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TOPマッチレポート特別編「ワイルドカード」レビュー

共にレギュラーシーズンのリベンジに成功!
神戸製鋼とヤマハ発動機が日本選手権出場決める

18日、大阪・近鉄花園ラグビー場でワイルドカードトーナメント2試合が行われ、第1試合ではリーグ戦6位の神戸製鋼コベルコスティーラーズが前に出る圧力でリコーブラックラムズ(同7位)を終始圧倒して32-19で快勝。
一方、第2試合では近鉄ライナーズ(リーグ5位)のBK攻撃を封じたヤマハ発動機ジュビロが17-15で際どく勝利を収めた。
いずれもレギュラーシーズンの対戦では敗れていたチームが勝利するというトーナメントの醍醐味を感じさせる試合結果の末、神戸製鋼とヤマハ発動機が日本選手権出場権を獲得した。

 
リコーを圧倒した神戸製鋼は日本選手権1回戦でNECと対戦(写真は今季初めて10番をつけてチームを引っ張った正面)
photo by Kenji Demura (RJP)

 
神戸製鋼の圧力の前に思うようなプレーができずリコーは完敗。CTBノヌーにとっては苦い日本での最終戦となった
photo by Kenji Demura (RJP)

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 32-19 リコーブラックラムズ(前半18-11)──2月18日
近鉄ライナーズ 15-17 ヤマハ発動機ジュビロ(前半10-10)──2月18日

 関西地方を寒波が襲った2月第3週末。
 近鉄花園ラグビー場のある東大阪市の気温は氷点下に迫り、時折、細雪も舞う野外スポーツには厳しい条件となったが、関西の雄、近鉄ライナーズ、神戸製鋼コベルコスティーラーズが揃って出場するということもあって、約5000人の熱心なファンがスタジアムを埋めた。

 今季、共に多くのファンを引きつける戦いぶりを見せながら、あと一歩4強に届かなかった関西の2チームのうち、先にグラウンドに姿を現したのは神戸製鋼。
 レギュラーシーズンで東芝ブレイブルーパスとNECグリーンロケッツに快勝。サントリーサンゴリアスとパナソニック ワイルドナイツに敗れこそしたものの、共に最後の最後に逆転を喫した、内容的には勝敗が逆になっていてもおかしくない惜敗だった。
 リーグ戦時点でも神戸製鋼が4強ともガップリ四つに組める実力を兼ね備えたていたことは疑いのない事実だが、その一方でトップリーグ初昇格だったNTTドコモレッドハリケーンズ(リーグ戦12位)や昇格2年目のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(リーグ戦9位)など、下位チームに対する予想外の敗戦を喫したことで、結果的にはプレーオフへの道は閉ざされることとなった。

 この日、再戦するチャンスを得たリコーに対しても第9節で対戦して27-31で敗れていた。
 もちろん、悔しい気持ち、リベンジへの思いもあっただろう。
 加えて、確かにあと一歩プレーオフには届かなかったものの、リーグ終盤戦、パナソニックやサントリーを土俵際まで追い込んだことで、チーム全体がしっかりした手応えをつかんでもいた。
「もう少しで上位チームに勝てるところまで来ていたので、何とかブレイクスルーしたかった」(LO伊藤鐘史ゲームキャプテン)
「自分たちはもう次のステージに行けるチーム。日本選手権で日本一を目指していく」(苑田右二ヘッドコーチ)

 恐らくは、レギュラーシーズンでの、限りなく惜しく、そして悔しい経験を経て、名門・神戸製鋼として新たな飛躍を実現する最初のステップとなったワイルドカードでのリコーとの再戦。
 立ち上がりこそ、ミスにつけ込まれてリードを許す場面もあったものの、80分間ほぼ自分たちのラグビーを貫き通しながら、試合を支配することに成功してみせた。
 それは、試合後の記者会見でリコーのHO滝澤佳之主将が、目を真っ赤にしながら「今シーズン最後に最低のゲームをしてしまった」と語ったことからも明らかだと言っていいだろう。
「ラインアウトとスクラムで予想外にやられて、少しずつまとまりが崩れていった」(同主将)

 確かに、セットプレーでもブレイクダウンでも上回っていた印象だった神戸製鋼が鋭角的なアタックでゲインを重ねていったのに対して、リコーは切り札のCTBノヌー(マア)がボールを持つ場面がほとんどなく、たまにボールを持っても神戸製鋼の前に出る圧力に負けるかたちでエリアを取るキックを蹴ることも。
 実際、リコーが奪ったトライは、前半14分に神戸製鋼CTBフレイザー・アンダーソンにリコーCTB山藤史也が激しいタックルを浴びせたターンオーバーから、こぼれ球を拾ったWTB横山伸一が独走したものと、後半27分のラインアウトからモールを押し込んでの2本。
 最後まで、ノヌーを基軸にSO河野好光や快足バックスリーが相手ディフェンスを翻弄する今季のリコーが見せてきたBK攻撃は不発のままだった。

神戸製鋼に続いて、近鉄も最後までスタンドを盛り上げたが……

 対する神戸製鋼は時間の経過とともにセットや接点での優位性が明らかになっていったことを生かして、ラグビーの原点とも言える「ゲインラインに対してまっすぐアタックしていく」(LO伊藤ゲームキャプテン)スタイルでリズムをつくっていくことに成功。
 前半23分に相手ゴール前スクラムから最後はモールを押し込んで1本目。
 同33分にはNO8マパカイトロ パスカ、CTBアンダーソンの突破の後、フォローしたSO正面健司が悠々相手ディフェンスを振り切って2本目。
 後半開始キックオフ直後には、自陣からフェイズを重ねて攻めた後、最後はWTB濱島悠輔が右ライン際を駆け抜けて3本目。
 終了7分前には、PKから仕掛けたSH佐藤貴志の動きに反応したFL橋本大輝、WTB濱島がタテにリコーディフェンスを切り裂いて、ダメ押しの4トライ目。
 前述のとおり、「新しい神戸製鋼の歴史をつくる」(苑田ヘッドコーチ)ファーストステップとしては完璧とも言える内容での勝利。
 レギュラーシーズンでもトップ4と堂々と渡り合う試合内容を見せていた点から考えてみても、宣言どおり神戸製鋼が「日本選手権を勝ち上がっての日本一」に到達する道筋が確実に見えてきた一戦となった。

後半16分、SO大田尾の好判断からWTBに入っていた中垣がトライ。チャンスを確実にものにしたヤマハが近鉄に競り勝った
photo by Kenji Demura (RJP)

 第1試合では神戸製鋼の前に出る"ムービングラグビー"進化形に寒さを忘れさせられた花園のファンは、第2試合では地元・近鉄とヤマハ発動機の一進一退のせめぎ合いに手に汗を握るかっこうとなった。
 前半は近鉄FLレプハ・ラトゥイラ、ヤマハ発動機FB五郎丸歩がそれぞれトライを奪い、10-10での折り返し。

 後半に入って、6分、14分と、近鉄SO重光泰昌がPGを外してリードするチャンスを逃す一方、ヤマハ発動機はワンチャンスをものにするかたちでリードを奪うことに成功する。
 16分、「相手WTBのポジションを見てサインを出した」というSO大田尾竜彦が転がした絶妙のグラバーキックをCTB宮澤正利がうまく拾い、内側をフォローしていた途中出場のWTB中垣裕介にラストパスを通して、逆転トライ(五郎丸のゴール成功で17-10)。
 近鉄も終了1分前に、重光に代わってSOのポジションに入っていたファアトヌ・フィリのキックパスからリコ・ギアがこの日2トライ目を記録して追いすがったが、左隅からフィリが狙ったゴールは大きく外れ、17-15でヤマハ発動機が逃げ切り、日本選手権出場を決めた。

「どちらに勝利が転がり込んでもおかしくない試合。今日は勝利の女神がこちらに微笑んだ」
 試合後、そう語ったのはヤマハ発動機・清宮克幸監督。
 それでも、セットプレーやディフェンス面を中心に80分間、近鉄にプレッシャーをかけ続けたヤマハ発動機のプレーに、今季多くのファンを魅了してきた近鉄のワイドにボールを動かすアタックが不発だったのは事実。
 強風の中ヤマハ発動機FB五郎丸が3本のゴールキックを完璧に決めたのに対して、近鉄はさほど難しいとは思えなかったPGを重光が3本外し、前述どおりフィリも決めていれば日本選手権に近づく同点ゴール(注:引き分けの場合、リーグ上位チーム=近鉄に日本選手権出場権が与えられた)を失敗。「ヤマハ発動機のプレッシャーを受けて」(FB高忠伸主将)、細かいミスも目立った。
 そういう意味では、寒空の下、最後まで声援を送った近鉄のファンとしても、この日、勝利の女神がヤマハ発動機に微笑んだことには納得だったかもしれない。
 ユニークな応援スタイルの近鉄サポーターのお決まりコール「倍返し」の実現は、来季のトップリーグで、ということになる。

text by Kenji Demura (RJP)

ヤマハの好守の前に今季ファンを魅了した近鉄のアタックは不発だった(写真は突破を試みるFLタウファ)
photo by Kenji Demura (RJP)


2012年2月22日

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