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10節 マッチサマリー(リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ)

リコーブラックラムズ 33-33 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
【week10/2012年1月15日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

前節でそれぞれ神戸製鋼、トヨタを破り勢いづく両チーム。トップリーグ順位を上げるにもお互い負けられない試合。「取られたら取り返す」といった熱いゲームとなった。

立ち上がりを握ったのはNTTコム。キックパスをからめたBKの多彩なランでリコー陣内に入り、前半4分にWTBソセ・アネシが右隅に飛びこみ先制。さらに11分、プレッシャーをかけたスクラムでペナルティを得て、FB栗原が丁寧にPGを決めて差を広げる。(0-8)

一方、その直後、リコーはBK・FW一体となった強い縦への突破を重ね、LO柳川のトライを導き出す。ゴールも決まり、7-8。

22分、リコーは自陣10m付近よりCTBノヌーが絶妙なパスでWTB小吹を走らせ、敵陣に入るとラックから展開されたボールを自らがラインブレイクし、ポスト下にトライを決め、逆転。(14-8)

さらに29分、NTTコムのラインが乱れたターンオーバーからリコーCTBノヌーが縦にグラバーキック。絶好のタイミングでチェイスしたFBエリソンがそのボールを獲得、そのまま走りきってトライを挙げる。(19-8)

本日の試合は取られたら取り返す展開。トライを奪われたNTTコムは直後のキックオフでリコーのキャッチが乱れたところをLOロスがボールを確保。二人を振り切り自らゴールラインにダイブしてすかさず取り返す。(G失敗19-13)

37分、リコー陣22m近くまで蹴られたパントからカウンター攻撃。CTBノヌーからのパスを受け、FBエリソンが力強くビッグゲイン。ラックから早い展開からの連続攻撃で最後はNo.8ハスケルが左隅にトライ。難しい角度のゴールも決まり、26-13。
終了間際、NTTコムはPGをFB栗原が決め、26-16の点差でハーフタイムを迎える。

後半先手をとったのはNTTコム。リコー陣で得たペナルティをFB栗原がきっちりとショットを決め、26-19と1トライ1ゴール圏内に近づく。
しかしそこから戦局は膠着状態へ。どちらも敵陣には入りこむものの、決定的チャンスを作り出せない。

その膠着が破られたのは26分。リコー陣内でのブレイクダウンの応酬、一歩もひかないリコー防御に対して、左右に振るNTTコム。幾度目かのフェイズで、この試合何度か見せていた逆サイドに残っているLOロスへのキックパスが鮮やかに決まる。
フィールドの左から右までの長めのキックパスがSOウイングからリコーゴール内にあがり、2mの長身を生かしたロスがダイレクトキャッチ、そのままゴールに倒れ込んでトライ。ゴールも決まり、遂に同点に追いつく。

そのままの勢いでNTTコムが攻め続ける。32分、CTB山下が縦突破しできたラックより、SOウイングが上手くライン間のギャップを突いてトライへ。26-33と遂に逆転に成功。

一方、リコーもそのままでは終わらせない。37分、連続攻撃より最後はCTBノヌーがW杯王者の貫録を見せ、タックルを振りちぎってのトライを中央に決め、33-33の同点とする。

タイムオーバーを告げるホーンが鳴ってからのリコーのペナルティ。最後のPGをNTTコムはショットを選択。FB栗原が狙うが惜しくも外れ、誰もがそのまま終わるか、と思ったところでここでリコーが再度の痛恨のペナルティ。再度のPGをNTTコムは得たが、難しい角度のPGが外れ、取って取られてのシーソーゲームは両チーム同ポイント、引き分けと終わった。

十二分の圧力をかけたNTTコムのスクラムや、アイザック・ロスへのキックパスを引き出す為にそれ以外のブレイクダウンを支配すべく献身的なプレーを続けたFW陣に対し、ノヌー、エリソンの巧みさを出したリコーと、それぞれの持ち味を充分に出した見応えのある試合であった。

リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ   リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ   リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ   リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ
会見ダイジェスト
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
大沼監督(右)、友井川キャプテン
大沼監督(右)、友井川キャプテン


◎NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
○大沼照幸監督

「今日もたくさんのNTTサポーターの熱い声援を戴き、本当に感謝しております。リコーさんの強いフィジカルに対し、こちらもフィジカルでは負けないようにセットピースにフォーカスして臨んだ試合でした。スクラムでは終始、プレッシャーを与えられましたし、ブレイクダウンでも良いファイトをしてくれました。前半、ミスからターンオーバーされ、トライを許すケースが多かったです。もう少しボールキープの精度を上げれば勝てたと感じていますが、最後まで果敢に向かって行った選手を誇りに思います」

──試合前の対策は?

「リコーさんには良いランナーがたくさんいらっしゃるので、ディフェンスでは、ロータックルで相手を倒すことにフォーカスしてきました。まず、セットピースが我々の強みですので、スクラムとラインアウトでプレッシャーを掛けられるかというところでしたが、ラインアウトでは思ったよりプレッシャーを掛けられませんでした。スクラムでは、ペナルティも貰い、ある程度支配できたかと思います」

──前半にターンオーバーされたのは?

「前半は、ちょっとワイドに振りすぎたかと思います。どうしてもサポートがうまく行きませんでした。そこで、後半は、もっとダイレクトプレーで行くよう指示しました」

──スクラムで圧倒しながら、もったいなかったのでは?

「おっしゃるとおり、非常にもったいないが、デリバリーの8人が出て、マイボールの時に、もう少し良い球出しができていたらと思います。強いセットピースをもうちょっと生かしたかったですね」

──アイザック・ロス選手へのキックパスからのトライは見事だったが?

「あくまでも、アタックのオプションの一つです。スタンドオフとコミュニケーションを取りながら使っています」

○友井川 拓キャプテン

「お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。多くのファンの皆様が試合場に来て下さって、僕らの背中を押して下さったことに感謝します。強くて速いランナーを走らせてしまった前半でした。良いアタックをしているのに、ボールを取られてしまったのが僅差になった原因です。しっかり、自分たちのアタックをすれば獲れたトライでしたが、ブレイクダウンでもプレッシャーを掛けられた結果、同点になりました。結果は非常に悔しいですが、フィジカルの強いリコーさんにこれだけできたのは、自信になります」

──入れば勝てるPGが外れたが?

「本当に気にする必要はないと思います。今まで、栗原さんのキックで勝った試合がいくつもありました。栗原さんのスキルなら入ると思って狙いに行ったキックですので、結果は気にしていません」

リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ   リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ   リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ   リコー 33-33 NTTコミュニケーションズ
リコーブラックラムズ
山品監督(右)、滝澤キャプテン
山品監督(右)、滝澤キャプテン


◎リコーブラックラムズ
○山品博嗣監督

「まず、多くの応援をありがとうございました。1ヶ月ぶりのホームグラウンドで、しっかりやってきたことを見せようとしましたが、NTTさんのブレイクダウンを受けてしまったことがこの結果になったと感じています」

──勝てなかったが?

「勝てなかった、そういう感想しかありません。前半はキックアウトできず自陣で戦い、後半のあたまもキックミスから自陣で戦うことになり、こうした細かいところをできずに、NTTさんのペースにしてしまったと思います」

──セットピースで負けるのは想定外だったのか?

「想定外です。ある程度、プレッシャーを受けながらも、五分くらいかと思っていました」

──それでも巧みに戦い、効率は良かったが?

「前半はほとんど、ターンオーバーのアタックからフィニッシュの選手まで持って行ったことはポジティブに受け止めています」

──成長している部分は?

「ディフェンスが止まったら外へパスし、ディフェンスのショルダーを見ながらスタンドオフの位置の選手がアタックをチョイスしていくことができてきました」

○滝澤佳之キャプテン

「一つは、入りが割と悪かったと反省しています。ブレイクダウンのファイトで受けに回って、キーマンに簡単にトライを獲られる場面がありました。悔しさを出し合い、しっかり修正して次の試合に向かって行きたいと思います」

──実際に、NTTのセットピースは強かったのか?

「スクラムは、今まで対戦したチームの中で、一番強かったです。ラインアウトはそれほどでもなかったのですが、スクラムは3番の選手が強かったですね」



2012年1月16日

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