NECグリーンロケッツ 11-29 クボタスピアーズ
【week1/2009年9月5日(土) at東京・秩父宮ラグビー場】
昨季トップリーグ第5位のNECグリーンロケッツと第6位のクボタスピアーズの対戦。昨年のこの季節の蒸し暑さとは異なり、心地良い秋風が吹く中で行われた。
前半開始9分までは、両チームともここぞというところでパスミスなどによりチャンスを潰し、一進一退の攻防であったが、先制したのはNEC。ゴール前左ラインアウトから右に展開、ラックからハーフ西田が縦をつき、最後は7番フランカーのラトゥが左隅にトライ(ゴール不成功で5-0)。
一方、クボタも、14分、敵陣22m手前の地点でのNECのオフサイドからペナルティを得て、スタンドオフのドゥラームがペナルティキックを決め3点を返した(5-3)。さらに、その3分後、連続攻撃から最後はナンバー8のブロードハーストが中央にトライ、ゴールも決まって逆転に成功(5-10)。
その後、クボタはペナルティキックを外したほか、幾つかのチャンスをパスミスなどで潰し勢いに乗り切れず、逆に、23分に10mと22mの間でオーバーザトップの反則を犯したところ、NECはスタンドオフ安藤がペナルティキックを決め、NECは2点差に詰め寄った(8-10)。
前半は、その後、両チームともに決定的なチャンスもなく、そのまま終了(8-10)。
後半に入って、先に点を取ったのはクボタ。開始6分、NECは自陣ハーフラインと10mの間でのラインアウトでオブストラクションのペナルティを犯し、クボタのドゥラームがペナルティキックを決め、3点を追加(8-13)。さらに、4分後、敵陣22m内でペナルティキックを決め、点差を広げた(8-16)。
後半ここまではクボタの一方的な攻撃であったが、NECは、15分過ぎから、ラトゥの突破などで敵陣に攻め込み、19分、安藤がペナルティキックを決め、点差を詰めた(11-16)。しかしながら、クボタは、21分、ドゥラームがドロップゴールを決め(11-19)、NECの追撃を許さず、さらに27分、相手のキックミスからカウンターアタックを仕掛け、連続攻撃から最後はロックのホラニ・龍シオアペラトゥーが左隅にトライし点差を広げた(ゴールは不成功で11-24)。
その後、NECも何度か敵陣深く攻め込んだが、クボタの堅いディフェンスからトライを奪えず、逆に39分、クボタは自陣ゴール前から果敢に展開し、最後はスクラムハーフ李がトライし、ノーサイド(11-29)。
この試合は、クボタの縦の激しい突進と速い横への展開が目立った一方、NECは最後まで本来の力を出し切れずノートライに終わった。
この季節、生ビールを飲みながらナイターでのラグビー観戦は最高です!
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岡村ヘッドコーチ(右)、熊谷キャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ
「終わってみればクボタさんのドゥラーム選手のエリアマネジメントに支配されて、7〜8割は自陣での試合でした。完全にクボタさんの土俵に乗ってしまいました。なぜ、そうなったのかと言えば、合宿からゲームが1試合もなく、勘が戻らないというか、ラックでもチェイスでも皆ボールばっかり追っている感じだったからだと思います」
──もっと早く動いたほうが?
「対応力というか、どこが原因かは分かっていたし、キャプテンからもしっかり指示が出せていたので少し遅れたと思います。しかし、結果論であって、あれはあれでベストだったと思います」
──実戦がなく、ブランクがあってスキルが低いのか?
「いえ、できていた部分がこのゲームでできなくなっていたことが確認できました。例えばディフェンスのセットスピードはできていたのですが、今日はそこが崩れていました」
──クボタに対しての優位性は?
「クボタさんとは差があるとは思っていません。しっかりした精度の高いNECのラグビーをすれば、どこにも負けないと思います。今日も精度の高いラグビーでリードして、プレッシャーをかけて点差をつけ、焦りを誘うつもりでしたが、まったく逆のパターンでやられました」
──この状態で東芝戦だが?
「精神面も肉体面も準備はできています。逆に熱くなりすぎたのが敗因です。久しぶりのゲームで興奮をはき違えていました。東芝さんとは十分に戦えます。コンタクトエリアが東芝さんは強いので、そこの準備をしっかりしていきます」
○熊谷皇紀キャプテン
「NECがやろうとしたゲームプランをそのままクボタさんにやられたゲームでした。ドゥラーム選手が一枚上手でした。そこで、一から立て直そうとした時にミスが出て、相手のキックで自陣に押し返されたことが敗因です」
──クボタへの優位性は?
「クボタさんに勝っているとは思っていません。ドゥラーム選手のエリアマネジメントで相手の安心感の中でプレーさせてしまったと思います」
──東芝戦は?
「敵陣で、しっかりやるべきことができれば。NECは東芝戦を楽しみにしている選手が多いので、やります」
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山神監督(右)、荻原キャプテン
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◎クボタスピアーズ
○山神孝志監督
「本当に勝ててよかったです。個人的にはほっとしています。緒戦に勝つことは重要で、勝ってくれて本当にありがたかったです。ゲームプランとしてはテリトリーを取りながら連続攻撃でした。NEC戦はとにかくボールキープすることを強調して臨みました。昨年のNEC戦は最後は13人で戦うゲームで、同じ秩父宮、ナイターで連続して負けていたので今年は春から激しくクリーンなラグビーを目指してきました。本当によく我慢しました。選手を称えたいです。NECさんはアクシデントもあったと思いますが、勝負の世界ですので、勝てるときに勝っておくことは重要です。全体的にディフェンスもプレッシャーを良くかけていたし、そこからトライも獲れて全体的には満足です。引き続き次週に備えていきたいと思います」
──合宿では厳しい戦いが続いたが?
「うちほどこんなに気持ちよく勝たせたチームはありません(笑)。夏、ホンダさんとやったときはどうなることかと思いました。ただ、トヨタさんの迫力に体を当ててみて、そんなにやられていないとは思っていました。リコーさんにもやられて、周りで見ている選手が次の練習で意識が変わって、それがこのチームのよさだと思います」
○荻原要キャプテン
「クボタにとって開幕戦で勝つことは重要で、内容より結果が出て良かったです。内容は修正点をしっかりビデオで見て、修正していきたいと思います」
──トップ4に勝つために体を大きくした成果は?
「僕自身は前ほど当たり負けしなくなったと思います」 |