ラグビートップリーグ下剋上戦国時代へ突入!!
第1試合はトヨタ自動車ヴェルブリッツが逆転の1点差で昨年度トップ4のNECグリーンロケッツを下したためか、試合前のスタジアムはざわついて異様な雰囲気の中にあった。
昨年度、トップリーグと日本選手権の2冠を取ったサントリーサンゴリアスと3年ぶりにトップリーグに返り咲いた九州電力キューデンヴォルテクスの試合は、サンゴリアス恒例の試合前の全員ダッシュから両チームが円陣を組んで気合を入れて各自ポジションへ散らばった。
試合前にこれから起こる光景をだれが予想したであろうか。
キューデンヴォルテクスのキックオフで試合が始まった。
2分サンゴリアスがCTB12番ニコラス選手のオフロードパスを受けたFB15番有賀選手からSO10番ピシ選手へパスが渡り、走り込んできたWTB14番長友選手がスピードで突破してキューデンヴォルテクスのディフェンスがついていけずに中央へトライ。CTB12番ニコラス選手がゴールキックを決めて7-0。
6分キューデンヴォルテクスがトライを取られた後、敵陣でのバックスの連続攻撃でサンゴリアスの外側のディフェンスが薄くなり、WTB14番吉田選手が右隅へトライ7-5。
10分キューデンヴォルテクスのラックからWTB11番早田選手がSHの位置でボールを受けて密集をかいくぐって抜け出し、FL7番平田選手へパスをしてその外側をフォローしたLO4番浦選手がインゴールへなだれこんで左隅へ逆転のトライを奪ってスタジアムがどよめく7-10。
16分サンゴリアスのラインアウトからPR3番畠山選手がラックサイドをついて再逆転トライで左25mのゴールキックをCTB12番ニコラス選手が決めて14-10。
27分サンゴリアスの猛攻撃を何とかタックルでしのいでいたキューデンヴォルテクスのディフェンス。ラックから9-10-12-13-11とバックスのライン攻撃についていけずWTB11番小野澤選手がトライで中央のゴールキックをCTB12番ニコラス選手が決めて21-10。
29分サンゴリアスのオフサイドのペナルティからFB15番荒牧選手が速攻でサンゴリアスの不意をついて最後はショートパントを自ら拾って左隅へトライをあげる。SO10番齊藤選手がポストに当てながらゴールキックを決めて21-17。
37分キューデンヴォルテクスのノットロールアウェイのペナルティをPR3番畠山選手がクイックスタートして自ら持ち込んで中央左側へトライ。ボーナスポイントを取ると共にひょっとしたらという思いを断ち切らせたかに思われた。ゴールキックはCTB12番ニコラス選手が決めて28-17。
後半はサンゴリアスのキックオフで始まった。
9分キューデンヴォルテクスのノーボールタックルで22m中央からペナルティゴールを狙ってCTB12番ニコラス選手が決めて31-17。徐々にサンゴリアスのペースになっていくように思われた。
14分キューデンヴォルテクスが敵陣10m付近のペナルティをSH9番プライス選手からNo8 19番ルアマヌ選手が突進して力ずくでトライを奪ってキューデンヴォルテクスもボーナスポイントをゲットした。ゴールキックは惜しくもポストに嫌われた。
16分キューデンヴォルテクスはFB15番荒牧選手がペナルティからのクイックスタートからFL7番平田選手へパスで縦突破して、荒牧選手が回り込んでパスを受けて中央へトライをあげ、SO10番齊藤選手がゴールキックを決めて31-29。スタジアム全体がもしかしたらを思い始め、観客がキューデンヴォルテクスの応援をし始めた。
22分キューデンヴォルテクスが22m中央付近でオフサイド。サンゴリアスはペナルティゴールを狙ってSO22番ピーター選手が決めて34-29。でもまだ5点差でキューデンヴォルテクスは2つ目のボーナスポイント圏内にあり、緊迫した状態がノーサイドまで続いた。
あとひとつ攻めきれなかったキューデンヴォルテクスではあったが、後半は完全に主導権を握り5トライをあげてトライ数では上回ったが、試合巧者のサンゴリアスが後半ノートライながら辛うじてペナルティゴールで逃げ切って暫定首位になった。
試合後のロッカー前では元気で「惜しかった」と口々に言うキューデンヴォルテクス選手に比べて、下を向いてうなだれていたサンゴリアスの選手にどっちが勝ったチームかわからない状態。またキューデンヴォルテクスは観客の心を完全に鷲掴みにしていた。
マン・オブ・ザ・マッチはボールを保持すると確実にゲインラインを突破し、自らの判断で勝利を呼び込んだトライを含めて2トライをあげたPR3番畠山健介選手が選ばれた。 今日の試合は、昨年度のNZワールドカップで日本代表選手が敗者チームでマン・オブ・ザ・マッチを取ったように、九州電力キューデンヴォルテクスの選手にマン・オブ・ザ・マッチを与えたくなるような試合内容であった。
今年は確実に上位チームと下位チームの差が縮まっていた。
次節のサントリーサンゴリアスはまだ勝点のないリコーブラックラムズと9月14日(金)にナイターで東京秩父宮ラグビー場で対戦。勝って首位をキープしたい。
また、九州電力キューデンヴォルテクスは9月16日(日)にナイターで、逆転でNECグリーンロケッツを破ったトヨタ自動車ヴェルブリッツと愛知・瑞穂公園ラグビー場で対戦。今シーズンの初勝利を目指す。(奥山 禎晴)
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