今年のトップリーグ初戦。リコーがサニックスに走り勝ち、いいスタートを切る
ニュージーランドでのワールドカップ決勝での激しい試合の興奮から、まだ1週間しか経っていない10月最終週、2011年度のトップリーグが始まった。今年のトップリーグの各チームにはワールドカップの決勝トーナメントで活躍した国の選手が何人も移籍してくるので、多くの世界トップレベルのプレーヤーを日本で見られるのが楽しみだ。
秩父宮ラグビー場での初戦は、リコー対サニックス。両チームとも80分間、走り切るラグビーを目指している同じようなタイプのチーム同士となった。
キックオフ直後から、サニックスが大きくバックスにボールを展開して、ゴール前に迫るが、リコーは堅いディフェンスで、これを防ぐ。今度は、リコーバックスが敵陣深くまで攻める。予想通りの試合展開となった。
9分にサニックスFB田代がPGを失敗したが、そのすぐ後の22mライン上のスクラムからサニックスバックスが左右に広く展開し、最後はよくフォローしてCTBイオアネからボールをもらったPR杉浦がトライ(ゴール成功、0-7)、サニックスが最初の得点を取った。しかし、リコーも全く、走り負けていない。15分にはリコーがラインアウトから10次にも亘る攻撃でゴール前まで攻め込み、サニックスのペナルティを誘ったところで、LOカウヘンガがPKからクイックアタックでインゴールに持ち込み(ゴール成功)、7-7と同点にした。
その後、サニックスがPGを決められず、勝ち越せないのに対し、リコーは23分に、SOエリソンがラックサイドを抜け、そのままトライ(ゴール成功、14-7)、さらに、28分にはWTBキニキニラウのライン際の快走から、これにフォローしたFB河野が連続トライ(ゴール成功、21-7)と、リコーが、前半で、勝敗を決めそうな勢いとなった。リコーは、さらに38分にも、FW・バックスとボールをよく連続してつなぎ、最後はWTB小松の外側についていたLOカウヘンガがこの日2つ目のトライをとり(ゴール成功)、28-7とリードを広げ、ハーフタイムとなった。
21点差のビハインドを負ったサニックスだが、決して試合をあきらめず、後半にはディフェンスを修正し、チームの持ち味であるフィフティーンが走り回るラグビーが戻ってきた。
後半11分には、FBアヒオのグラバーキックからSO田代がトライ(ゴール成功、28-14)。
後半3分から切り札として投入したWTBヘスケスの走りはトライにこそつながらなかったが、サニックスは良くボールを回すようになり、ゴール前に攻め込むシーンが多くなった。16分にはFBアヒオがチェンジ・オブ・ペースで3人をかわしてトライ(ゴール成功、28-21)、24分にはCTB小野がうまいステップで抜けて、PR杉浦がトライと、リコーの得点に迫ったが、そのコンバージョンがゴールポストに当たり、あと2点が追い付かない(28-26)。
2点差で残り15分と、勝負がどちらに転がるかわからない展開となったが、リコーが28分にPGを決め(31-26)、31分にはLOカウヘンガがPKのクイックアタックから抜けて、ゴール前に攻め込み、最後はSOエリソンがトライ(ゴール不成功、36-26)を決め、リコーが逃げ切り、初戦での勝利のシーズンスタートとした。
両チームとも、積極的にボールを動かし、反則も少なく、この日の天気のように気持ちのいい試合だった。この日、勝利したリコーは、11月にはオールブラックスのCTBノヌーも合流し、この日のプレーは後半の14分間ほどしかなかったイングランドのNo.8ハスケルもチームに馴染んでくると、今年は、トップリーグの上位4チームをも脅かす面白い存在になりそうで楽しみだ。(正野雄一郎)
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