第10節最終日の キヤノンイーグルス対トヨタ自動車ヴェルブリッツの一戦が、2年ぶり5回目となる徳島県で2,408人の観衆を集めて開催された。試合前は、小雪が舞うほどの冷え込みと強い風にも負けず、タグラグビーや体験教室が、子どもたちの元気な声と大人たちの歓声の中で行われた。そして、「シェイクハンズ」に参加したサポーターと選手の皆さんの暖かい交流もあり、試合開始前には、鳴門の空も明るくなり始めた。
キヤノンのキックオフで始まった前半、緊迫した空気の中で両チームともエリアマネージメントの意識が高く一進一退の状況が続く中、最初に敵陣で仕掛けトライまで生かしたのはトヨタであった。22mL左ラインアウトからSOブレットが個人技でライン裏に抜けだしFB遠藤が右中間に先制トライ(12分)。25分には、キヤノンNO8竹山がゴール前5mのPKから相手の低いタックルを飛び越えトライ。ゴールも決まりキヤノンが7対5で逆転する。
29分、トヨタ自動車の好タッチからラインアウトを起点に、元NZ代表の左FLカイノがライン突破し、好フォローしたSOブレットが右中間にトライ。ゴールも決まり12対7となる。その後も、世界トップレベルのカイノがチームにマッチしてくると、脅威となる予感を感じさせるプレーが随所に見られた。
36分には、キヤノンが敵陣10mL右ラインアウトから、NO8竹山がSHの位置から走り込むサインプレーが見事に決まり、左FL清水がライン際を走り右隅にトライ。ゴールは決まらず12対12の同点になり、観衆は大いに盛り上がりを見せた。38分には、流れを変えるSOブレットのインターセプトが決まり、前半をトヨタ自動車がリードの19対12で折り返した。キヤノンにとっては、厳しい時間帯での痛い点の取られ方であった。
後半に入ると、2分には、SOブレットが巧みなステップで仕掛け、左WTB14番水野のトライ。8分には、SOブレットがインターセプトから40m独走し、右隅にトライを加え19点差がつく。左LO谷口や右FLカイノらのビッグゲインもあり、ゲームはトヨタのペースで進み、勝負あったかに思われたが、キヤノンは、あきらめない姿勢を貫き積極的な仕掛けを続けた。
そして、23分には、連続攻撃から左CTB三友がインゴールに飛び込み、続いて、33分には、自陣ゴール前から左オープンに展開し、FB橋野が鋭いステップで敵陣まで走り途中交代の右WTB大居がトライし、ゴールも決まり31対26の5点差となった。俄然勢いの出てきたキヤノンであったが、36分には、ホールディングの反則からトヨタ自動車SOブレットにゴール正面25mのPKを慎重に決められ8点差と引き離されノーサイドを迎えた。
キヤノンにとっては、最後のPKに象徴されるように、大事な場面での反則やミスがゲームの流れを変えられず、惜しい試合であった。最後まであきらめない新鋭キヤノンの、さらなる進化を応援していきたい。
トヨタ自動車も勝つには勝ったが、このゲームに関しては個人技に頼っている感は否めない。タックルの精度やリアクションなど課題を修正して、カイノ、ブレット、菊谷など豪華なタレントが一丸となり、是非、日本の頂上を目指してほしい。
最後に、徳島の地で、スリリングな熱いトップリーグの試合が行われ、多くの感動と夢を与えてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいである。残り試合に向けて、両チームが最大のパフォーマンスを発揮できるよう応援し続けたい。
|