神戸でのトップリーグ開幕初開催は、"阪神ダービー"の一言では表わし尽せない伝統のカード【神戸製鋼v近鉄】。
キャンプでの成果を試すがごとく、キックによるエリアマネジメントを控え、積極的なオープンプレーと激しいブレイクダウンを繰り返す両チーム。
執拗に攻める神戸製鋼に対し、ダブルタックルで撥ね返す近鉄の構図だが、接点での間合いを詰めDFする分、近鉄に余裕が感じられる展開。
ジリジリとゲインラインを押し上げる近鉄は13分、SO大西がPGを決め0-3と先制。その後も基本のDFラインが崩れない近鉄は、ケアレスミスからしばしば付け込まれるものの、神戸製鋼に決定的な場面を与えず前半を最小限のリードで折り返す。
後半の入り方も近鉄が主導権を握るものの、夏場特有の汗によるハンドリングミスからチャンスを潰してしまうのに対し、神戸製鋼はセットプレーからの1stアタックをキック主体に切り替え徐々にリズムを掴む。
51分のPGチャンスをモノにした神戸製鋼が追いつくと(3-3)、55分にノット・ロール・アウェイからのPGを大西が決めた近鉄が突き離す(3-6)。
ボールキープで優位に立つ神戸製鋼は、58分に近鉄のラインオフサイドを誘発し6-6の同点に追いつき、ラスト20分。
ゲームの興味は、アタックで優位に立つ神戸製鋼と巧みなモールコントロールで対抗する近鉄が、如何に均衡を破るかだったが、68分、75分にPGを決め勝ち越した神戸製鋼が流れを掴みリードする。
ラスト5分、1T・1Gで逆転の攻防の中、流れを近鉄に渡さなかったのはCTBフーリーのDF。SOグラントのハイパントに鋭く反応し、キャッチャーを素早く狩るプレーで、近鉄にカウンターアタックの隙を与えない。79分ゴール前のモールを押し込みPR安江のトライでとどめを刺し(G成功)、19-6でタイムアップ。
3年振りに神戸製鋼が近鉄を下したゲームだったが、前半の安定したDF力に、1/13の敗戦を感じさせない期待を抱かせた近鉄。両チームに"台風の目"以上の力強さを感じた開幕戦は、新たな歴史の一ページを刻みつつ終焉を迎えた。MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)は神戸製鋼SOグラント。(廣島 治)
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