その9:スタート→リスタート
ラグビーは、キックオフを告げるレフェリーの笛で試合が始まり、レフェリーの笛やアシスタントレフェリー(タッチジャッジ)のフラッグでプレーが止まる。
いったん停止したゲームを再開するための手段が「セットプレー」で、セットプレーには、「キックオフ」「スクラム」「ラインアウト」「ペナルティキック」「フリーキック」「ドロップアウト」の6種類がある。ちなみに、停止していない間は「一般プレー(ゼネラルプレー)」と呼ばれている。
キックオフは、試合開始時と後半の開始時以外に、得点が入った後にも行われ、その場合は得点されたチームがボールを蹴る。つまり、かなりの確率でさっき得点したチームにボールが渡るわけだ。だから、連続トライみたいなことが生じる場合もある。それだけに、ボールを蹴り込んだチームが、どうやってボールを確保するかが重要になる。
今、Aチームがキックオフを蹴り込んで、Bチームの選手が捕り損ねてボールを落とした(ノックオン)としよう。レフェリーが笛を吹いてゲームを止め、Aチームがボールを投入するスクラムからゲームは再開される。
スクラムが行われるのは、(1)ノックオンやスローフォワードといった偶発的な反則が起こった場合、(2)それ以上プレーの続行が不可能な場合、(3)権利を与えられたチームがスクラムを選択した場合の3つのケース。
このなかでわかりにくいのが、(2)のケースだ。
これは密集で両チームの選手が折り重なって倒れ、これ以上プレーを続けられない場合(アンプレアブル)や、レフェリーがボールの所在を確認できない場合だと考えればいい。
ややこしいのは、そういう場合にどちらがボールを投入するか、だ。
一般に、ラックでは、優勢に押し込んでいる側にボール投入権が与えられるため、ほとんどの場合ボールを持ち込んだ側にスクラムのボール投入権が与えられる(もちろん、防御側が圧倒的に押し返せば、防御側がボールを投入するスクラムになる)。
モールは、ボールを活用できなかったチームの責任が問われるので、防御側にボール投入権が与えられる(キックを捕球した直後にその位置で組まれたモールは例外で、こちらはモールを組んだ側のスクラムになる)。つまり、モールで何メートル押し込んでもボールを出せなかったら、相手ボールになってしまうのだ。
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photo by Kenji Demura (RJP) |
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攻撃側が「トライ!」と叫んでインゴールにボールを持ち込んだものの、ボールを地面につけたかどうか(グラウンディング)をレフェリーが確認できなかった場合や、防御側が自陣のインゴールに自らボールを持ち込んで地面につけた場合(キャリーバック)は、ゴールラインから5メートルの地点で攻撃側のボール投入でスクラムが行われる(通称5メートルスクラム)。
(3)は、ラインアウトでボールがまっすぐ投入されなかった場合(ノットストレート)や、キックオフでボールが10メートル以上飛ばなかったり、直接タッチラインを割ったりした場合で、こちらはマイボールでのラインアウトや、キックオフのやり直しを選択することもできる。
通常はスクラムを選択する場合がほとんどだが、まれにスクラムで劣勢のチームがラインアウトやキックオフのやり直しを要求することもある。
ペナルティキックやフリーキックをスクラムに変更することも可能で、特にフリーキックは、自陣22メートルラインの外からタッチに蹴り出せばダイレクトタッチとなるため、攻撃の起点としてスクラムを選択する例が増えている。
最後に、プレー中にパスやボールキャリアがレフェリーに当たった場合も、直前まで攻撃していたチームのスクラムで再開されることを覚えておこう。これも、たまにある珍プレーだ。
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