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10節 マッチサマリー(キヤノン 26-34 トヨタ自動車)

キヤノンイーグルス 26-34 トヨタ自動車ヴェルブリッツ
【week10/2012年12月9日(日)/徳島 鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム】

 

第10節最終日の キヤノンイーグルス対トヨタ自動車ヴェルブリッツの一戦が、2年ぶり5回目となる徳島県で2,408人の観衆を集めて開催された。試合前は、小雪が舞うほどの冷え込みと強い風にも負けず、タグラグビーや体験教室が、子どもたちの元気な声と大人たちの歓声の中で行われた。そして、「シェイクハンズ」に参加したサポーターと選手の皆さんの暖かい交流もあり、試合開始前には、鳴門の空も明るくなり始めた。

キヤノンのキックオフで始まった前半、緊迫した空気の中で両チームともエリアマネージメントの意識が高く一進一退の状況が続く中、最初に敵陣で仕掛けトライまで生かしたのはトヨタであった。22mL左ラインアウトからSOブレットが個人技でライン裏に抜けだしFB遠藤が右中間に先制トライ(12分)。25分には、キヤノンNO8竹山がゴール前5mのPKから相手の低いタックルを飛び越えトライ。ゴールも決まりキヤノンが7対5で逆転する。

29分、トヨタ自動車の好タッチからラインアウトを起点に、元NZ代表の左FLカイノがライン突破し、好フォローしたSOブレットが右中間にトライ。ゴールも決まり12対7となる。その後も、世界トップレベルのカイノがチームにマッチしてくると、脅威となる予感を感じさせるプレーが随所に見られた。
36分には、キヤノンが敵陣10mL右ラインアウトから、NO8竹山がSHの位置から走り込むサインプレーが見事に決まり、左FL清水がライン際を走り右隅にトライ。ゴールは決まらず12対12の同点になり、観衆は大いに盛り上がりを見せた。38分には、流れを変えるSOブレットのインターセプトが決まり、前半をトヨタ自動車がリードの19対12で折り返した。キヤノンにとっては、厳しい時間帯での痛い点の取られ方であった。

後半に入ると、2分には、SOブレットが巧みなステップで仕掛け、左WTB14番水野のトライ。8分には、SOブレットがインターセプトから40m独走し、右隅にトライを加え19点差がつく。左LO谷口や右FLカイノらのビッグゲインもあり、ゲームはトヨタのペースで進み、勝負あったかに思われたが、キヤノンは、あきらめない姿勢を貫き積極的な仕掛けを続けた。

そして、23分には、連続攻撃から左CTB三友がインゴールに飛び込み、続いて、33分には、自陣ゴール前から左オープンに展開し、FB橋野が鋭いステップで敵陣まで走り途中交代の右WTB大居がトライし、ゴールも決まり31対26の5点差となった。俄然勢いの出てきたキヤノンであったが、36分には、ホールディングの反則からトヨタ自動車SOブレットにゴール正面25mのPKを慎重に決められ8点差と引き離されノーサイドを迎えた。

キヤノンにとっては、最後のPKに象徴されるように、大事な場面での反則やミスがゲームの流れを変えられず、惜しい試合であった。最後まであきらめない新鋭キヤノンの、さらなる進化を応援していきたい。
トヨタ自動車も勝つには勝ったが、このゲームに関しては個人技に頼っている感は否めない。タックルの精度やリアクションなど課題を修正して、カイノ、ブレット、菊谷など豪華なタレントが一丸となり、是非、日本の頂上を目指してほしい。

最後に、徳島の地で、スリリングな熱いトップリーグの試合が行われ、多くの感動と夢を与えてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいである。残り試合に向けて、両チームが最大のパフォーマンスを発揮できるよう応援し続けたい。

 
会見ダイジェスト
キヤノンイーグルス
永友監督(左)、和田キャプテン
永友監督(左)、和田キャプテン

■キヤノンイーグルス
永友洋司監督

「すばらしいグラウンドで多くの応援もいただき、いい環境でできたことに感謝しています。風がポイントになったが、試合に関しては、勝ちきれなかったのは、前半残り5分と後半最初の5分に凝縮されていたと思います。チャンピオンチームは、大事なところでの点の取り方を知っています。トヨタ自動車からトライを取ったことは、選手の愚直な取組につきます」

──風がポイントと言うことだが、具体的にどのようなことを指示したのか。

「後半追い風のプランニングで、エリアを取っていこうとしましたが、最初にインターセプトでトライを取られ焦りが出ました。ブレット選手の対策はしていたつもりですが、スキルも高く、ブレイクした回数や走る距離などを抑えることができなかったことが敗因としてあげられます」

和田拓キャプテン

「いつも、多くの応援が来てくれて感謝しています。ミスが多く、やらなければならないことができていませんでした。負けたことが、すごく悔しいです。勝ちきれるチームにしていきたいと思います。精度を上げて残りの試合を頑張りたい」

マン・オブ・ザ・マッチ
スティーブン・ブレット選手(SO)
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
廣瀬監督(左)、菊谷ゲームキャプテン
廣瀬監督(左)、菊谷ゲームキャプテン

■トヨタ自動車ヴェルブリッツ
廣瀬佳司監督

「ボールをクイックに動かしたかったのですが、キヤノンの低いタックルに苦しめられ、リズムに乗れませんでした。ボーナスポイントを取れたことは大きいですが、課題も多く修正していきたいです。次の福岡サニックス戦も頑張りたいと思います」

菊谷崇ゲームキャプテン

「寒い中、多くの応援に来てくれた人に感謝しています。ブレットの個人技に助けられました。トヨタ自動車の目指すラグビーが十分にできていないと思います」

──今日の課題は?

「ディフェンスは1対1で外されることもあり、タックルが十分ではなく、気持ちが空回りしてリズムに乗れていませんでした。この点は修正していきたいと思います」

──後半終盤に追い上げられた場面を振り返ってどうですか。

「いい場面もありましたが、ボールの継続を絶たれ、リズムに乗れませんでした。最後のトライはリアクションが悪かったです」



2012年12月14日

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