その10:スタート→リスタート2
プレー中にボールがタッチラインの外に出てゲームが停止した場合(=タッチ)に、再開の手段として行われるセットプレーが「ラインアウト」だ。
タッチラインの外にボールを蹴り出すプレー(タッチキック)は、蹴ったチームがボールを保持する権利を放棄したわけだから、通常は相手ボールのラインアウトで再開される。
タッチがわかりづらいのは、(1)ダイレクトタッチと(2)通常のタッチの2種類があるから。
ダイレクトタッチは、自陣22メートルラインの外側で蹴ったボールがバウンドせずに直接タッチラインを割った場合に適用され、この場合は、蹴った地点に戻って相手ボールのラインアウトとなる。
通常のタッチは、自陣22メートル内から蹴ったボールがタッチラインを割った場合で、ボールがバウンドしなくても、タッチラインを割った地点で相手ボールのラインアウトとなる。
試合中にレフェリーが「インサイド」「アウトサイド」と声をかける場面をよく見かけるが、あれは、どこから蹴ったかによって次のラインアウトが行われる地点が大きく変わるので、プレーヤーに注意を促す行為。ボールが相手陣まで飛んでピンチ脱出と思っても、レフェリーの「アウトサイド」というコールを聞き漏らしていたら、安心したのもつかの間、自陣ゴール前で相手ボールのラインアウトという大ピンチになる。このコールには、それぐらい重要な意味があるのだ。
ボールがタッチラインを割ったときに、戻った選手がボールを拾ってそのままフィールドに投げ入れてプレーが続く場合があるが、これを「クイックスローイン」と呼んで、ラインアウトと区別している。両チームとも静止しないままプレーが再開(続行と呼んでもいい)されるので、セットプレーのラインアウトと区別されるのだ。
クイックスローインは、タッチの地点から後方(自陣ゴールラインに近い方)であれば、どこからボールを投入してもよく、タッチラインから5メートル以上ボールをバウンドさせずに投入すれば、プレーとして認められる。ただ、投げ入れる前に別な人間(アシスタントレフェリーやボールボーイも含む)にボールが当たった場合は、認められない。この点、少しややこしい。
どこから蹴っても、バウンドするしないにかかわらず、ボールがタッチを割った地点でラインアウトになる場合が1つだけある。
それが、相手チームの反則で与えられたペナルティキックをタッチに蹴り出した場合。このケースだけ、タッチに蹴り出したチームに次のラインアウトでのボール投入権が与えられる(フリーキックの場合は普通のキックと同様に見なされて、22メートルラインの外から直接蹴り出すとダイレクトタッチとなる)。
ラインアウトが行われるのはキックされたボールがタッチラインを割った場合だけではない。ボールを持った選手がタッチラインの外に出たときも、やはりタッチとなって、相手ボールのラインアウトでゲームが再開される。
防御ラインの背後にボールを蹴り込まれた大ピンチにFBが戻ったものの、相手の選手が迫っていて、仕方なくタッチラインの外に逃れる選手を見かけるが、それもこのケース。逆に独走状態になった選手が相手にタッチに押し出されると、味方から「タッチに出るなよ」と叱られることが多い。タッチライン際でギリギリの態勢からボールを生かして味方につなぐことは、「いい選手」と呼ばれるために必要不可欠なプレーなのである。
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トライ寸前でタッチに出される日本代表FBウェブ(W杯NZ大会 日本-カナダ戦)
photo by Kenji Demura (RJ) |
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