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サントリーサンゴリアス 34-20 近鉄ライナーズ
(week9/2008年12月14日 at東京・秩父宮ラグビー場)
三洋電機・ヤマハに敗れはしているものの安定的な力を発揮しているサントリーサンゴリアスと、上位チームとの対戦がこの試合で最後になる近鉄ライナーズとの試合に、気温5.4度と真冬並の雨上がりの秩父宮に3,000名強のファンが集まった。
近鉄ライナーズのキックオフで始まった試合は、ぬかるんだグランドコンディションのため両チームともキック中心の攻撃。近鉄ライナーズFWはスクラム・ブレイクダウンの強さを見せサントリーサンゴリアスと互角の戦いとなった。
近鉄は、前半6分:左中間22m付近でペナルティーを得て、10番ヒルゲンドルフがPGを成功させ3-0。サントリーも前半11分:右中間30m付近でペナルティーを得て、12番ニコラスが落ち着いてPGを決め3-3。近鉄のディフェンスは堅く、サントリーがオープンに展開するも、なかなかゲンラインが越えられず。一方サントリーもBKラインの厳しいタックルでゲインを許さないロースコアーのゲーム展開となった。
前半17分・23分とお互いにPGを決め同点のまま、次第に近鉄陣内での攻防が多くなる流れになるなか、近鉄も反撃しハーフライン付近のペナルティーからタッチキックにより、サントリー陣内5mでのマイボールラインアウトのチャンスがあったが、サントリーにスティールされ、チャンスを逃した。
一方、サントリーも前半40分に近鉄のラインオフサイドからPGのチャンスを得たものの、名手ニコラスが外し、前半は6-6の拮抗したゲームとなった。
日差しも出てきた後半、5分でグレーガンと交代に、ここ3試合インパクトプレーヤーとなっている成田を投入し、攻撃のテンポを速めたサントリーは、近鉄のゴールラインに迫る場面が多くなる。後半8分に右サイドに展開、逆サイドからライン参加した小野澤がゴール寸前でタックルされ倒されたところに、バックアップしてきた角濱のもつれ倒れ込んだ膝が小野沢の頭に当たりレッドカードで退場となり、近鉄はその後14人での戦いを強いられる。
人数的にも優位になったサントリーは、11分に交代で入った曽我部がボールを動かし、後半15分:近鉄ゴール前5mスクラムから、NO.8の右サイド攻撃を意識していた近鉄ディフェンス陣の裏をかき、左サイドに走り込みディフェンスラインの間をつき左中間に先制トライ。ゴールも決まり13-6。後半19分:近鉄陣内22mのラックから、また曽我部が近鉄ディフェンスラインのミスマッチをつき、裏に抜けたところで、タックルを受けながら6番ハビリにつなぎ右中間にトライ。ゴール成功し20-6。
ここで近鉄はゲームの流れを変えるために、9月14日以来のバツベイと、SOに佐久間を投入するが、14人のハンディは大きく、後半22分、24分といずれもニコラスが技ありのインゴールへのキックパスでトライを重ねゴールも決まり、34-6とワンサイドゲームになるかと思われた。
しかしここから14人の近鉄が意地を見せ、後半36分:22m付近のラックから右に展開し後半20分に入ったCTBマイレーが山下のインサイドを突き、裏に出たところで4番トンプソンにつなぎ初トライ。ゴールも決まり34-13。ノーサイド寸前には、左サイドのラックから右に展開し、またマイレーが抜けだしトライ。ゴールも成功し、34-20となったところでノーサイドとなった。 両チームとも、悪コンディションであったものの、ハンドリングミスも少なく、ハードタックル・ブレイクダウンの攻防等引き締まったゲームであった。(児玉 隆一郎)
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◎近鉄ライナーズ
○ピーター・スローン ヘッドコーチ
「前半、FWが善戦して、サントリーをノートライに押さえ、6-6の同点としたが、後半、WTB角濱が退場となり、15人対14人で戦わざるを得ず、敗戦となった。残念な結果だ」
──後半8分のWTB角濱が退場処分となったペナルティについては?
「WTB角濱の退場となった反則は、まだ、ビデオを見ておらず、コメントできない。悪質なペナルティを確認すれば、チームとして謝りたい」
──SOにヒルゲンドルフを初先発として起用した理由は?
「ヒルゲンドルフは、大きな手術をしてこれまで治療していたが、試合に出られる程度まで、十分回復した。今日の試合はキッキングが主体のゲームになると思われ、ヒルゲンドルフを起用した」
○ルーク・トンプソン主将
「後半の退場となった反則は残念だが、サントリー相手に、前半、FWのブレークダウンでも善戦し、同点で進められたことはチーム全員がプライドをもつことができる試合だった」
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◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督 「最後に近鉄にトライを2本取られたことを除けば、4トライで勝ち点5を取ることができ収穫のあった試合だ。チームとしても、おおむねプランどおりに機能していた」
「後半、SHを成田に、SOを曽我部に代えて、テンポが良くなり二人の良さが出た。今後、80分間、その良さが出せるかどうかが、課題とも言える」
「前半、近鉄はよくがんばっていたが、近鉄の前半同点の善戦は予想の範囲内。以前のサントリーのような、勝てる試合でも、前半、リードされるような悪いクセが出た」
「後半、15人対14人になってからトライを連取したが、相手が14人になったことは、あまり直接的には影響はなかった。サントリーの選手も、あまり近鉄の選手の人数の足らないところを攻めていなかった」
○成田秀悦選手=マン・オブ・ザ・マッチ(山下大悟主将は負傷のため、記者会見欠席)
「前半、6-6の同点だったので、後半、試合の流れのテンポを変えるように指示されて、後半5分にグレーガンから交替した。テンポを変えることを意識しながらプレーした。試合ではSOの菅藤さん、曽我部さんからの敵のポジショニングなどについてのアドバイスを生かせることができた」
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