生き残りをかけた、激しい「譲れない戦い」
暦では春となった2月5日、ヤマハスタジアムは先週までの厳しい寒さが緩み、比較的温かな曇り空のなか、6,839人のファンが集まった。
この試合は、ヤマハ発動機ジュビロがワイルドカードへの進出をかけ、またホンダヒートはトップリーグでの生き残りをかけ、両チームともに「譲れない戦い」である。
試合はホンダのキックオフで始まった。試合開始から激しいボールの奪い合いが続き、前半5分にはホンダ右FLのダニエル・リンディーが危険なプレーで一時退場する。また、ハンドリングミスが相次ぎ、攻守が目まぐるしく入れ替わる展開となった。
試合が動いたのはリンディーが復帰した前半15分。ヤマハ発動機が敵陣10m左中間のスクラムから連続攻撃を仕掛けるものの、パスミスしたこぼれ玉をホンダが拾いこちらも連続攻撃。右CTBポンギタプオシ虎渡が右ラインを走り抜き、最後はNo.8川添学に繋いでゴール右隅にトライして、ホンダが先制した。
先制されたヤマハ発動機だったが、24分FB五郎丸歩がPGを決めて反撃開始。28分の敵陣真ん中のスクラムからの連続攻撃で一時ホンダにボールを奪われるも、ラックで奪い返し、最後はNo.8モセ・トゥイアリイがトライし逆転。Gも決めて10対5と逆転。
両チームともに気合が空回りしているのか、お互いに5個ずつ反則を犯すなど雑なプレーが目立つ。39分に、ヤマハ発動機が自陣22mで痛恨の反則を犯した後に前半終了のホーン。ここでホンダはPGを狙わずスクラムを選択。ここから連続攻撃を3分間仕掛けたものの、ノットリリース・ザ・ボールでジ・エンド。この選択が後半の試合展開に大きく影響することとなる。
後半に入っても、両チームの一進一退の攻防が続く。
ホンダは反撃するも前半の激しい攻撃の疲れが影響し、なかなか決定的なチャンスまで持ち込めない。逆にヤマハは7分、17分とFB五郎丸がPGを決め、得点差をさらに広げる。
そして後半17分、ホンダのキックオフのボールをヤマハが連続攻撃。左に展開しFB五郎丸が強引な突進により大きくゲインラインを突破。SO大田尾竜彦が華麗なステップでディフェンスの裏側に抜け、最後は右WTB津高宏行がゴールライン右隅にトライ。Gは失敗するも、このトライがホンダの集中力を途切れさせる決定的なものとなった。
そして、22分には敵陣22m付近左中間のスクラムからSO大田尾のグラバーキックを左CTBタネ・トゥイプロトゥが好捕、交替した右CTB中垣裕介に繋ぎゴール下にトライ(Gも成功)。29分には大活躍のSO大田尾がゴール右隅に駄目押しのトライをあげ、最終節の「譲れない戦い」はヤマハ発動機に軍配が上がった。
攻守が再三入れ替わる激しい試合であったが、最終的には自力に勝るヤマハ発動機の貫録勝ちとなった。この結果、ヤマハ発動機は日本選手権出場をかけたワイルドカードへ進出、ホンダはトップリーグからの自動降格となった。
この日のマン・オブ・ザ・マッチは、攻撃の要で全てのトライに貢献したSO大田尾が受賞。また、この試合で15点を得点したFB五朗丸は、総得点182点で史上最年少のリーグ得点王を獲得した。
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