前節でそれぞれ神戸製鋼、トヨタを破り勢いづく両チーム。トップリーグ順位を上げるにもお互い負けられない試合。「取られたら取り返す」といった熱いゲームとなった。
立ち上がりを握ったのはNTTコム。キックパスをからめたBKの多彩なランでリコー陣内に入り、前半4分にWTBソセ・アネシが右隅に飛びこみ先制。さらに11分、プレッシャーをかけたスクラムでペナルティを得て、FB栗原が丁寧にPGを決めて差を広げる。(0-8)
一方、その直後、リコーはBK・FW一体となった強い縦への突破を重ね、LO柳川のトライを導き出す。ゴールも決まり、7-8。
22分、リコーは自陣10m付近よりCTBノヌーが絶妙なパスでWTB小吹を走らせ、敵陣に入るとラックから展開されたボールを自らがラインブレイクし、ポスト下にトライを決め、逆転。(14-8)
さらに29分、NTTコムのラインが乱れたターンオーバーからリコーCTBノヌーが縦にグラバーキック。絶好のタイミングでチェイスしたFBエリソンがそのボールを獲得、そのまま走りきってトライを挙げる。(19-8)
本日の試合は取られたら取り返す展開。トライを奪われたNTTコムは直後のキックオフでリコーのキャッチが乱れたところをLOロスがボールを確保。二人を振り切り自らゴールラインにダイブしてすかさず取り返す。(G失敗19-13)
37分、リコー陣22m近くまで蹴られたパントからカウンター攻撃。CTBノヌーからのパスを受け、FBエリソンが力強くビッグゲイン。ラックから早い展開からの連続攻撃で最後はNo.8ハスケルが左隅にトライ。難しい角度のゴールも決まり、26-13。
終了間際、NTTコムはPGをFB栗原が決め、26-16の点差でハーフタイムを迎える。
後半先手をとったのはNTTコム。リコー陣で得たペナルティをFB栗原がきっちりとショットを決め、26-19と1トライ1ゴール圏内に近づく。
しかしそこから戦局は膠着状態へ。どちらも敵陣には入りこむものの、決定的チャンスを作り出せない。
その膠着が破られたのは26分。リコー陣内でのブレイクダウンの応酬、一歩もひかないリコー防御に対して、左右に振るNTTコム。幾度目かのフェイズで、この試合何度か見せていた逆サイドに残っているLOロスへのキックパスが鮮やかに決まる。
フィールドの左から右までの長めのキックパスがSOウイングからリコーゴール内にあがり、2mの長身を生かしたロスがダイレクトキャッチ、そのままゴールに倒れ込んでトライ。ゴールも決まり、遂に同点に追いつく。
そのままの勢いでNTTコムが攻め続ける。32分、CTB山下が縦突破しできたラックより、SOウイングが上手くライン間のギャップを突いてトライへ。26-33と遂に逆転に成功。
一方、リコーもそのままでは終わらせない。37分、連続攻撃より最後はCTBノヌーがW杯王者の貫録を見せ、タックルを振りちぎってのトライを中央に決め、33-33の同点とする。
タイムオーバーを告げるホーンが鳴ってからのリコーのペナルティ。最後のPGをNTTコムはショットを選択。FB栗原が狙うが惜しくも外れ、誰もがそのまま終わるか、と思ったところでここでリコーが再度の痛恨のペナルティ。再度のPGをNTTコムは得たが、難しい角度のPGが外れ、取って取られてのシーソーゲームは両チーム同ポイント、引き分けと終わった。
十二分の圧力をかけたNTTコムのスクラムや、アイザック・ロスへのキックパスを引き出す為にそれ以外のブレイクダウンを支配すべく献身的なプレーを続けたFW陣に対し、ノヌー、エリソンの巧みさを出したリコーと、それぞれの持ち味を充分に出した見応えのある試合であった。
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