曇空から時々暖かい陽が射すこの時期の花園としては穏やかな気候の下、トップリーグ昇格への挑戦権を争うこの試合は、中部電力のキックオフで始まった。試合は、大方の予想通り最初からクボタの圧倒的優勢のうちに進むが、中部電力が良くディフェンスし、クボタは中々トライラインを越えられない。しかし、6分左WTB芝原がスピードを活かしてようやく左中間にトライすると、8分、16分、19分、38分と立て続けに合計5トライを挙げ、31-5で前半を折り返す。
後半に入ると中部電力ディフェンスがより機能するようになり、10分近くまで無得点の状態が続く。しかし、この均衡を破ったのもやはりクボタ、6番FLマクメニマンが突破力でトライを挙げると、ノーサイドホーンが鳴り響いた後の41分、4番LO鈴木の中央トライに至るまで6トライの猛攻でたたみかけ、71-19と中部電力を寄せ付けることなく、勝利を手にした。この結果、クボタは、トップリーグ復帰を目指して、今月29日から始まるトップチャレンジ1に駒を進めることとなった。
この試合、大差がついたものの、得点差を余り感じさせない緊張感が続いたが、これは中部電力のひたむきなディフェンスによるものであり、中部電力には来シーズンに向けての一層の精進が期待される。一方のクボタに関しては、FW第3列、両CTBの突破力等に見るべき点はあるものの、一度もトップリーグの経験のない中部電力に3トライ、19点もの得点を許したばかりか、ミスで攻撃が繋がらない、継続できたとしても簡単に相手ディフェンスにからまれスローダウンさせられ、攻撃のペースが掴めないなど多くの課題が目につくものとなった。
クボタスピアーズに対しては、この経験をプラスに転じて、次のステップで東西、九州の強豪とどのように戦って行くことができるのか、今後の健闘に期待を繋ぎたい。(村島博)
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