前節まで5勝5敗と五分の星で第7位の近鉄と、初昇格後3勝7敗で第11位と苦戦しているキヤノンとの戦い。近鉄はプレーオフトーナメント、キヤノンはワイルドカードトーナメントへの進出に向けて、それぞれ望みをつなぐための重要な一戦は冬の曇り空の下、近鉄のキックオフで開始された。
試合は序盤から近鉄ペースで進み、CTB12番 イエロメを中心にBK陣がワイドに展開するライン攻撃で4分に左WTB11番 森田が左中間、7分に右WTB14番 ギアが右隅に立て続けにトライをあげて、早々に12-0とリードした。一方キヤノンも接点近くでの密集戦に挑み、12分に巨漢No.8ソンゲタがラックサイドを衝いて左中間に押さえた。(12-7)
その後、近鉄は着実に1T1G1PGを重ね、逆にキヤノンを1PGに抑えて22-10と近鉄リードで前半を終えた。
後半も先制したのは近鉄。開始直後の1分、前半同様スピードのあるBKがパスをつないで最後は左WTB11番 森田が左隅にトライをあげ(27-10)、このままキヤノンを引き離すかと思われた。キヤノンは5分に1トライを返した後、11分には自陣22メートルライン付近でSH9番 福居が相手ボールをインターセプトし、BK陣で80メートルを逆襲して最後はSO10番 ブルースが中央に押さえ27-20と近鉄を追い上げた。しかしその後は双方が交互にトライを奪い合う乱打戦で、後半28分にはキヤノンによるゴール前での執拗なモール攻撃に耐えかねた近鉄が反則を繰り返し認定トライ、37-36とキヤノンが1点差まで迫ったが、最終的には近鉄が44-39で辛くも逃げ切った。
薄暮のスタジアムに集まった4,500人の観衆にとっては手に汗握る熱戦と言えなくもないが、両チームには得点直後に失点を繰り返すという大味な試合展開であった。特にキヤノンは試合終了間際にSO10番 ブルースが1PGを決め、5点差としてボーナス・ポイントを獲得しつつ、土壇場での逆転を狙ったことは意義深いが、1点差に迫っていた後半31分にFKから近鉄No.8 19番 ラトゥイラにタップキックからトライを許すなど、やや集中力に欠ける場面があったことも否めない。リーグ戦も残り2試合、キヤノンはワイルドカードトーナメント入り(10位以内)を目指して、このあたりの修正が不可欠である。
MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)は、BK中心にあげた5Tの大部分にかかわった近鉄15番 キャプテン高忠伸に贈られた。
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