リーグ戦第6位のヤマハ発動機と第7位の近鉄の対決。ヤマハスタジアムで行われたレギュラーシーズンの対決では、ロスタイムにヤマハ発動機の致命的なパスミスから近鉄が決勝点を奪い接戦をものにしている。日本選手権出場を賭けたワイルドカードトーナメント2回戦は、晴天ではあるが冷たい木枯らしの吹きすさぶ花園ラグビー場で、近鉄のキックオフで開始された。
試合は接戦を予想した大方の予想に反し、開始直後から一方的なヤマハ発動機ペース、前半3分にFB15番五郎丸がゴール前40mのPGを決めて先制した後、11分にSH9番池町がゴール前中央のラックサイドを突いてポスト左にトライ、ゴールも成功して10-0とした。さらに15分、21分とBKが展開して立て続けにトライをあげ、ヤマハ発動機が早くも24-0と試合の主導権を握った。スクラムで優位に立ったヤマハ発動機は接点やセットプレイでターンオーバーを繰り返して近鉄に攻撃のきっかけを与えず、アタックでもCTB12番サウらを中心に近鉄の防御網を切り裂いていく。一方、近鉄は数少ない攻撃の場面でもハンドリングミスが目立ち、打つ手のない状況が続いた。その後ヤマハ発動機はさらに1T1PGを加えて32-0とし、近鉄は前半終了間際にPR3番成が1トライを返すに留まった(32-5)。
後半に入ってもヤマハ発動機の勢いは止まらず、FW・BK一体となった攻撃で30分までに4Tを加え、58-5とほぼ勝利を確定させた。近鉄は34分にようやくこの日2本目のトライをWTB22番坂本があげるが(ゴール成功し58-12)、時すでに遅く、その後も攻撃の手を緩めないヤマハ発動機はさらに2T1Gを加えて70点の大台に乗せた(70-12)。
勝利チームが日本選手権に臨み、敗戦チームはシーズン終了という両チームにとって最も重要なゲームはヤマハ発動機の一方的なものとなり、前半半ばで観客の興味を失わせることとなった。レギュラーシーズン終盤からワイルドカードトーナメントとハードなゲームの続いた近鉄にとっては悔いの残る内容であったが、来シーズンに向けた新たなスタートに期待したい。一方、ヤマハ発動機の日本選手権1回戦の相手はパナソニック、レギュラーシーズンで敗れた相手だけに、捲土重来、台風の目となって果敢に4強に挑むことを期待したい。
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