NECグリーンロケッツ5点リードで迎えた後半35分、東芝ブレイブルーパスはPG射程圏内でPKを得たが、逆転とボーナスポイント(4トライ目)を賭けてタッチキック。モールを組んでトライ、のはずのラインアウトをNECに奪われSO安藤の大きなキックでハーフラインまで戻された時、残り時間はもう3分を切っていた。東芝最後の攻めで、SO廣瀬主将が放ったパスをNEC LO浅野主将がインターセプト。快足WTB窪田に繋がった瞬間、東芝の選手はもう誰も追いかけられなかった。キッズシートやラジオ・リスナーデーも手伝って多くのファンが集ったこの日、単なる「ダメ押し」以上の意味を持った最後のトライに、秩父宮は大相撲で座布団飛び交う取り組み後のような騒然とした雰囲気に包まれた。
この日のハイライトは東芝FL中居が一時退場となった後半12分から20分位の間である。
前半で5-21と大きくリードされたNECはこの間に、怒涛の3連続トライ(ゴール)を奪って一気に26-21と試合を引っくり返した。中でもフィジー代表FLサウカワは、ラックの真上を突破して一気に走り切ったものと、SH辻のパスに走りこんでディフェンスを突破、東芝FB立川の頭を越すショートキックを自らインゴールで押えたもの、2つのトライで逆転の立役者となった。このサウカワとNO8箕内、FLマーシュという強烈な3列目、辻をリザーブに回して先発した立教大卒初のトップリーガーSH西田、強いタックルでチームに貢献した首藤、後半4連続ゴールで東芝にプレッシャーをかけた安藤などの選手が活躍した。
2連敗と調子を落としていたNECが、ケガ人も戻って調子が出てきた東芝に勝ったことで、プレーオフ出場を賭けた順位争いが非常に面白くなってきた。(米田太郎)
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瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
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NECグリーンロケッツ 33-21 東芝ブレイブルーパス(1月19日)
◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督 「今日もたくさんの応援のなか、自分たちのラグビーをお見せすることができず、申し訳なく思っています。残りの試合、頑張っていきたいと思います」
――ラスト10分のイメージは?
「基本的にNECさんとの試合は立ってプレーしたいのですが、今日はうまく相手に倒されてしまいました。自分たちがスペースを広く使うことができなかったのが反省点です」
――(次節の)トヨタ戦は?
「トヨタさんは個人の能力が高いし、夏にやった選手に聞いても接点が強いとのことです。僕たちもそこは強いという自負がありますし、そこで負けないということです。組織力は東芝のほうがあると思います」
○廣瀬俊朗キャプテン 「僕らも、まだまだラスト二つ勝てばチャンスがありますので、今日の負けは素直に認めて、次、頑張っていきます」
――勝ちゲームだったのでは。
「後半の最初、ちょっと受けたのではと思います。シンビン二つも痛かったです。完全に崩されたわけではないが、獲られたのは大きな反省点です。後半ラストは、もう一回チャンスが来ると分かっていたのですが、そこで獲れなかったのが敗因です」
――PGを狙わなかったのは?
「まあ、3トライだったということもありますが、攻めて勝とうと言っていたし、PGでなく勝とうということでラインアウトを選択しました。NECさんはそんなに特別と思わなかったし、自分たちのやることをできればと試合中は思っていましたが、局面でのミスが思っていたよりありました」
――ラスト10分は?
「まあ、獲られて1本、あと2本は‥‥。正直、まだ整理がつきません。あまり3本続けて獲られたことがないので。しっかりビデオを見て反省します」
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細谷監督(左)、浅野キャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○細谷直監督 「我々は先週サントリーさんに負けて、崖っぷちで、残り15ポイント取らないといけない状況でした。この間の試合では外国人を二人入れて、FWでプレッシャーをかけることができましたので、今日も同様にメンバリングしました。今日は、まず、4トライ獲ろうという気持ちが功を奏したと思います。前半、風下で3トライに抑えて折り返し、ハーフタイムに選手一人ひとりが意思統一できたのが後半の逆転につながったのかと思います。まだまだ、崖っぷちは変わりませんので、次の試合も頑張ります」
――NECのトライ量産は。
「もともとキープ率は低くなかったのですが、獲りきるまでの意識がチャンスのときに、ちょっと散漫でしたので、今日は攻めるしかなかったことが集中力を生んだのではと思います。ペナルティからのセットが東芝さんは若干遅いと見ていたので、ラックを制したペナルティからの速攻は予定通りでした」
――グレンもボールに絡まず、まず相手を倒していたが?
「全員、まず、相手をグラウンドに倒すことを徹底したプランでした。絡めなかったらすぐに立って次に備える、我慢、と選手たちには徹底しました」
○浅野良太キャプテン
「今日は本当にたくさんの人に応援していただいて、本当に励みになりました。ありがとうございます。5ポイント取ることを最大の目標に掲げてやりました。トップ4の可能性が出て来ますので。相手のポイントは関係なく5ポイント取ることにフォーカスして臨みました。一人ひとりが頑張りぬいて、アタックもディフェンスも動き続けたことが勝因です。ハーフタイムでは、前半に一人ひとりを倒す意識が薄かったので、一人目が必ず倒すことを徹底しました。アタックは、後半3トライを獲りに行くことを徹底しました。前半のクイックタップは予定通りです。また、カウンターラックの意識が高いことが東芝さんの武器ですので、ハーフタイムにこちらの低さと味方を使う意識を徹底しました」
――それでもターンオーバーされたが。
「自陣からも攻めていくのが今日のプランでしたので、その分、リスクを負うことは頭に入っていました。獲られたことはネガティブに考えることはありませんでした」
――ご自身のインターセプトは?
「ははは(笑)。最初、後ろを見たら誰もいなかったので‥‥。うまく(窪田)幸一郎が上がってきてくれたので助かりました(笑)」
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