ニュージーランドで開催されたラグビーワールドカップ2011の影響で、例年よりかなり遅く10月末からスタートした今季のジャパンラグビー トップリーグも既に終盤第10節に入り、どのチームも一つでも順位を上げようとしのぎを削る。
近鉄花園での第1試合は、現在7位のヤマハ発動機ジュビロと4位のNECグリーンロケッツとの戦い。ヤマハ発動機は、昨シーズン入替戦に臨むといった苦境に耐え、今季は5勝4敗と勝越し、さらに上位を狙う勢い。一方のNECは緒戦の神戸製鋼戦を落としはしたものの、以後快調にペースを上げ、現在4強の一角を占める。ともにFW・BKのバランスのとれたチームだけに、インパクト・プレーヤーの活躍に勝敗の帰趨が左右される予感の漂う一戦。
試合は、NECのキックオフでスタートしたが、開始早々いきなり試合が動く。ヤマハ発動機ディフェンスラインのギャップを衝いてNEC10番 SO田村がいきなりラインブレイク、ヤマハ発動機陣に深く攻め込むと連続攻撃、ゴール直前ラックから9番 SH櫻井、ショートサイドの7番 FLキャプテン、ラトゥにつなぎトライ、5-0と先制する。
この後両チーム一進一退のこう着した状態が続くが、今度はヤマハ18分、ゴール前15m付近から右に展開、ライン参加した15番 FB五郎丸がオフロードで14番 WTB屋宜につなぎトライ、Gも成功し7-5と逆転する。さらにヤマハ発動機は23分、ハーフウエイ中央での相手のオブストラクションから15番 五郎丸がPGを狙い、見事に決めて10-5とリードを拡げる。
しかし、今度はNEC、25分にPGで8-10と差を詰めた後、34分10番 田村の長すぎるかに思えたキックパスを、11番 WTBナドロがまさにフィジアンズ・マジック、10mライン付近でジャンプしてワンハンド・キャッチ、そのままタッチ際を走り切りトライ。タッチ際の難しいGも10番 田村が決めて、15-10と逆転する。この後ヤマハ発動機も1PGを返して13-15、僅差でハーフタイムとなった。
後半もいきなり動きだす。ヤマハ発動機のキックオフをNECがリターンしようとして、オブストラクション。15番 五郎丸がPGを難なく決めて16-15と逆転。しかし、この後、両陣の10mラインの間でほとんどのプレーが行われるといった均衡状態が続き、ヤマハ発動機、NECと連続攻撃に耐えきれず相手が犯した反則で1PGずつを取りあい、19-18のまま後半最後の10分へと突入する。
そして、試合が決まったのは31分、ヤマハ発動機がマイボール・ラインアウトをターンオーバーされ、ディフェンスラインが半ば崩壊する隙をNECが衝き、ヤマハ発動機陣に深く攻め込むと、22mライン付近中央ラックから展開、7番 キャプテン、ラトゥから今度も11番 ナドロに繋がりトライ、23-19と再度逆転。NECはその後、ノーサイドまで確実に守り切って、薄氷の勝利を手にした。マン・オブ・ザ・マッチには攻撃の起点としてNECを勝利に導いた10番 田村選手が選ばれた。
今日の両チームの順位争い上、極めて重要な一戦、一見NECのナドロの2トライが勝敗を決したかのように見える。しかし、試合後の会見で、ヤマハ発動機の清宮克幸監督がいみじくも述べたように、ナドロのプレー以外の場所、セット・プレイで、ヤマハ発動機はすでにNECに守勢に立たされていた。この試合の結果、NECは4強の座を死守し、ヤマハ発動機は、8位と順位を下げることとなった。
レギュラーシーズンも終盤に入り、個人成績も気になるところだが、この日2トライを上げたNECのナドロは今シーズンのトライ数を16とし、2006-2007シーズンに三洋電機(現パナソニック)の北川智規が挙げたシーズントライ記録19の更新を視野に入れた。
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