
「そうは思っていない。このグラウンドのスリッピーさを考えれば、マネージメントは間違っていない。しびれ負け(我慢できなかった)ということであろう」
○熊谷皇紀キャプテン
「後半途中までは思い通りのゲームであった。最後に体力が落ち、足が止まってしまった。セットはやられていない。足が止まってしまったのが悔やまれる。連敗スタートだが、ここから立て直したい」
──先週今週と厳しい戦いが続いているが、どこを修正したいか?
「戦い方はこのままでいいと考えている。もっとミスを減らしたい。ラインを深くするなどより確実に攻めたい」
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瀬川監督(左)、廣瀬キャプテン
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◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督
「ナイターという好環境の中、詰めかけていただいた多くのファンに感謝したい。先週負けているのであくまでもポイント5を狙った。ポイント5を獲得したことに満足している。東芝のラグビーができた」
──4トライを奪ったアタックとノートライに押さえたディフェンスとどちらを評価するか?
「ボールをキープし動かし続けたことに満足している。積極的にボールを動かし続けたかった。アタックのリズムをつかみ始めてきたのが良かった」
──「『PGを狙わない』のが東芝のラグビー。今日のゲームはどう臨んだのか?
「トライを取りに行き、5ポイントを獲得できた。今日は『攻める』という意志表示をしたかった」
──ヒルを下げたのはどういう意図か?本人は試合に出ていたかったようだが(笑)。
「ヒルの交代は彼とのコミュニケーション不足であった。彼から交代のアピールがあったが、ヒルは交代選手がいないことを知らなかったようだ。やめようと思ったが、もうアシスタントレフェリーに申し出た後だった(笑)」
○廣瀬俊朗キャプテン
「本日スタンドにお越しいただいた多くのファンに感謝したい。先週負けているので、今日は昨年の不祥事を振り切るつもりで戦った。東芝のラグビーができたと思う。内容はミスが多かったが、4トライを奪い、ノートライに押さえたことに満足している」
──NECのキックに対して効果的にカウンターアタックを仕掛けていた。それは事前のプランなのか?ゲーム中のコミュニケーションなのか?
「先週はキックゲームにつきあってしまい、相手のペースになった。前半はキックにつきあったが、途中から選手同士で話し合い仕掛けていった」
──仕掛けた理由は?
「相手はキックに対する陣形のように感じたのが大きな理由だ」
──「昨年の不祥事」を振り切るうえでも本日の勝利は大きな「1勝」であったのか?
「どの1勝もみな同じだが、シーズンの初勝利という意味では大きな1勝である」
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