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11節 マッチサマリー(サントリー 18-21 東芝)

サントリーサンゴリアス 18-21 東芝ブレイブルーパス
【week11/2012年1月22日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

東芝がノーサイド直前の逆転勝利

体の芯まで冷え込むような曇天の下、第10節まで全勝のサントリーサンゴリアスと、2敗の東芝ブレイブルーパスによる注目の府中ダービー(東京都府中市を本拠地に持つチーム同士)の一戦が、東芝のキックオフで開始された。

東芝はこだわりのFWによる力勝負をサントリー相手に真っ向から挑み、時折細かいパスを繋ぎながら前進を図るが、サントリーの固い防御に阻まれ攻め込めない。サントリーも相手ペナルティから東芝ゴール前まで前進するが、ミスで攻めきれない。
14分、東芝は相手ゴール正面でのPGチャンスを得るもこれを狙わず、トライを取りにゴール前まで迫るが、サントリーの必死の防御でターンオーバされてしまう。一方、サントリーもSHデュプレアやSOピシの巧みなパスと絶妙なキックで攻め込むなど、両者一進一退の攻防が続く。
20分、東芝は味方キックを相手FL佐々木の好チャージとFB小野澤のフォローで自陣ゴール前まで攻め込まれるが、素早い戻りで相手をタッチに押し出し、辛うじてピンチを脱する。

激しい攻防の均衡が崩れたのは23分。相手ゴール前の連続攻撃から東芝のペナルティを誘ったサントリーは、CTBニコラスがPGを丁寧に決める(3-0)。しかし、東芝もすかさず26分、相手陣内で得たペナルティをクイックランで前進、ゴール前のラックからパスを受けたFLリーチが相手タックルを振り払い右腕を伸ばして渾身のトライ(ゴール成功3-7)。29分、サントリーは相手ゴール正面約30mで得たPGを難なく決め、一点差に詰め寄った状態(6-7)で前半を終える。

雲間から射し込んだ光で明るくなったグラウンドで、後半開始早々の3分、サントリーは相手陣内で得たPGを決め再びリードする(9-7)。続けて、サントリーはCTBニコラスが16分、20分、23分とPGを連続で決め、手堅い試合運びをみせる(18-7)。
これで試合の流れはサントリーに傾いたように思われたが東芝も諦めず、両チームによる接点での激しい攻防は衰えをみせない。26分、あわや東芝のトライかと思われるプレイもあったが、相手SHデュプレアがボールの下に入り防ぐ。

30分、東芝は相手ペナルティから激しく突進、ラックを連取し、最後はPR浅原がトライ(ゴール成功18-14)。35分、サントリーは相手陣内10mライン付近でPGのチャンスを得るが左に外れ、それを東芝LO望月がカウンターでサントリー陣内に大きく入り込む。東芝は味方スクラムでの8-9プレイから連続攻撃を仕掛け、ラックからSH吉田-WTB廣瀬-FLベイツと繋ぎ、最後はLO望月が、右隅にノーサイド直前の逆転トライ(ゴール成功18-21)。
両チームが持ち味をフルに発揮した見ごたえのある好試合であったが、サントリーをノートライに抑えた東芝の劇的な逆転勝利に終わった。
なお、マン・オブ・ザ・マッチには東芝のLO望月雄太が選ばれた。(小林吉文)

サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝
会見ダイジェスト
サントリーサンゴリアス
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン

◎サントリーサンゴリアス
○エディー・ジョーンズGM兼監督

「結果は残念です。パフォーマンスと結果が違う、そういう試合もあります。最後の10分で東芝さんに与えたチャンスを、うまく生かされました。東芝さんは良いチームです。特に今日はゲームの流れが良かったと思います。今日はラグビーをするのには難しいコンディションでした。学ぶべきことを今日の試合から学び、もう同じことはしません。選手のパフォーマンスは誇りに思っています。もちろん、結果は残念ですし、選手は、4時間はがっかりすると思いますが、明日からやり直していきます」

──コンディションは悪かったが?

「今日のブレイクダウンは世界チャンプのプロレスリングみたいで、ルールがなかったと思います」

──サントリーが対処できなかったことは?

「最後の1分でトライを獲られましたが、それに関しては東芝さんが勝つ試合ということだったと思います。最後にディフェンスでミスが一つあって、この結果になりました。東芝さんには、トライはさせないという強い意志を感じました。ブレイクダウンでボールを殺されましたが、サントリーのパフォーマンスは嬉しく思います。今シーズンは、二度と勝たせません」

○竹本隼太郎キャプテン

「今週、すごく良い準備ができていて挑んだ試合でした。東芝さんとは激しい試合になることは分かっていました。特にサントリーに対してはすごく激しくきますので、それを踏まえつつ、試合中は我慢できたところが多かったです。最後に、東芝さんのまとまりの方が良かったと思います。素直に悔しいです。この悔しさを忘れず、選手・コーチが一丸となって頑張っていこうと思います」

──最後のペナルティはショットを狙ったが?

「前半、最初にゴール前に行ったところは、良いタイミングでボールを出せればトライでした。ぎりぎりまで我慢して勝ちたかったのですが、あの場面では入っても7点差ですし、入らなくても、敵陣でディフェンスしようとコミュニケーションが取れていました。東芝さんがFW戦にこだわっていることは感じていましたので」

サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝   サントリー 18-21 東芝
東芝ブレイブルーパス
和田監督(右)、豊田キャプテン
和田監督(右)、豊田キャプテン

◎東芝ブレイブルーパス
○和田賢一監督

「本日はありがとうございます。悪天候の中、多くの方がいらっしゃってくださって感謝します。全勝のサントリーさんと府中ダービーということで、真っ向勝負を挑もうと1週間練習してきました。体を自ら当てていくことにフォーカスし、最終的に逆転勝ちをすることができました。前半から、選手が前へ出てくれたおかげだと思います」

──PGを狙わなかったが。

「今年は、ずっとペナルティの選択肢はグラウンドで体をぶつけた選手しか分からないと思って、すべて選手に任せています。逆にいつも通りだなと観ていました」

○豊田真人キャプテン

「府中ダービーとしてたくさんのファンの皆様がお集まりいただいて、本当にありがとうございました。ゴーフォワードをテーマに、そこに責任を持って戦ってほしいと和田さんに言われました。ファンや練習を共にしている仲間のために、80分間、前へ出続けた結果、1点差でも勝利できたと思います。22人が全員、責任を持って前へ出続けました。関係者の皆様に感謝します」

──最初からPGを狙わなかったが?

「僕たちはFWに自信を持っています。勝負したいと思っていましたので、PGという選択肢はありませんでした。ラインアウトはFWで行くと決めていました」

──コンタクトで後半30分から優位に立ったが。

「スカウティングで、ラスト20分で相手が落ちてくると分かっていましたが、前半の最初から体を当てたことがこの結果につながったと思います」

──攻め込んでも18-7の時の心境は?

「ミスで得点されていたので、しっかりボールをキープしようと話し、キックオフからボールを獲得できました。2敗した経験が生きました。ラスト20分は必ず行けると思っていました」

──15-7の円陣で話したことは。

「もう、簡単な言葉しか言いませんでした。今から行くぞ、変えるぞ、と。みんなが感じ取ってくれました。(和田監督から『豊田が話そうとした瞬間に皆が集まりましたね』と補足)」



2012年1月22日

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