|
三洋電機ワイルドナイツ 24-18 東芝ブレイブルーパス
【week1/2009年9月4日(金) at東京・秩父宮ラグビー場】
9月4日(金)、7年目を迎えた「ジャパンラグビー トップリーグ」の開幕戦を飾るに相応しい対戦となった、三洋電機ワイルドナイツ対東芝ブレイブルーパスの戦い・激闘が、時折小雨の降る秩父宮ラグビー場にて繰り広げられた。
ラグビーシーズン開幕のこの時期、既にお馴染みとなったウィークエンドの金曜日、緑の芝がはえるナイター戦でのトップリーグ開幕、仕事帰りのラグビーファン等約1万3千名の観客が詰めかけた。
試合開始前のセレモニーにおいて森会長の開幕宣言が行われ、日本ラグビー界の悲願であったワールドカップ2019年の日本開催決定に加え、2016年のオリンピック種目に追加競技として7人制ラグビーが推薦される等の明るい報告が聞かれ、今年のトップリーグは10年先を見据えた大事なスタートの年になるとの宣言で締めくくられた。
東芝のキックオフ、開始後2分、東芝ゴール前10m付近から、三洋電機10番トニー・ブラウンのパントキックに14番北川がからみ、北川がインゴールにあげたパントを11番三宅が押さえて先制のトライ。15番田邊のゴールも決まり三洋電機7点。
前半5分、東芝ゴール前15m付近で東芝ノットロールアウェイの反則、15番田邊がペナルティゴールを決め三洋電機10点。
セットプレーから、三洋電機の出足の早いディフェンスになかなかゲインラインを割れない東芝。
前半24分、東芝ゴール前左20m付近で東芝オフサイドの反則、15番田邊がペナルティゴールを決め三洋電機13点。
やっとエンジンの掛かった東芝、前半27分、三洋電機ゴール前中央20m付近で三洋電機ノットロールアウェイの反則、10番ディビッド・ヒルがペナルティゴールを決め東芝初得点の3点。
前半29分、三洋電機9番田中が反則の繰り返しによりイエローカード・シンビン、10分間の退場。
前半29分、三洋電機ゴール前右5m付近のセットプレーより左サイドに蹴り込まれたボールを東芝11番仙波がキャッチング、ゴールに飛び込みトライ。10番デイビッド・ヒルのゴールも決まり東芝10点。
ロスタイムに入った前半40分、東芝陣内でのスクラムから東芝が果敢に展開、2つのポイントを経て、最後は14番廣瀬が左隅に飛び込みトライ、ゴールは外れるも東芝が15点を獲得、三洋電機の13点を逆転し前半終了・ハーフタイム。
三洋電機10番トニー・ブラウンのゲームメイキングが冴え出した後半26分、東芝ゴール前左10m付近から蹴り込まれたボールを両チームが追いかけ、競い勝った三洋電機22番吉田が押さえトライ18点を獲得、三洋電機が再び逆転。
後半30分、東芝ゴール前20m付近で東芝オフサイドの反則、15番田邊がペナルティゴールを決め三洋電機21点。
後半32分、東芝ゴール前10m付近で再び東芝オフサイドの反則、15番田邊がペナルティゴールを決め三洋電機24点。
後半39分、三洋電機ゴール前10m付近で三洋電機ハンドの反則、10番デイビッド・ヒルのペナルティゴールが決まり東芝18点。
残り試合時間後わずか、トライだけでは逆転勝利に結び付かない東芝が、ノーサイドを知らせるブザーを尻目に果敢に攻めるも、最後はタッチにボールを蹴り出されノーサイド。
トップリーグの開幕戦に相応しい接戦を制したのは、最後まで攻撃の手を緩めずに攻め続けた三洋電機で、24点を獲得、後半途中で切れたかに見えた東芝が惜しくも18点の惜敗に終わった。(佐々木文昭)
|
|
|
|
|
|
|
|
瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
|
◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督 「トップリーグ開幕戦に女性も含めて多くのお客様に来ていただき、ありがとうございます。開幕戦ということで、後先考えずに勝利のみを狙ったゲームでした。三洋さんはうまいゲームメイクをされて、こちらは自分たちのラグビーができず非常に悔しい思いです。最後は6点差にして勝ち点1を取りましたが、大きな1点です。次節以降、効いてくると思います」
──速い展開ができなかったのは?
「一つは、戦術の部分で、レフリーとコミュニケーションを取って早めに修正しようとしたのですが、ダイレクトモールというより、ゲインをきるための新しいアイディアとして使っていこうとしたのですが、実戦ではなかなか難しいです」
──後半20分以降の出来は?
「立ち上がりのチャンスで得点できなかったことが響きました。三洋さんのゲームマネジメントに僕らのめざした継続ができず、三洋さんの土俵に乗ってしまった感じです」
○廣瀬俊朗キャプテン 「まず、本当に金曜の夜にこれだけのお客様が来てくださったことに感謝します。ワールドカップも決まったことだし、ラグビーの面白さを、醍醐味をお見せする試合をしたいと霜村とも話し合ってきました。ミスが多くて残念でしたが、面白い試合はできたかなと感じています。後半20分からブレイクダウンやハンドリングのミスが出て、三洋さんが勝ったというより、東芝が勝ちを逃がしたゲームだったと思います。非常にフラストレーションの溜まる試合でした」
──ブレイクダウンでのフラストレーションは?
「ちょっとゲートじゃないところから入ってきたように見えたところもありましたが、レフリーもシンビンを取ってくれましたし、接点自体は負けてなかったけれど、最初の20分、キックに付き合っちゃったところが良くなかったです」
──トニー(ブラウン)のキックは?
「去年の開幕戦もキックが多かったし、もともと三洋さんはキックが多いので予想したとおりです」
──後半立ち上がりはスコアできなかったが?
「基本的に単純なミスが多かったですね。モールからのアタックも実戦を積んでいない感じがしました」
──三洋と戦って?
「本当に、今日は純粋にラグビーをこの場でできることが嬉しかったです。去年はいろいろなことがあった時に、三洋さんに助けてもらったという気持ちを強く持っていますので、今日は、僕は純粋に楽しかったです。ありがとうという気持ちです」
|
|
|
|
|
|
|
飯島監督(右)、霜村キャプテン
|
◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督 「今日は皆さん(記者の方々)のおかげで、応援してくださる方に集まっていただき、ありがとうございました。今日は、今までにないシンビンが出てしまいましたが、よく我慢して戦ったと思います。選手を誇りに思います。選手は一つステップアップしたと思います」
──ハーフタイムの修正点は?
「キックの落下点に寄り過ぎていること、ディフェンスは凄いFWに割られることがあったので、ノミネートした人がタックルに行こうということだけです」
──良かったことは?
「ご覧のとおりです。非常に良かったのは天候を考えると、ディフェンスが強く、エリアゲームで前に出られたことでしょう」
──選手交替のタイミングは?
「シミュレーションをいくつかしてきましたが、こう着状態でインパクトプレーヤーを出していくというプランどおりでした」
── 一般論として、見て面白いラグビーをしたいという気持ちは?
「まったくございません(笑)。誤解のないように言えば、いつもうちはワイドに攻めるのですが、雨でボールがすべる状態や風の影響を考えて、第一に勝利を目指した結果です」
○霜村誠一キャプテン
「本日はありがとうございます。去年、東芝に負けてから、チャレンジャーとしてやってきました。東芝のペースになりましたが、ハーフタイムで声を掛け合って修正し、非常に良いゲームになったと思います」
──ハーフタイムで変わったのは?
「劇的に変わったわけではありませんが、テンポアップして、プレッシャーをかけ続けたことも良かったと思います。また、吉田尚史さんがやってくれました。(飯島監督が『必ずやりますね(笑)』とフォロー)」
──試合を通して、自分たちのペースでできた時間はあったか?
「けっこうあったと思います」 |