前節とはうってかわり、素晴らしい秋晴れとなった日曜日。第二節は昨年度上位陣と下位チームの戦いとなる。
試合開始直後は、サントリーがフェイズを重ねてじりじり攻撃を継続するも、IBMのディフェンスが固く、突破することができない。スクラムでも優勢に立つサントリーが前半5分、IBM陣内10m付近でコラプシングの反則を得ると、WTB栗原がまずはPGを決めて先制。(0-3)11分にはIBMゴール前のラックからNO.8 ブレント・トンプソンが飛び込んで右隅にトライ。難しい角度のコンバージョンも成功し、点差を広げる。(0-10)
ここまで攻撃の機会のなかったIBMだが、攻撃を開始すると、16分にはサントリーG前でペナルティを得て、PG成功。(3-10)
地力で勝るサントリーがその後も力強く試合を展開し、22分にFL阮が粘り腰でタックラーを振り切り中央にトライ。(G成功3-17)さらに前半終了直前38分にはハーフウェイ付近のラインアウトからCTBジャック・タラントの、この日何度も披露した軽やかに前進して最後はオフロードでつなぐというプレーよりWTB小野澤へつなぎ、最後はFB有賀がトライ。G成功し3-24となったところで試合の趨勢はほぼ決定した。
後半に入ってもサントリーは開始直後のノーホイッスルトライを皮切りにセットプレーからBKへ、BKからFWへのリターンパス、とFW・BK一体となった柔軟な展開力を見せ、4トライをあげた。IBMは後半4分にトンガ代表NO.8フィリピーネがインターセプトから40mを走りきったトライとPG一本を返したのみ。
IBMも中盤にいくつかの攻撃機会を得て、フィリピーネが突進するも、被ターンオーバー、ノッコンなど攻撃が継続できなかったことは、他三列陣の動きが良かっただけに、残念である。逆に言えば、相手のミスを誘うまでの執拗なディフェンスを継続したサントリーが一枚上手であり、トップリーグ上位陣と対決する今後が楽しみである。
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安藤ヘッドコーチ(右)、高キャプテン
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日本IBMビッグブルー 13-52 サントリーサンゴリアス(11月4日)
◎日本IBMビッグブルー
○安藤裕樹ヘッドコーチ 「第1節に引き続きたくさんの方々がグラウンドに来てくださって、ありがとうございました。結果から見ると点差も開いてしまいましたが、選手は相手がどうであれ80分間、自分たちのラグビーをしようと臨みました。前半はアタックもうまくいき、サントリーさんの出足も良くなかったので、後半も積極的に行けると送り出しました。ディフェンスも健闘し、後半も自分たちの形はある程度できていたのですが、ブレイクダウンからボールポゼッションでかなり支配され、自分たちで自分たちのきついところへ追い込んでしまったという印象です。この部分は残念です」
――どのようなプランで。
「サントリーさんのミスを誘って接戦に持ち込みたかったのですが、ボール保持の点でサントリーさんは個々の力がある上に、ボール確保にどの選手も動いていました。その分、徐々に差が開いたと思います」
――ディフェンスの評価は。
「システムより、まず接点でどれだけプレッシャーをかけてサントリーさんのペースに持ち込まないようにするかという練習にこの1週間、フォーカスして来ました。インサイドをブレイクされたのはどうしても追いつけないのか、別な理由だったのか検証します。前半は比較的プレッシャーをかけて球出しを遅らせられたのですが、後半、徐々に受けてしまいました」
○高忠伸キャプテン
「前節は台風の中でしたので、今日は晴れて楽しかったです。サントリーさんの接点の強さに受けてしまい、徐々にボディーブローが効いてきてやられたという感じです。ワークレートの量と質を上げていかねばならないと感じました」
――試合途中のディフェンスは粘っていたが。
「あの時間、まず、ディフェンスでリズムが作れて、その後、アタックで"欲"が出てしまいました。欲が出ることと勝負をかけるのはニュアンスが違います。良く言うと、勝ちを意識しすぎたということです。どうしても早くスコアを縮めたいという気持ちが出てしまいますが、まず、徐々にでも地域を取っていかないと」
――サントリーはうまいのか、強いのか?
「両方ですかね。バックスは速いし、フォワードは一人ずつすごく従順でどちらかというと、今日はフォワードにやられたという印象です」
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清宮監督(右)、大久保ゲームキャプテン |
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◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督
「スクラム、モール、セットプレーでフォワードがこだわって、バックスは外のスペースにこだわったのですが、すべてあまりうまくいかなかったので、途中からプランを変えて何トライか獲れたというゲームでした。ラグビーはこういうゲームをしようと思っても思い通りにいかないのが普通で、点は50点オーバーしましたが、こんなもんかな。次、ステップアップする反省点も見えたので有意義なゲームでした」
――ディフェンスの評価は。
「何もない(苦笑)」
――今シーズンの戦い方は。
「30人くらいで戦って行きたいと思っています。プレーオフで勝たないと意味がないし、かと言ってリーグ戦も勝たなければいけないし」
――オールブラックスと同じように?
「まあ、2つの同等なチームというのは無理で、順番がつくと思います。15人でちゃんとしたチームをつくることになります」
――日本のラグビーを考えて、足りないところは?
「やはりそれぞれのチームが色を出して戦っていくことが必要だと思います。14チームがすべて同じカラーで戦うのはあり得ません。サントリーも去年一年で作ったベースはまだ低いので高めていきたいと思います」
――栗原選手のゴールキックが良かったが。
「ウィルキンソンのキッキングコーチを呼んで成果がありました。現在世界最高のコーチで、大久保まで目覚めてしまった(笑)。(「目覚めてない、目覚めてない」と大久保選手。)こういうスキルは日本全国で共有したいですね」
○大久保直弥ゲームキャプテン
「今日はありがとうございました。厳しいゲームでした。点差ほどの力の差はないと思います。IBMさんの接点の激しさから学ぶべき点があります。先週出ていないメンバーが意欲的に活躍してくれました」
――後半、チームがうまくいかなかったのは?
「良いところまでボールを持って行けていますがフィニッシュまで行けていない。相手も22mに入ったら集中しますし、獲れてしまえば一番いいんですが、そうそう獲れるわけがないのを前提に、いかにボールをキープしながら戦っていくかです。そういう意味では、あれは大切な時間帯でした。欲をいえば5m、10m以内のときはフォワードでガツガツ行ければ良いのですが、もっと勉強します」
――ラインアウトのペナルティが多かったが。
「気を抜いたわけではありませんが、意思疎通の面で問題がありました。相手のディフェンスを意識しすぎて自滅した感じです。目で合図したら取れるくらいの、この辺りだったらこういうプレーをしようという意思疎通が必要です」
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