東芝がノーサイド直前の逆転勝利
体の芯まで冷え込むような曇天の下、第10節まで全勝のサントリーサンゴリアスと、2敗の東芝ブレイブルーパスによる注目の府中ダービー(東京都府中市を本拠地に持つチーム同士)の一戦が、東芝のキックオフで開始された。
東芝はこだわりのFWによる力勝負をサントリー相手に真っ向から挑み、時折細かいパスを繋ぎながら前進を図るが、サントリーの固い防御に阻まれ攻め込めない。サントリーも相手ペナルティから東芝ゴール前まで前進するが、ミスで攻めきれない。
14分、東芝は相手ゴール正面でのPGチャンスを得るもこれを狙わず、トライを取りにゴール前まで迫るが、サントリーの必死の防御でターンオーバされてしまう。一方、サントリーもSHデュプレアやSOピシの巧みなパスと絶妙なキックで攻め込むなど、両者一進一退の攻防が続く。
20分、東芝は味方キックを相手FL佐々木の好チャージとFB小野澤のフォローで自陣ゴール前まで攻め込まれるが、素早い戻りで相手をタッチに押し出し、辛うじてピンチを脱する。
激しい攻防の均衡が崩れたのは23分。相手ゴール前の連続攻撃から東芝のペナルティを誘ったサントリーは、CTBニコラスがPGを丁寧に決める(3-0)。しかし、東芝もすかさず26分、相手陣内で得たペナルティをクイックランで前進、ゴール前のラックからパスを受けたFLリーチが相手タックルを振り払い右腕を伸ばして渾身のトライ(ゴール成功3-7)。29分、サントリーは相手ゴール正面約30mで得たPGを難なく決め、一点差に詰め寄った状態(6-7)で前半を終える。
雲間から射し込んだ光で明るくなったグラウンドで、後半開始早々の3分、サントリーは相手陣内で得たPGを決め再びリードする(9-7)。続けて、サントリーはCTBニコラスが16分、20分、23分とPGを連続で決め、手堅い試合運びをみせる(18-7)。
これで試合の流れはサントリーに傾いたように思われたが東芝も諦めず、両チームによる接点での激しい攻防は衰えをみせない。26分、あわや東芝のトライかと思われるプレイもあったが、相手SHデュプレアがボールの下に入り防ぐ。
30分、東芝は相手ペナルティから激しく突進、ラックを連取し、最後はPR浅原がトライ(ゴール成功18-14)。35分、サントリーは相手陣内10mライン付近でPGのチャンスを得るが左に外れ、それを東芝LO望月がカウンターでサントリー陣内に大きく入り込む。東芝は味方スクラムでの8-9プレイから連続攻撃を仕掛け、ラックからSH吉田-WTB廣瀬-FLベイツと繋ぎ、最後はLO望月が、右隅にノーサイド直前の逆転トライ(ゴール成功18-21)。
両チームが持ち味をフルに発揮した見ごたえのある好試合であったが、サントリーをノートライに抑えた東芝の劇的な逆転勝利に終わった。
なお、マン・オブ・ザ・マッチには東芝のLO望月雄太が選ばれた。(小林吉文)
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